2023年1月17日火曜日

シャーロック・ホームズの世界<ジグソーパズル>(The World of Sherlock Holmes )- その10

英国の Laurence King Publishing Group Ltd. から出ている「シャーロック・ホームズの世界(The World of Sherlock Holmes)」と言うジグソーパズル内に散りばめられているシャーロック・ホームズシリーズに登場する人物や物語の舞台となる建物、また、作者であるサー・アーサー・イグナティウス・コナン・ドイル(Sir Arthur Ignatius Conan Doyle:1859年-1930年)本人と彼に関連する人物等、50個にわたる手掛かりについて、引き続き、順番に紹介していきたい。

なお、本ジグソーパズル内に描かれているロンドンの建物に関して言うと、実際の位置関係とは大きく異なっているので、誤解がないようにお願いしたい。


舞台は、ロンドン特別区の一つであるカムデン区(London Borough of Camden)から、シティー・オブ・ロンドン (City of London → 2018年8月4日 / 8月11日付ブログで紹介済)、そして、スイスのマイリンゲン(Meiringen)へと移る。


(41)ベーカーストリート不正規隊(Baker Street Irregulars)


樽の前にたむろしている子供達が、
ベーカーストリート不正規隊のメンバー。


「ベーカーストリート不正規隊」は、シャーロック・ホームズの手足となって、捜査に協力するストリートチルドレンの集団である。

ベーカーストリート不正規隊は、ホームズから日当をもらい、スコットランドヤードの警官やホームズが入り込めない場所へ潜入し、警官やホームズでは聞き出すことが難しい有益な情報を得ることによって、彼らの真価を発揮する。コナン・ドイルによる原作において、ホームズは、ベーカーストリート不正規隊につき、「スコットランドヤードの警官1ダースよりも、彼ら一人の方が有用だ。」と高く評価している。ホームズは、日当以外に、彼らが得る情報の内容によっては、特別報酬も支払う上に、必要経費も負担していた。


フランスの Editions Glenat 社が出版して、
米国の Insight Editions 社から英語版が出ている
「ベーカーストリート不正規隊4人組 - Volume 2」の表紙–
画面左側から、トム(Tom)、ノラ猫のワトスン(Watson the Cat)、
ビリー(Billy - 本名:ウィリアム・フレッチャー(William Fletcher))、
そして、チャーリー(Charlie - 本名:シャーロット(Charlotte))が並んでいる。
ちなみに、ビリーが手にしている新聞には、
シャーロック・ホームズがスイスのライヘンバッハの滝で亡くなったことが告げられている。


なお、ベーカーストリート不正規隊のメンバーの名前は、「緋色の研究(A Study in Scarlet → 2016年7月30日付ブログで紹介済)」と「四つの署名(The Sign of the Four → 2017年8月12日付ブログで紹介済)」に登場する隊長のウィギンズ(Wiggins)と「背中の曲がった男(The Crooked Man)」に登場するシンプスン(Simpson)を除くと、不明である。


(42)アーサー・カドガン・ウェスト(Arthur Cadogan West)


地下鉄の駅の構内において、車輌の屋根の上に倒れているのが、
アーサー・カドガン・ウェスト。


アーサー・カドガン・ウェストは、短編「ブルース・パーティントン型設計図(The Bruce-Partington Plans)」に登場する人物である。

アーサー・カドガン・ウェストの死体が、
地下鉄の車輌の屋根の上に乗せる場面
(「ストランドマガジン」1908年12月号の
「ブルース・パーティントン型設計図」より)

「ブルース・パーティントン型設計図(The Bruce-Partington Plans)」は、シャーロック・ホームズシリーズの短編小説56作のうち、39番目に発表された作品で、英国では、「ストランドマガジン(The Strand Magazine)」の1908年12月号に、また、米国では、「コリアーズ ウィークリー(Collier’s Weekly)」の1908年12月18日号に掲載された。

また、同作品は、1917年に出版されたホームズシリーズの第4短編集「シャーロック・ホームズ最後の挨拶(His Last Bow)」に収録された。


オルドゲートハイストリート(Aldgate High Street)から見た地下鉄オルドゲート駅全景


アーサー・カドガン・ウェスト(27歳 / 独身)は、ウールウィッチ兵器工場(Woolwich Arsenal → 2016年3月12日付ブログで紹介済)の事務員(clerk)で、1895年11月第3週の月曜日の晩7時半頃、婚約者のヴァイオレット・ウェストベリー(Violet Westbury)を残したまま、突然霧の中へ立ち去り、そのまま行方不明となってしまう。そして、翌日の火曜日の朝6時に、地下鉄オルドゲート駅(Aldgate Tube Station)の近くの線路がトンネルから出てくる辺りのレールの上に横たわっている彼の死体が、線路の保線員によって発見される。彼の頭部はかなり損傷しており、列車から転落したか、あるいは、突き落とされたものと推測された。

兄であるマイクロフト・ホームズ(Mycroft Holmes)からの依頼を受けて、シャーロック・ホームズは、ジョン・H・ワトスンを伴って、現地へと向かうのである。


(43)ジェイムズ・モリアーティー教授(Professor James Moriarty)


スイスのマイリンゲンにあるライヘンバッハの滝の断崖絶壁において組み合う
シャーロック・ホームズ(右側)とジェイムズ・モリアーティー教授(左側)


ジェイムズ・モリアーティー教授は、短編「最後の事件(The Final Problem)」に登場するあまりにも有名な人物である。

挿絵画家であるシドニー・エドワード・パジェット
(Sidney Edward Paget:1860年ー1908年)が描く
ジェイムズ・モリアーティー教授。
(「ストランドマガジン」1893年12月号の「最後の事件」より)


「最後の事件」は、ホームズシリーズの56ある短編小説のうち、24番目に発表された作品で、英国では、「ストランドマガジン(The Strand Magazine)」の1893年12月号に、また、米国では、「マクルーアマガジン(McClure’s Magazine)」の1893年12月号に掲載された。

また、同作品は、1893年に出版されたホームズシリーズの第2短編集である「シャーロック・ホームズの回想(The Memoirs of Sherlock Holmes)」(1893年)に収録された。


「ストランドマガジン」1893年12月号の
「最後の事件」に掲載された挿絵 -

ライヘンバッハの滝の断崖絶壁において、
ホームズが、復讐のために、
彼をここまで追跡して来たジェイムズ・モリアーティー教授と
命を賭けて格闘する場面が描かれている。
(挿絵:シドニー・エドワード・パジェット)


ジェイムズ・モリアーティー教授は、シャーロック・ホームズの宿敵で、「犯罪界のナポレオン(Napoleon of crime)」と呼ばれており、ロンドンからの長い追跡劇の後、1891年5月4日、スイスのマイリンゲン(Meiringen)にあるライヘンバッハの滝(Reichenbach Falls)において、ホームズとの格闘の末、滝壺へと転落して、最後を迎えるのである。


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