2025年8月25日月曜日

ロンドン ピッツハンガーマナー(Pitzhanger Manor)- その3


英国の新古典主義を代表する建築家となり、1788年10月16日に、英国の建築家 / 彫刻家であるサー・ロバート・テイラー(Sir Robert Taylor:1714年ー1788年)の後を継いで、イングランド銀行(Bank of England → 2015年6月21日 / 6月28日付ブログで紹介済)の建築家に就任し、その後、1833年まで45年間にわたり、その任を務めたサー・ジョン・ソーン(Sir John Soane:1753年ー1837年 → 2025年6月24日 / 6月28日 / 7月9日付ブログで紹介済)の自邸(ロンドンの西部イーリング地区(Ealing)のウォルポールパーク(Walpole Park)内に所在するマナーハウス)だったピッツハンガーマナー(Pitzhanger Manor - 1800年:購入 / 1800年ー1804年:改築工事 / 1810年:売却)は、数名の購入者の手を経た後、1843年に、英国で唯一暗殺された首相であるスペンサー・パーシヴァル(Spencer Perceval:1762年ー1812年)の娘の邸宅となった。


英国の肖像画家であるサー・トマス・ローレンス
(Sir Thomas Lawrence:1769年ー1830年)が描いた
「サー・ジョン・ソーン(76歳)の肖像画 (Portrait of Sir John Soane, aged 76)」
(1828年ー1829年)
の絵葉書
Oil on canvas 
<筆者がサー・ジョン・ソーンズ博物館で購入>


1900年に、ロンドンの特別区の一つであるイーリング区(London Borough of Ealing)が、ピッツハンガーマナーを購入し、公立図書館への改装に着手。ただし、最後の住民であるフレデリカ・パーシヴァル(Frederika Perceval)がまだ住んでいたため、彼女が1901年5月に亡くなってからの工事着工となった。


ピッツハンガーマナー本館の入口(その1)

ピッツハンガーマナー本館の入口(その2)

ピッツハンガーマナー本館の入口(その3)

ピッツハンガーマナー本館の入口(その4)


英国の建築家であるチャールズ・ジョーンズ(Charles Jones:1830年ー1913年)が、主任監督官として、ピッツハンガーマナーの改装工事を担当。

まず最初に、チャールズ・ジョーンズは、英国の建築家であるジョージ・ダンス(子)(George Dance the Younger:1741年ー1825年)が設計した南ウィング地階の食堂の西側に増築。ただし、複数の建築様式が衝突し合うことを避けるため、増築部分を元からある隣室と同じ様式で設計。また、本館北側に所在した使用人用の建物と古代ローマ遺跡風のモニュメントは取り壊して、その跡地に本館と棟続きになる新館を新築。この新館が、現在、「PMギャラリー&ハウス(PM Gallery & House)」と呼ばれている。

改装工事が終わった1902年4月、ピッツハンガーマナーは、公立図書館として、一般に公開された。









1938年から1940年にかけて、公立図書館の機能は、本館から棟続きの新館へ移された。

1984年には、ピッツハンガーマナーにおける図書館機能は、同所から近くのイーリングブロードウェイショッピングセンター(Ealing Broadway Shopping Centre)に新設された図書館へ完全に移行。

1985年より、ピッツハンガーマナー修復作業がスタート。







修復作業を終えた新館は、1987年1月より、「PMギャラリー&ハウス」として、現代美術展示場、イベント会場やワークショップ会場等として使用されている。


画面奥に見える建物が、ピッツハンガーマナー新館。

ピッツハンガーマナー新館において開催された
現代美術展の数々。


イーリング区は、建物構造や塗装類の分析を通じて、サー・ジョン・ソーンによるピッツハンガーマナー改築工事当時の外観を復元するプロジェクトを開始し、2015年より工事に着工。その際、チャールズ・ジョーンズによる南ウィング地階の食堂の西側への増築も撤去。


イーリング区による復元作業により、
ジョージ・ダンスが設計した南ウィングは元に復旧(その1)

イーリング区による復元作業により、
ジョージ・ダンスが設計した南ウィングは元に復旧(その2)


復元工事の竣工後、2019年3月19日、「ピッツハンガーマナー&ギャラリー(Pitzhanger Manor & Gallery)」として再オープンを迎える。







「ピッツハンガーマナー&ギャラリー」は、現在、歴史的な建造物の一つとして、「グレード I(Grade I listed building)」に指定されている。

ピッツハンガーマナーは、サー・ジョン・ソーンが改築を行った当時の外観を保っているため、映画やテレビドラマ等のロケ地として、撮影に使用されている。



ピッツハンガーマナー本館の最上階に設置されている
アテナ像

ピッツハンガーマナー本館の階段の壁に置かれている
サー・ジョン・ソーンの胸像


「ピッツハンガーマナー&ギャラリー」の西側には、ウォルポールパークが広がっている。

「ピッツハンガーマナー&ギャラリー」に隣接する
Walled Garden(その1)

「ピッツハンガーマナー&ギャラリー」に隣接する
Walled Garden(その2)


「ピッツハンガーマナー&ギャラリー」に隣接する
Walled Garden(その3)

「ピッツハンガーマナー&ギャラリー」に隣接する
Walled Garden(その4)

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