フィッツウィリアム美術館の正面玄関(その1) <筆者撮影> |
英国の女流推理作家であるフィリス・ドロシー・ジェイムズ(Phyllis Dorothy James:1920年ー2014年 / 一般に、「P・D・ジェイムズ(P. D. James)」と呼ばれている)作「女には向かない職業(An Unsuitable Job for a Woman → 2024年5月5日 / 5月20日 / 5月23日付ブログで紹介済)」(1972年)の場合、物語の冒頭に該る1972年6月のある朝、探偵事務所(Detective Agency)の共同パートナーであったバーナード・G・プライド(Bernard G. Pryde)は、癌に罹っており、手首を切って、事務所内で自殺してしまう。共同パートナーを失ったコーデリア・グレイ(Cordelia Gray)は、途方に暮れるものの、いろいろと考えた末に、22歳の若輩ながら、一人で探偵稼業を続けていくことに決めた。
フィッツウィリアム美術館の内部展示(その1) <筆者撮影> |
そんな最中、探偵事務所の単独代表となった彼女の元に、エリザベス・レミング(Elizabeth Leaming)と言う女性が、最初の依頼者として訪れる。彼女は、天然資源保護論者(conservationist)/ 微生物学者(microbiologist)であるサー・ロナルド・カレンダー(Sir Ronald Callender)の秘書を務めていた。
フィッツウィリアム美術館の内部展示(その2) <筆者撮影> |
エリザベス・レミングに連れられて、ケンブリッジ(Cambridge)のガーフォースハウス(Garforth House)までやって来たコーデリア・グレイは、そこで彼女の到着を待っていたサー・ロナルド・カレンダーから、ある事件の調査を依頼される。
それは、18日前に(=5月26日の夜)、彼の子息で、ケンブリッジ大学(University of Cambridge)の学生だったマーク・カレンダー(Mark Callender)が自分の命を突然断った事件で、サー・ロナルド・カレンダーとしては、コーデリア・グレイに、マークが自殺をしたのか、その原因を調査したほしい、とのことだった。
フィッツウィリアム美術館の内部展示(その3) <筆者撮影> |
サー・ロナルド・カレンダーからの依頼を引き受けたコーデリア・グレイに対して、エリザベス・レミングは、後の食事の席において、「ケンブリッジに来る列車の中で、トマス・ハーディーを読んでいたが、彼の作品が好きなのか?(’When we were travelling here together you were reading Hardy. Do you enjoy him?’)」と尋ねた。
エリザベス・レミングの問いに、コーデリア・グレイは、「トマス・ハーディーの作品は好きだが、ジェイン・オーステンの方が好きです。(’Very much. But I enjoy Jane Austen more.’)」と答えると、エリザベス・レミングは、「それならば、ケンブリッジのフィッツウィリアム美術館へ行くと良い。そこには、ジェイン・オーステンが書いた手紙が展示されているので、きっと興味深い筈だ。(’Then you must try to find an opportunity of visiting the Fitzwilliam Museum in Cambridge. They have a letter written by Jane Austen. I think you’ll find it interesting.’)」と返している。
なお、トマス・ハーディー(Thomas Hardy:1840年ー1928年)は、英国の小説家 / 詩人で、ジェイン・オーステン(Jane Austen:1775年ー1817年)も、英国の小説家である。
フィッツウィリアム美術館の正面玄関(その2) <筆者撮影> |
フィッツウィリアム美術館(Fitzwilliam Museum)は、ケンブリッジ大学に附属する美術館で、ケンブリッジ(Cambridge)の中心部に所在している。
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