2022年10月13日木曜日

ウィリアム・ウィルキー・コリンズ作「月長石」(The Moonstone by William Wilkie Collins)- その2

Penguin Books Ltd. から
Penguin Classics シリーズの一つとして1998年に出版されている
ウィルキー・コリンズ作「月長石」の裏表紙
(Cover design : Detail from Moonrise by the Sea (1822)
by Caspar David Friedrich
in the Nationalgalerie Berlin
Photo : Staatliche Museen zu Berlin Preussischer Kulturbesitz /
Jorg P. Anders ) 


「ヴィクトリア朝時代(1837年-1901年)に活躍した英国の小説家 / 推理作家 / 劇作家であるウィリアム・ウィルキー・コリンズ(William Wilkie Collins:1824年ー1889年 → 2022年9月2日 / 9月4日付ブログで紹介済)が、英国の小説家であるチャールズ・ジョン・ハファム・ディケンズ(Charles John Huffam Dickens:1812年ー1870年)が出版する週刊誌「All the Year Round」上に、1868年1月4日から同年8月8日の32週にわたって連載した長編数理小説で、英国の詩人 / 劇作家 / 文芸評論家であるトマス・スターンズ・エリオット(Thomas Stearns Eliot:1888年ー1965年 → 日本では、一般に、T・S・エリオットと呼ばれている)によって「最初の、最長の、最上の探偵小説(the first, the longest and the best of the modern English detective novel)」、また、「ウィルキー・コリンズの作品の中でも、最大にして、最良の推理小説(In its own time Collins’s thriller was an immediate best-seller, and one of his most popular novels.)」と称えられている「月長石(The Monnstone)」は、次のようにして、物語の幕が上がる。


インドに進出した英国軍の将校であるハーンキャッスル大佐(Colonel Herncastle)は、ヒンドゥー教徒の寺院に長く秘蔵されて来た秘宝である黄色いダイヤモンド「月長石」を奪う。その際、彼は、寺院とダイヤモンドを守っていたインド人達を殺害してしまう。

「月長石」を奪われた寺院は、ダイヤモンドを取り戻すべく、3人の教徒に奪還の使命を与えた。


数奇な運命を辿る「月長石」は、ハーンキャッスル大佐の手によって、英国へと渡る。

だが、その行くところには、常に謎のインド人の影がつきまとう。


その言動故に、ハーンキャッスル一族から遠ざけられた大佐は、一族に対する恨みから、彼の姪(=妹の娘)であるレイチェル・ヴェリンダー(Rachel Verinder)に「月長石」を遺贈するが、このことにより、彼女は、謎のインド人達に付きまとわれることになる。


ハーンキャッスル大佐の妹(3人姉妹のうち、一番下)であるジュリア・ハーンキャッスル(Julia Herncastle - 現在は、レディーヴェリンダー(Lady Verinder))とサー・ジョン・ヴェリンダー(Sir John Verinder - 現在は、故人)の娘であるレイチェル・ヴェリンダーは、18歳の誕生日を迎え、それを祝うパーティーが、ヴェリンダー家で開催された。

レイチェル・ヴェリンダーは、そのパーティーの席上、曰く付きの「月長石」を身に付けて、パーティーの出席者達に披露するが、その夜、「月長石」が彼女の部屋から忽然と消失してしまう。ヴェリンダー家の屋敷の周辺に出没していた謎のインド人3名に対して、「月長石」盗難の疑いが向けられる。

カフ巡査部長(Sergeant Cuff)を初めとするスコットランドヤードによる懸命な捜査も空しく、残念ながら、「月長石」の行方は、杳として知れなかった。


果たして、「月長石」は、どこへ消えたのだろうか?



「月長石」は、大きく分けると、


(1)First Period : The Loss of the Diamond (1848)

(2)Second Period : The Discovery of the Truth (1848 - 1849)

(3)Epilogue : The Finding of the Diamond (1849 - 1850)


で構成されている。


なお、「First Period」は、ヴェリンダー家の執事である Gabriel Betteredge が、「Second Period」は、

・Drusilla Clack(レイチェル・ヴェリンダーの従姉妹)

・Matthew Bruff(ヴェリンダー家の弁護士)

・Franklin Blake(レイチェル・ヴェリンダーの従兄弟)

・Ezra Jennings(キャンディー医師(Dr. Candy)の助手)

・Franklin Blake

・Sergeant Cuff(スコットランドヤードの巡査部長)

・Dr. Candy(ヴェリンダー家のかかりつけ医)

・Gabriel Betteredge(ヴェリンダー家の執事)

の順番で、物語のナレーターを務める。

そして、非常に短い「Epilogue」は、カフ巡査部長の部下や Mr. Murthwaite(インドに詳しい冒険家)等による証言や手紙で構成されている。


上記の通り、特に、「Second Period」は、物語が複数の人物の視点から語られており、物語の構成が複雑になっている。


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