2023年1月29日日曜日

アガサ・クリスティーの世界<ジグソーパズル>(The World of Agatha Christie )- その9

英国の Orion Publishing Group Ltd. から出ている「アガサ・クリスティーの世界(The World of Agatha Christie)」と言うジグソーパズル内に散りばめられているアガサ・メアリー・クラリッサ・クリスティー(Agatha Mary Clarissa Christie:1890年ー1976年)の生涯や彼女が執筆した作品等に関連した90個の手掛かりについて、前回に続き、紹介していきたい。


今回から、アガサ・クリスティーが執筆した作品に関連する手掛かりの紹介となる。


(42)ねずみとり(Mousetrap)


ミス・ジェーン・マープルの置き物の足元に、
ねずみとりが置かれている。


本ジグソーパズルにおいて、アガサ・クリスティーが座る椅子の右下に、つまり、ミス・ジェーン・マープル(Miss Jane Marple)の置き物の直ぐ横に、ねずみとりが置かれている。

(81)セントマーティンズ劇場の看板St. Martin's Theatre

アガサ・クリスティーが座る椅子の右側にある本棚の右下手前に、
セントマーティンズ劇場の看板が置かれている。

また、アガサ・クリスティーが座る椅子の右側にある本棚の右下手前に、セントマーティンズ劇場の看板が置かれている。

これらから連想されるのは、アガサ・クリスティーが1952年に発表した戯曲版「ねずみとり(The Mousetrap → 2015年10月11日付ブログで紹介済)」である。

地下鉄レスタースクエア駅(Leicester Square Tube Station)の近くに建つアンバサダーズ劇場(Ambassador's Theatre → 2015年9月27日付ブログで紹介済)において、戯曲版「ねずみとり」が、1952年11月25日に初演された。


1952年11月25日に戯曲版「ねずみとり」が初演を迎えた
アンバサダーズ劇場の全景


1974年3月25日に、アンバサダーズ劇場から隣りのセントマーティンズ劇場(St. Martin's Theatre → 2014年8月10日 / 2015年10月4日付けブログで紹介済)に上演の舞台が移った。


現在も、戯曲版「ねずみとり」のロングラン公演が行われているセントマーティンズ劇場


上演50周年を迎えた2002年11月25日には、英国のウィンザー朝第4代女王であるエリザベス2世(HM Queen Elizabeth II:1926年–2022年 / 在位期間:1952年–2022年 → 2022年9月9日 / 9月19日 / 9月20日 / 9月24日 / 9月27日 / 9月29日 / 10月3日 / 10月6日付ブログで紹介済)とエディンバラ公爵フィリップ(Prince Philip, Duke of Edinburgh:1921年 –2021年 → 2021年4月18日 / 4月19日 / 4月20日付ブログで紹介済)が特別公演を楽しまれた。


セントマーティンズ劇場における戯曲版「ねずみとり」公演25周年を記念して、
同劇場に送られた「銀のネズミ」


戯曲版「ねずみとり」の公演が50周年を迎えたことを示すプレート


2012年11月18日には、上演回数が25千回を超え、2012年11月25日には、上演60周年を、そして、2022年11月25日には、上演70周年を迎え、依然として、最長不倒のロングラン上演を続けている。


2015年7月末には公演回数が26,000回を超え、
今もロングランを続けている。


アガサ・クリスティーファンには周知の通り、「ねずみとり」は最初から戯曲として書かれた訳ではなく、早川書房クリスティー文庫の「愛の探偵たち(Three Blind Mice and Other Stories)」(1950年)という短編集に収録されている中編「三匹の盲目のねずみ(Three Blind Mice)」を脚色したものである。より正確に言うと、王太后メアリー・オブ・テックの80歳の誕生日を祝うため、BBCの依頼により、アガサ・クリスティーが1947年にラジオドラマとして執筆したものが、上記の中編の基となっている。


2011年に英国の HarperCollinsPublishers 社から出版された
「The Mousetrap and Other Plays」の表紙
(Cover Design : HarperCollinsPublishers 2011)


小説では、物語は第一の殺人の場面からいきなり始まる。場所は、ロンドンのパディントン駅(Paddington Station → 2014年8月3日付ブログで紹介済)近くの名もない下宿で、ライアン夫人と名乗っているモーリン・グレッグが何者かに殺害される。殺人犯は、お得意の歌として、「三匹の盲目のねずみ」(英国の有名な伝承童謡で、マザーグースの一つ)を口ずさむ。

そして、物語の舞台は、ロンドンからバークシャーのハープレーデンという町の近くにあるモンクスウェル館(Monkswell Manor Guest House)へ移る。戯曲版の「ねずみとり」では、ロンドンでの殺人シーンはなく、モンクスウェル館から物語が始まる。その代わりに、モンクスウェル館のラジオから「ロンドンで殺人事件が発生し、殺人犯が逃走中である。」というニュースが流される。


(ここからの登場人物は、戯曲の「ねずみとり」をベースにしている。)

モンクスウェル館は、モリーとジャイルズの若きロールストン夫妻(Mollie and Giles Ralston)が経営する、小さいがオープンしたてのゲストハウスで、雪が降る中、かねてからの予約客4名が次々に到着する。


(1)若い男性建築家のクリストファー・レン(Mr. Christopher Wren):この名前を聞くと、セントポール大聖堂(St. Paul's Cathedral → 2018年8月18日 / 8月25日 / 9月1日付ブログで紹介済)、ロンドン大火記念塔(Monument to the Great Fire of London → 2015年10月11日付ブログで紹介済)やグリニッジ王立天文台(Royal Greenwich Observatory)等を設計施工した英国の著名建築家のクリストファー・レン卿(Sir Christopher Wren:1632年ー1723年)を思い出すが、同姓同名の別人物。

(2)年輩の女性ボイル夫人(Mrs. Boyle)

(3)中年男性のメトカーフ少佐(Major Metcalf)

(4)若い女性のミス・ケースウェル(Miss Casewell)


雪がなおも激しく降り続く中、(5)外国人風の男性パラヴィチー二氏(Mr. Paravicini)が現れ、玄関をノックする。パラヴィチー二氏は、車がスリップしてしまったと言い、モンクスウェル館に急遽宿泊することになる。その直後、記録破りの大雪によって、館に続く道も埋まり、モンクスウェル館は外界から完全に孤立してしまう。

その後、雪で閉ざされて孤立したモンクスウェル館に警察から電話連絡が入り、警官を1名差し向けると言う。その連絡に基づいて、ロンドン訛の若い男性のトロッキー部長刑事(Detective Sergeant Trotter)がスキーでモンクスウェル館までやって来る。


ロンドンで発生した殺人事件の犯人は、大雪で不運にもモンクスウェル館に閉じ込められた滞在客の中に紛れ込んでいるのだろうか?登場人物達の間に疑惑が深まって行き、ロールストン夫妻も、もしかして相手が殺人犯なのではと、お互いに疑い始める。

そして、疑惑と緊張が頂点に達した時、第二の殺人が発生する。不気味な「三匹の盲目のねずみ」の童謡が流れ、我々の目の前に驚くべき殺人犯がその姿を現すのである。


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