2022年10月8日土曜日

オスカー・ワイルド作「ドリアン・グレイの肖像」<小説版>(The Picture of Dorian Gray by Oscar Wilde )- その2

英国の Penguin Books Ltd. から
Penguin Classics シリーズの一つとして出版されている
オスカー・ワイルド作「ドリアン・グレイの肖像」の裏表紙
(Cover : Detail from The Earl of Dahlhousie (1900)
by John Singer Sargent, in Brechin Castle)
(Photo : courtesy The Earl of Dalhousie)


レディーブランドン(Lady Brandon)から、金髪碧眼の美青年であるドリアン・グレイ(Dorian Gray)を紹介された画家のバジル・ホールウォード(Basil Hallward)は、彼の美しさに惚れ込み、彼をモデルにして、肖像画を描き始める。

ある夏の日、バジル・ホールウォードの友人で、逆説家のヘンリー・ウォットン卿(Lord Henry Wotton - 愛称:ハリー(Harry))が、画家の元を訪れ、ドリアン・グレイと知り合いになる。そして、バジル・ホールウォードが描く肖像画のモデルとなっている間、ドリアン・グレイは、ヘンリー卿による自分の若さと美しさへの賞賛、また、「奔放な生き方こそ、最高の芸術だ。」と言う言葉に、次第に酔わされていく。

やがて、完成した自分の肖像画をバジル・ホールウォードから見せられたドリアン・グレイは、肖像画に描かれた自分の若さと美しさに魅せられ、「実際の自分ではなく、肖像画の自分の方が、歳をとればいいのに。そのためには、自分は、全てを、自分の魂さえも捧げる。」と、自分の願望を吐露するのであった。

‘How sad it is! I shall grow old, and horrible, and dreadful. It will never be older than this particular day of June.... If it were only the other way! If it were I who was to be always young, and the picture that was to grow old! For that - for that - I would give everything! Yes, there is nothing in the whole world I would not give! I would give my soul for that!’


ヘンリー卿の言葉に酔わされたドリアン・グレイは、その通りに、奔放な生き方を始める。ある時、ドリアン・グレイは、労働者階級が主な観客である劇場において、ウィリアム・シェイクスピア劇を演じる若い舞台女優であるシヴィル・ヴェイン(Sibyl Vane)を見かけ、彼女と恋に落ち、婚約する。

シヴィル・ヴェインは、ドリアン・グレイのことを「Prince Charming」と呼んで夢中になるが、彼女の弟であるジェイムズ・ヴェイン(James Vane - 愛称:ジム(Jim))は、妹のことを心配し、「Prince Charming が妹のことを傷つけたら、必ず彼を殺す。」と警告した。


シヴィル・ヴェインと婚約して有頂天のドリアン・グレイは、ヘンリー卿とバジル・ホールウォードの二人を誘って、シヴィル・ヴェインがジュリエットを演じる「ロミオとジュリエット(Romeo and Juliet)」の観劇に出かけた。しかし、シヴィル・ヴェインは、本当の恋を知ったために、平凡な女優に成り下がってしまい、当日の彼女の演技は、散々であった。それ故に、ドリアン・グレイは、シヴィル・ヴェインに幻滅してしまい、彼女との婚約を破棄し、彼女を捨ててしまう。

その夜、自宅に戻ったドリアン・グレイは、バジル・ホールウォードから貰い受けた肖像画の中の自分の姿が醜くなっているのを見て、非常に驚く。


翌日、自宅を訪れたヘンリー卿から、シヴィル・ヴェインが自殺したことを聞かされるものの、ドリアン・グレイは、彼女のことは気にせず、引き続き、奔放な生き方を続けていくことにする。そして、彼は、どんどん醜くなっていく自分の肖像画を、自宅の屋根裏部屋に隠すのであった。

ナショナルポートレートギャラリー
(National Portrait Gallery)で販売されている
オスカー・ワイルドの写真の葉書
(Napoleon Sarony / 1882年 / Albumen panel card
305 mm x 184 mm) 


そして、月日は流れ、20年後に、話は移る。

ドリアン・グレイによる奔放な生活にかかる噂の真偽を確かめるために、バジル・ホールウォードは、パリへと向かう前に、ドリアン・グレイの自宅を訪れる。

バジル・ホールウォードを迎えたドリアン・グレイは、不思議なことに、20年の歳月にもかかわらず、20年前の若さと美しさを保っていた。ドリアン・グレイは、バジル・ホールウォードが尋ねる噂の内容を全く否定せず、「自分の正体を見せる。」と言うと、バジル・ホールウォードに対して、屋根裏部屋に隠した自分の肖像画を見せた。

あまりにも醜悪に変貌してしまった肖像画を見て、非常なショックを受け、ドリアン・グレイのことを責めるバジル・ホールウォードを、ドリアン・グレイは、逆上の上、殺してしまう。そして、ドリアン・グレイは、かつて悪徳を共有したが故に弱みを握っている科学者であるアラン・キャンベル(Alan Campbell)を呼んで、バジル・ホールウォードの死体の始末を強いるのであった。


こうして、ドリアン・グレイは、転落の道を歩んでいく。 


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