2025年7月7日月曜日

コナン・ドイル作「高名な依頼人」<小説版>(The Illustrious Client by Conan Doyle )- その5

英国で出版された「ストランドマガジン」
1925年2月号 / 3月号に掲載された挿絵(その5)-
本業の医師の仕事で外出していたジョン・H・ワトスンは、
チャリングクロス駅の近くで、

夕刊紙の売り子が持つ新聞の見出し

「シャーロック・ホームズ氏が暴漢の襲撃に遭う!を見て、

暫し呆然と立ち尽くすのであった。

挿絵:ハワード・ケッピー・エルコック
(Howard Keppie Elcock:1886年ー1952年)


1902年9月4日の午後5時半に、シャーロック・ホームズは、ロンドンの裏社会に通じた情報屋で、ホームズの協力者であるシンウェル・ジョンスン(Shinwell Johnson)から紹介されたキティー・ウィンター(Kitty Winter - オーストリアの貴族であるアデルバート・グルーナー男爵(Baron Adelbert Gruner)の元愛人で、被害者)を連れて、ド・メルヴィル将軍(General de Merville)とヴァイオレット・ド・メルヴィル(Violet de Merville)嬢が住むバークリースクエア104番地(104 Berkeley Square → 2014年11月29日付ブログで紹介済)を訪問した。


バークリースクエアの中心は、
バークリースクエアガーデンズ(Berkeley Square Gardens)と呼ばれる
大きな公園になっている。


しかしながら、ヴァイオレット・ド・メルヴィル嬢は、ホームズによる説得、そして、キティー・ウィンターによる暴露にも、全く聞く耳を持たず、アデルバート・グルーナー男爵に対する妻殺害疑惑を濡れ衣だと思い込んでいる彼女の態度は非常に頑なで、残念ながら、アデルバート・グルーナー男爵との結婚を思いとどませることは、不調に終わった。


ローストビーフが有名なシンプソンズ


その日の夜、ストランド通り(Strand → 2015年3月29日付ブログで紹介済)のレストラン(シンプソンズだと思われる)において、本業の医師の仕事を終えたジョン・H・ワトスンと一緒に食事をしたホームズは、ワトスンに対して、「こちらが次の一手(を指す前に、向こうが次の一手を打ってくる可能性がありうる。(it is possible that the next move may lie with them rather than with us.)」と告げる。


ストランド通りに面しているチャリングクロス駅の正面


2日後の夕方、ホームズの読みは、悪い方に的中した。

ワトスンが、グランドホテル(Grand Hotel)とチャリングクロス駅(Charing Cross Station → 2014年9月20日付ブログで紹介済)の間で、夕刊紙の売り子が持つ新聞見出しを見て、暫し呆然と立ち尽くす。そこには、黄色の地に黒色の文字で、次のように書かれていた。


「シャーロック・ホームズ氏が暴漢の襲撃に遭う!(Murderous Attack upon Sherlock Holmes)」と...


英国で出版された「ストランドマガジン」
1925年2月号 / 3月号に掲載された挿絵(その6)-
1902年9月6日の昼の12時頃、
カフェロイヤル前のリージェントストリートの路上において、
アデルバート・グルーナー男爵が放った二人組の暴漢に襲撃される。
ホームズは、ステッキで応戦するものの、
頭部と身体に大怪我を負ってしまう。

挿絵:ハワード・ケッピー・エルコック
(1886年ー1952年)


新聞によると、今日の昼の12時頃、カフェロイヤル(Cafe Royal → 2014年11月30日付ブログで紹介済)の外のリージェントストリート(Regent Street)の路上において、ホームズは、ステッキを持った二人組の暴漢に襲われたのだった。


リージェントストリート沿いの
カフェロイヤルの入口 -
大改装のため、カフェ・ロイヤルは2008年12月に一旦閉鎖され、
約4年間の改装工事を経て、
2012年12月に5つ星ホテルとして新しく生まれ変わり、現在に至っている。


ホームズを襲撃した二人組の暴漢は、カフェロイヤルの中を通り、裏のグラスハウスストリート(Glasshouse Street)へ抜け出ると、周囲の人達の目をかわして逃走した模様。



グラスハウスストリートに面した
カフェロイヤルの裏口

カフェロイヤル前のリージェントストリートにおいて、
シャーロック・ホームズを襲撃した
アデルバート・グルーナー男爵の手下達が逃走した先の
グラスハウスストリー


二人組の暴漢にステッキで打たれて、頭部と身体に大怪我を負ったホームズは、チャリングクロス病院(Charing Cross Hospital → 2014年12月6日付ブログで紹介済)へ搬送されたものの、自宅であるベーカーストリート221B(221B Baker Street → 2014年6月22日 / 6月29日付ブログで紹介済)へ運ぶよう、出張した、とのこと。


チャリングクロス病院の建物は、現在、
チャリングクロス警察署(Charing Cross Police Station)として使用されている。


新聞記事に目を通すや否や、ワトスンは、馬車に飛び乗って、ベーカーストリート221B へと向かうのであった。


0 件のコメント:

コメントを投稿