2024年に英国の HarperCollinsPublishers 社から出版された アガサ・クリスティー作「エンドハウスの怪事件」の 愛蔵版(ハードカバー版)の表紙 (Cover design and illustration by Sarah Foster / HarperCollinsPublishers Ltd. ) |
英国の HarperCollinsPublishers 社から、2023年に、アガサ・メアリー・クラリッサ・クリスティー(Agatha Mary Clarissa Christie:1890年ー1976年)作「死者のあやまち(Dead Man’s Folly)」(1956年)の愛蔵版(ハードバック版 → 2023年8月18日 / 8月22日付ブログで紹介済)、そして、「五匹の子豚(Five Little Pigs)」(1942年)の愛蔵版(ハードバック版 → 2023年11月9日 / 11月13日付ブログで紹介済)が、更に、2024年に、「白昼の悪魔(Evil Under the Sun)」(1941年)の愛蔵版(ハードバック版 → 2024年6月8日 / 6月12日付ブログで紹介済)が刊行されている。
上記の3作は、デヴォン州(Devon)が舞台となっているが、HarperCollinsPublishers 社から、今年、同じくデヴォン州が舞台となっている「エンドハウスの怪事件(Peril at End House)」(1932年)の愛蔵版(ハードバック版)が出版されているので、今回、紹介致したい。
なお、「エンドハウスの怪事件」の場合、出版社によっては、「邪悪の家」という邦題を使用しているケースあり。
「エンドハウスの怪事件」は、アガサ・クリスティーが執筆した長編としては、第12作目に該り、エルキュール・ポワロシリーズの長編のうち、第6作目に該っている。
インペリアルホテルの下にある展望台から見たトーベイ湾(Torbay) <筆者撮影> |
「エンドハウスの怪事件」は、「コーニッシュ リヴィエラ(Cornish Riviera)」と呼ばれるコンウォール州(Cornwall)のセントルー村(St. Loo - 架空の場所)が、舞台となる。
昼間の Torquay Harbour (Inner Dock) <筆者撮影> |
セントルー村に近いマジェスティックホテル(Majestic Hotel)のテラスにおいて、エルキュール・ポワロは、相棒で、友人でもあるアーサー・ヘイスティングス大尉(Captain Arthur Hastings)と一緒に、優雅な休暇を楽しんでいた。
なお、マジェスティックホテルについても、架空のホテルで、実際には、デヴォン州のトーキー(Torquay → 2023年9月1日 / 9月4日付ブログで紹介済)内に所在するインペリアルホテル(Imperial Hotel → 2015年1月10日付ブログで紹介済)が、そのモデルとなっている。
インペリアルホテルの建物正面外観 <筆者撮影> |
一方、新聞では、世界一周飛行に挑戦中の飛行家であるマイケル・シートン大尉( Captain Michael Seton)が、太平洋上で行方不明になっていることを伝えていた。
テラスから庭へと通じる階段でポワロが足を踏み外したところ、丁度運良くそこに通りかかったニック・バックリー(Nick Buckley - 本名:マグダラ・バックリー(Magdala Buckley))に助けられ、事なきを得る。
彼女は、ホテルからほんの目と鼻の先にある岬の突端に立つやや古びた屋敷エンドハウス(End House)の若き女主人であった。
また、彼女は、父のフィリップ(Philip)と母のエイミー(Amy)を早くに亡くしており、祖父のサー・ニコラス・バックリー(Sir Nicholas Buckley)に育てられた。そのため、祖父が「Old Nick」、そして、彼女自身が「Young Nick」と呼ばれ、彼女は、「ニック」と言う愛称を得たのである。
ニック・バックリーがポワロを助けた後、蜂か何かが彼女の頭の方に飛んで来たようで、彼女はそれを追い払う仕草をする。
ポワロ達と少し話をした後、ニック・バックリーはエンドハウスへと帰ったが、彼女はそれまでかぶっていた日除け帽子をテラスのテーブルの上に忘れて行った。ポワロが残された帽子を手に取ってみると、帽子のつばには穴があいており、その上、近くには弾丸が落ちていたのである。と言うことは、ニック・バックリーが蜂による一刺しだと思ったのは、実際には、銃による狙撃だったのだ!
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