2025年8月23日土曜日

ロンドン 地下鉄ハマースミス駅(Hammersmith Tube Station)- その1

ディストリクトラインとピカデリーラインが乗り入れている
地下鉄ハマースミス駅が入っているショッピングセンタービル -
環状交差点(roundabout)の中に所在している。
<筆者撮影>

アガサ・メアリー・クラリッサ・クリスティー(Agatha Mary Clarissa Christie:1890年ー1976年)が1933年に発表したエルキュール・ポワロシリーズの長編「エッジウェア卿の死」(Lord Edgware Dies → 2025年3月19日 / 3月29日付ブログで紹介済)」は、アガサ・クリスティーが執筆した長編としては、第13作目に該り、エルキュール・ポワロシリーズの長編のうち、第7作目に該っている。


英国の HarperCollins Publishers 社から以前に出版されていた
アガサ・クリスティー作「エッジウェア卿の死」の
ペーパーバック版の表紙


本作品は、英国では、「Lord Edgware Dies」と言うタイトルで出版されたが、米国では、「Thirteen at Dinner(晩餐会の13人)」と言う題名へ変更されている。


英国の HarperCollins Publishers 社から現在出版されている
アガサ・クリスティー作
「エッジウェア卿の死」のペーパーバック版の表紙


「エッジウェア卿の死」は、エルキュール・ポワロとアルゼンチンから一時帰国したアーサー・ヘイスティングス大尉(Captain Arthur Hastings)の2人が、米国からロンドン/パリ公演ツアーに来ている女芸人カーロッタ・アダムズ(Carlotta Adams)の舞台を観たところから、その物語が始まる。


日本の出版社である株式会社早川書房から以前に発行されていた
アガサ・クリスティー作「エッジウェア卿の死」の文庫版表紙
(カバーイラスト:真鍋博氏)


背景や衣装等を必要としない彼女の「人物模写演技」は完璧で、一瞬で顔つきや声音等を変えて、その人自身になりきるのであった。第4代エッジウェア男爵ジョージ・アルフレッド・セント・ヴィンセント・マーシュ(George Alfred St. Vincent Marsh, 4th Baron Edgware)/ エッジウェア卿(Lord Edgware)と結婚している米国出身の舞台女優ジェーン・ウィルキンスン(Jane Wilkinson)の物真似に関しても見事の一言で、ポワロは深く感銘を受ける。

更に、驚くことには、ポワロとヘイスティングス大尉の真後ろの席には、ジェーン・ウィルキンスン本人と映画俳優のブライアン・マーティン(Bryan Martin)の2人が、カーロッタ・アダムズによるジェーン・ウィルキンスンの人物模写演技を楽し気に観劇していた。


日本の株式会社 早川書房から現在出版されている
クリスティー文庫7「エッジウェア卿の死」の表紙
 < Photograph : CORBIS / amana images
Cover Design : Hayakawa Design >


女芸人カーロッタ・アダムズによる舞台が終わった後、ポワロとヘイスティングス大尉は、サヴォイホテル(Savoy Hotel → 2016年6月12日付ブログで紹介済)へと移動して、夕食をとる。

その夕食の途中、ブライアン・マーティンと一緒に居たジェーン・ウィルキンスンが、ポワロの席を訪れて、内密の会話を求める。

サヴォイホテルの正面玄関
<筆者撮影>


ジェーン・ウィルキンスンが宿泊している同ホテル3階にある彼女の部屋へと移動した後、彼女から「離婚話に応じない夫を説得してもらいたい。」という依頼を受けたポワロが、その2-3日後、リージェントゲート(Regent Gate → 2025年3月23日付ブログで紹介済)にあるエッジウェア卿の邸を訪問したところ、彼は「6ヶ月も前に、離婚に同意する旨を彼女宛に手紙で既に伝えた。」と答えるのであった。話のくい違いに納得がいかないポワロであったが、そのまま帰宅せざるを得なかった。


リージェンツパーク(Regent's Park → )内に設置されている
リージェンツパークの俯瞰地図
<筆者撮影>


エッジウェア卿邸を出たその足で、ポワロとヘイスティングス大尉の2人は、サヴォイホテルへと赴き、ジェーン・ウィルキンスンと面会するものの、彼女曰く、「夫からそのような手紙を受け取っていない。」とのことだった。

