2025年7月15日火曜日

ロンドン グレイトラッセルストリート(Great Russell Street)

英国の建築家 / 都市計画家のジョン・ナッシュ
(John Nash:1752年-1835年)が住んでいた
グレイトラッセルストリート66番地の建物


セントジェイムズスクエアガーデンズ
(St. James's Square Gardens
→ 2015年10月25日付ブログで紹介済)内に置かれている
ジョン・ナッシュのプラーク

米国のペンシルヴェニア州(Pennsylvania)に出生して、英国人のクラリス・クルーヴス(Clarice Cleaves)との結婚後、1932年から1946年にかけて英国のブリストル(Bristol)に居を構えていた米国の推理作家で、「不可能犯罪の巨匠」とも呼ばれているジョン・ディクスン・カー(John Dickson Carr:1906年ー1977年)が1935年に発表した推理小説で、ギディオン・フェル博士(Dr. Gideon Fell)が登場するシリーズ第5作目に該る「死時計(Death-Watch → 2025年4月30日 / 5月4日付ブログで紹介済)」の終盤、有名な時計師(clockmaker)のジョハナス・カーヴァー(Johannus Carver)の自宅であるリンカーンズ・イン・フィールズ16番地(16 Lincoln’s Inn Fields → 2025年6月22日付ブログで紹介済)においてジョージ・フィンリー・エイムズ警部(Detecive-Inspector George Finley Ames - ガムリッジデパートの貴金属宝石売場において発生した事件を担当)を殺害した犯人を突き止めたギディオン・フェル博士は、事件の真相について、スコットランドヤードのディヴィッド・ハドリー主任警部(Chief Inspector David Hadley)とメルスン教授(Professor Melson - 歴史学者で、ギディオン・フェル博士の友人)に説明を行った。



日本の出版社である東京創元社から創元推理文庫として出版された
ジョン・ディクスン・カー作「死時計」の裏表紙
カバーイラスト:山田 雅史


それはそうと、本編は面子いかんの問題ではなく、おのれの抜け目のなさを過信した男の犯した殺人が本筋なのだから、それを明らかにするために、その夜半すぎにグレート・ラッセル街のフェル博士止宿のホテルで交された会話を収録しておかなくてはならぬ。ハドリーは、自分が功績を立てるに至った経緯に、ひそかに磨きをかけなければならなかった。そのとき博士に同席していたのは、ハドリーとメルスンだけだった。

(吉田 誠一訳)


英国の建築家 / 都市計画家のジョン・ナッシュ
(1752年-1835年)が最初に設計した
グレイトラッセルストリート67番地 - 70番地の建物


ギディオン・フェル博士の宿が所在したグレイトラッセルストリート(Great Russell Street)は、ロンドンの特別区の一つであるロンドン・カムデン区(London Borough of Camden)のブルームズベリー地区(Bloomsbury)内にある東西に延びる通りである。

グレイトラッセルストリートの西側は、トッテナムコートロード(Tottenham Court Road → 2015年8月15日付ブログで紹介済)から始まり、その東側は、サザンプトンロウ(Southampton Row)で終わっている。

グレイトラッセルストリートは、基本的に、西側から東側へ向かう一方通行の通りである。


英国系アイルランド人の建築家である
トマス・ヘンリー・ワイアット
(Thomas Henry Wyatt:1807年ー1880年)が住んでいた
グレイトラッセルストリート77番地の建物



グレイトラッセルストリート沿いには、イングリッシュヘリテージ(English Heritage - イングランドの歴史的建造物を保護する目的で、英国政府により設立された組織)が管理するブループラーク(Blue Plaque)が掛けられた建物が多く所在している。


大英博物館の正面入口 -
グレイトラッセルストリートに面している。


グレイトラッセルストリートが非常に有名なのは、同通り沿いに大英博物館(British Museum → 2014年5月26日付ブログで紹介済)が建っていて、多くの観光客が集うからである。


サー・アーサー・イグナティウス・コナン・ドイル(Sir Arthur Ignatius Conan Doyle:1859年ー1930年)作「青いガーネット(The Blue Carbuncle → 2025年1月1日 / 1月2日 / 1月3日 / 1月4日付ブログで紹介済)」の場合、アルファイン(Alpha Inn → 2015年12月19日付ブログで紹介済)と言うパブが登場する。

なお、「青いガーネット」は、シャーロック・ホームズシリーズの短編小説56作のうち、7番目に発表された作品で、英国の「ストランドマガジン(The Strand Magazine)」の1892年1月号に掲載された。

同作品は、1892年に発行されたホームズシリーズの第1短編集「シャーロック・ホームズの冒険(The Adventures of Sherlock Holmes)」に収録されている。


英国の Laurence King Publishing Group Ltd. から2020年に出ている
「シャーロック・ホームズの世界」と言うジグソーパズル(1000ピース)-
画面中央に建つ建物が、パブ「アルファイン」。


アルファインというパブは架空の酒場で、残念ながら、実在していない。ただし、大英博物館の正面入口近くにある「ミュージアム・タバーン(Museum Tavern)」というパブがアルファインのモデルだったのではないかと一般に言われている。

「ミュージアム・タバーン」は、大英博物館の前を通るグレイトラッセルストリートと、ハイホルボーン通り(High Holborn)から北上してくるミュージアムストリート(Museum Street)が交差した角に建つパブで、具体的な住所は、「49 Great Russell Street, Bloomsbury, London WC1B 3BA」となっている。


アルファイン」のモデルになったと一般に言われているパブ「ミュージアム・タバーン」


「ミュージアム・タバーン」は、18世紀初期からここで既に営業していて、大英博物館がオープンするまでは「The Dog & Duck」と呼ばれていたが、1759年に大英博物館がオープンしたのに伴い、現在の名前に変更された。

ホームズシリーズの作者であるコナン・ドイルもこのパブの常連であったことが知られており、そのことから、彼がこの「ミュージアム・タバーン」をアルファインのモデルにしたものと考えられている。実際、コナン・ドイルの原作上、アルファインの場所に言及した部分があるが、「ミュージアム・タバーン」の位置は、彼の原作にうまくマッチしている。


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