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ドーヴァーストリート5−7番地の建物外観 <筆者撮影> |
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HarperCollins Publishers 社から2008年に出ている アガサ・クリスティー作「秘密機関」のグラフィックノベル版 - 第一次世界大戦後、タペンスこと、プルーデンス・カウリーと トミーこと、トマス・ベレズフォードの2人は、 ロンドンの地下鉄ドーヴァーストリート駅のドーヴァーストリート出口において、数年ぶりに再会する。 |
二人は、お互いに戦後の就職難に悩まされていた。トミーの方は、大戦中の1916年に負傷しており、一方、タペンスの方は、大戦中ずーっと、ボランティアとして、様々な形で働いていたのである。
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アガサ・クリスティー作「秘密機関」に出てくる 地下鉄ドーヴァーストリート駅のドーヴァーストリート出口は、 ドーヴァーストリート5−7番地に所在した駅ビルにあった。 <筆者撮影> |
トミーとタペンスが再会した地下鉄ドーヴァーストリート駅とは、現在の地下鉄グリーンパーク駅(Green Park Tube Station → 2025年7月30日付ブログで紹介済)のことで、ロンドンの中心部であるシティー・オブ・ウェストミンスター区(City of Westminster)メイフェア地区(Mayfair)内に所在している。
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ドーヴァーストリート5−7番地の建物の右側には、現在、パブが建っている。 画面奥で左右に延びる通りが、ピカデリー通り。 <筆者撮影> |
英国の建築家であるレスリー・ウィリアム・グリーン(Lesile William Green:1875年ー1908年)が設計した駅ビルがドーヴァーストリート沿いに建設されたため、地下鉄の駅は、ドーヴァーストリート駅と命名。
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アガサ・クリスティー作「秘密機関」において、 トミーとタペンスは、ドーヴァーストリート5−7番地の駅ビルにあった 地下鉄ドーヴァーストリート駅のドーヴァーストリート出口で再会した。 <筆者撮影> |
地上とプラットフォームを結ぶリフトの代わりに、エスカレーターが導入。
また、チケットホールは、ピカデリー通り(Piccadilly - ピカデリーラインとベイカールーライン(Bakerloo Line)の2線が乗り入れる地下鉄ピカデリーサーカス駅(Piccadilly Circus Tube Station)とピカデリーラインが停まる地下鉄ハイドパークコーナー駅(Hyde Park Corner Tube Station → 2015年6月14日付ブログで紹介済)を東西に結ぶ通り)の地下に新たに設置され、1933年9月18日にオープン。
チケットホールへの出入口(北側)は、ピカデリー通り側とストラットンストリート(Stratton Street - ドーヴァーストリートよりも2つ西に所在する通り)側に、また、出入口(南側)は、リッツ ロンドン(The Ritz London → 2025年7月2日 / 7月25日付ブログで紹介済)の西側に隣接するグリーンパーク(Green Park)側に設けられた。
その結果、地下鉄の名前は、「ドーヴァーストリート駅」から「グリーンパーク駅」へと改名。
これに伴い、ドーヴァーストリート沿いの駅ビルは、閉鎖の憂き目に遭う。
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ドーヴァーストリートの北側から ドーヴァーストリート5−7番地の建物を見たところ。 <筆者撮影> |
つまり、アガサ・クリスティー作「秘密機関」に出てくる地下鉄ドーヴァーストリート駅のドーヴァーストリート出口は、この駅ビルのところにあり、トミーとタペンスはここで数年ぶりに再会した訳である。
残念ながら、現在の「ドーヴァーストリート5-7番地」の建物は、ギャラリー(1階)とフラット(2階以上)に改装されており、当時の外観は留めてはいないと思われる。

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