更に、ポワロ達は、ジェーン・ウィルキンスンから、「夫との離婚が成立でき次第、現在交際しているマートン公爵(Duke of Merton)との再婚を考えている。」と告げられる。


チャーターハウス スクエア6-9番地 フローリンコート
(Florin Court, 6-9 Charterhouse Square → 2014年6月29日付ブログで紹介済)が、
ポワロが住むホワイトヘイヴンマンションズ(Whitehaven Mansions)として、撮影に使用されている。
<筆者撮影>


その翌朝(6月30日の午前9時半)、スコットランドヤードのジャップ警部(Inspector Japp)が、ポワロの元を訪れる。

ジャップ警部から、ポワロとヘイスティングス大尉の2人は、「前夜、エッジウェア卿が、リージェントゲートの自邸の書斎において、頸部を刺され、殺害された。」と知らされる。

エッジウェア卿の執事であるアルトン(Alton)と秘書であるミス・キャロル(Miss Carroll)は、「事件があった当夜の午後10時頃、ジェーン・ウィルキンスンがエッジウェア卿を訪ねて来たので、書斎へと通した」ことを証言する。

ところが、ジェーン・ウィルキンスンは、「夫が殺された当夜、テムズ河(River Thames)畔のチジック地区(Chiswick → 2016年7月23日付ブログで紹介済)内に邸宅を所有しているサー・モンタギュー・コーナー(Sir Montague Corner)が開催した盛大な晩餐会に出席していた。」と答え、また、その晩餐会に出席していた他の客達も、彼女がその場に居たことを認めた。つまり、妻で、一番疑わしいジェーン・ウィルキンスンには、アリバイがあったのだ。


筆者がチジックハウス(Chiswick House)で購入した
イングリッシュヘリテージ(English Heritage)のガイドブック


物語の中盤、ポワロとヘイスティングス大尉の2人は、ジェーン・ウィルキンスンのアリバイを再確認するために、サー・モンタギュー・コーナーの邸宅を訪れる。

邸宅には、サー・モンタギュー・コーナー夫妻の他に、問題の晩餐会に出席していたロナルド・ロス(Ronald Ross - 若き俳優)も偶然居た。サー・モンタギュー・コーナー夫妻も、ロナルド・ロスも、ジェーン・ウィルキンスンが問題の晩餐会に出席していたことを証言する。


ディストリクトラインとピカデリーラインが乗り入れている
地下鉄ハマースミス駅の入口
<筆者撮影>


サー・モンタギュー・コーナーの邸宅を辞したポワロとヘイスティングス大尉の2人に対して、ロナルド・ロスは、「ハマースミス駅からケンジントン(Kensington)のフラットへ帰ります。」と告げた。


サークルラインとハマースミス&シティーラインが乗り入れている
地下鉄ハマースミス駅の駅舎
<筆者撮影>


ロナルド・ロスがケンジントンのフラットへ帰るために使用した地下鉄ハマースミス(Hammersmith Tube Station)は、ロンドンの特別区の一つであるハマースミス&フラム区(London Borough of Hammersmith and Fulham)ハマースミス地区(Hammersmith)内に所在する地下鉄の駅である。


サークルラインとハマースミス&シティーラインが乗り入れている
地下鉄ハマースミス駅の入口
<筆者撮影>


地下鉄ハマースミス駅には、以下の3つのラインが乗り入れている。


(1)サークルライン(Circle Line)/ ハマースミス&シティーライン(Hammermisth & City Line)

(2)ディストリクトライン(District Line)

(3)ピカデリーライン(Piccadilly Line)


サークルラインとハマースミス&シティーラインが乗り入れている
地下鉄ハマースミス駅の改札口とプラットフォーム
<筆者撮影>


サークルライン / ハマースミス&シティーラインの場合、地下鉄ハマースミス駅は、西側の終点でる。

ディストリクトラインの場合、地下鉄ハマースミス駅を出た後、終点である地下鉄ウェストイーリング駅(West Ealing Tube Station)、あるいは、地下鉄リッチモンド駅(Richmond Tube Station)へと向かう。

ピカデリーラインの場合、地下鉄ハマースミス駅を出た後、終点であるヒースロー空港(Heathrow Airport)へと向かっている。 


                                         

0 件のコメント:

コメントを投稿