英国の Titan Publishing Group Ltd. の Titan Books 部門から 2017年に出版された ニック・カイム作 「シャーロック・ホームズ:遺産」の表紙 (Images : Shutterstock / Dreamstime) |
「遺産」(Sherlock Holmes : The Legacy of Deeds)」は、作家 / 編集者であるニック・カイム(Nick Kyme)が、Titan Publishing Group Ltd. から、「シャーロック・ホームズの更なる冒険(The further adventures of Sherlock Holmes)」シリーズとは別の「シャーロック・ホームズ(Sherlock Holmes)」シリーズの一つとして、2017年に発表した作品である。
ニック・カイムは、英国のゲーム製作会社であるゲームズワークショップ(Games Workshop)が1983年に発売した「ウォーハンマー(Warhammer)」と言うミニチュアゲームにかかる小説も執筆している。
1983年にミニチュアゲーム「ウォーハンマー」が発売された以降、同ゲームはシリーズ化しており、その40周年に伴い、2023年6月8日に、英国のロイヤルメール(Royal Mail)から、10種類の記念切手が発行されているが、それについては、2023年11月14日 / 11月17日 / 11月21日付ブログで紹介済である。
本作品は、1894年の冬に始まる。
3週間程、仕事が全くなく、ベイカーストリート221B(221B Baker Street → 2014年6月22日 / 6月29日付ブログで紹介済)にずーっと閉じこもっているシャーロック・ホームズのことを心配したジョン・H・ワトスンは、自分のポケットマネーを叩いて、ホームズをロイヤルオペラハウス(Royal Opera House → 2015年8月29日付ブログで紹介済)へと連れ出す。
Royal Opera House Exterior (Photography by Luke Hayes) - ロイヤルオペラハウスで購入した絵葉書から抜粋。 |
演目は、クラシックバレエ「白鳥の湖(Swan Lake)」で、ドイツを舞台にして、悪魔ロットバルト(Baron Von Rothbart)による呪いで白鳥に姿を変えられた王女オデット(Princess Odette)と王子ジークフリート(Prince Siegfried)の悲恋を描いた物語である。
ホームズは、到着当初、「バレエよりも、オペラの方が良かった。」とぼやいたが、次第に熱中して観賞し始めた。
The auditorium of the Royal Opera House (Photography by Sim Canetty-Clarke) - ロイヤルオペラハウスで購入した絵葉書から抜粋。 |
バレエ「白鳥の湖」は、第2幕目(Act II)に入った。
湖岸において、王子ジークフリートが、白鳥に変えられた王女オデットに出会う場面である。
その時、舞台上の照明が薄暗くなり、突然、後ろの方の幕が下りる。そして、再度、幕が上がる。
そこには、白鳥を踊っていた女性ダンサーの一人が、俯せになって倒れていたのである。
「彼女は死んでいる。エヴァンゲラインが死んでいる。(She’s dead. Miss Evangeline is dead.)」と言う声があがった。
ボウストリートを挟んで、 ロイヤルオペラハウスの反対側にある広場に設置されているバレリーナ像 <筆者撮影> |
ホームズとワトスンの2人が急いで舞台上へと駆け付けるが、彼女が既に死亡していることは、明らかだった。
彼女の死体を調べたワトスンは、「後頭部への一撃が死因だ。(A blow to the back of the skull.)」と、ホームズに告げる。
それに対して、ホームズは、「ワトスン、これは、殺人だよ。(Murder, Watson.)」と答えた。
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