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ディストリトラインとピカデリーラインが乗り入れている 地下鉄ハマースミス駅の入口(その1) <筆者撮影> |
アガサ・メアリー・クラリッサ・クリスティー(Agatha Mary Clarissa Christie:1890年ー1976年)が1933年に発表したエルキュール・ポワロシリーズの長編「エッジウェア卿の死」(Lord Edgware Dies → 2025年3月19日 / 3月29日付ブログで紹介済)」において、第4代エッジウェア男爵ジョージ・アルフレッド・セント・ヴィンセント・マーシュ(George Alfred St. Vincent Marsh, 4th Baron Edgware)/ エッジウェア卿(Lord Edgware)が殺された夜、米国出身の舞台女優ジェーン・ウィルキンスン(Jane Wilkinson)は、「テムズ河(River Thames)畔のチジック地区(Chiswick → 2016年7月23日付ブログで紹介済)内に邸宅を所有しているサー・モンタギュー・コーナー(Sir Montague Corner)が開催した盛大な晩餐会に出席していた。」と答え、また、その晩餐会に出席していた他の客達も、彼女がその場に居たことを認めた。つまり、妻で、一番疑わしいジェーン・ウィルキンスンには、アリバイがあったのだ。
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英国の HarperCollins Publishers 社から以前に出版されていた アガサ・クリスティー作「エッジウェア卿の死」の ペーパーバック版の表紙 |
エルキュール・ポワロとアーサー・ヘイスティングス大尉(Captain Arthur Hastings)の2人がサー・モンタギュー・コーナーの邸宅を訪れた際、問題の晩餐会に出席していたロナルド・ロス(Ronald Ross - 若き俳優)も偶然居た。サー・モンタギュー・コーナー夫妻も、ロナルド・ロスも、ジェーン・ウィルキンスンが問題の晩餐会に出席していたことを証言する。
サー・モンタギュー・コーナーの邸宅を辞したポワロとヘイスティングス大尉に対して、ロナルド・ロスは、「ハマースミス駅からケンジントン(Kensington)のフラットへ帰ります。」と告げた。
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英国の HarperCollins Publishers 社から現在出版されている アガサ・クリスティー作「エッジウェア卿の死」のペーパーバック版の表紙 |
ロナルド・ロスがケンジントンのフラットへ帰るために使用した地下鉄ハマースミス(Hammersmith Tube Station)は、ロンドンの特別区の一つであるハマースミス&フラム区(London Borough of Hammersmith and Fulham)ハマースミス地区(Hammersmith)内に所在する地下鉄の駅である。
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ディストリトラインとピカデリーラインが乗り入れている 地下鉄ハマースミス駅の入口(その2) <筆者撮影> |
地下鉄ハマースミス駅には、以下の3つのラインが乗り入れている。
(1)サークルライン(Circle Line)/ ハマースミス&シティーライン(Hammermisth & City Line)
(2)ディストリクトライン(District Line)
(3)ピカデリーライン(Piccadilly Line)
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ディストリトラインとピカデリーラインが乗り入れている 地下鉄ハマースミス駅が入っているショッピングセンタービルを ハマースミスブロードウェイ越しに見上げたところ <筆者撮影> |
実は、地下鉄ハマースミス駅は2つに分かれていて、ディストリクトラインとピカデリーラインの2線が乗り入れている駅は、ハマースミスブロードウェイ(Hammersmith Broadway)に北側を、バターウィック(Butterwick)に東側を、クイーンキャロラインストリート(Queen Caroline Street)に西側を、そして、タルガースロード(Talgarth Road)に南側を囲まれた環状交差点(roundabout)内に建つショッピングセンタービル内に所在している。
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バスターミナルからショッピングセンタービルへの入口 <筆者撮影> |
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バスターミナルからショッピングセンタービルを向かう通路の壁アート(その1) <筆者撮影> |
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バスターミナルからショッピングセンタービルを向かう通路の壁アート(その2) <筆者撮影> |
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バスターミナルからショッピングセンタービルを向かう通路の床 <筆者撮影> |
ディストリクトラインが地下鉄アールズコート駅(Earl’s Court Tube Station)から西進した結果、1874年9月9日、地下鉄ハマースミス駅は、西側の終点駅としてオープン。
1877年、ディストリクトラインは地下鉄ハマースミス駅から更に地下鉄レイヴンズコートパーク駅(Ravenscourt Park Tube Station)まで西進し、ロンドン&サウスウェスタン鉄道(London and South Western Railway)に接続、路線は地下鉄リッチモンド駅(Richmond Tube Station)まで延伸した。
ピカデリーラインは、1906年12月15日、地下鉄ハマースミス駅まで西進。
1990年代初めに、当時の駅ビルが、隣接するバスガレージと一緒に、取り壊され、ショッピングセンタービルとバスターミナルが建設され、ディストリクトラインとピカデリーラインが乗り入れる地下鉄ハマースミス駅は、同ショッピングセンタービル内に入った。
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ショッピングセンタービルに隣接するバスターミナル <筆者撮影> |
一方、サークルライン / ハマースミス&シティーラインが乗り入れている駅は、上記の環状交差点から北西へ延びるビードンロード(Beadon Road)の北側に所在している。
同駅は、サークルライン / ハマースミス&シティーラインの西側の終点駅となっている。
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サークルライン / ハマースミス&シティーラインが乗り入れている 地下鉄ハマースミス駅の駅舎 <筆者撮影> |
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サークルライン / ハマースミス&シティーラインが乗り入れている 地下鉄ハマースミス駅の構内から外を見たところ - 画面奥を左右に延びる通りが、ビードンロード。 <筆者撮影> |
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サークルライン / ハマースミス&シティーラインが乗り入れている 地下鉄ハマースミス駅の改札口とプラットフォーム <筆者撮影> |
地下鉄ハマースミス駅を出たディストリクトラインとピカデリーラインの2線は、サウスケンジントン駅(South Kensington Tube Station)に停車するので、ロナルド・ロスは、ディストリクトラインとピカデリーラインのいずれかの線を使って、自分のフラットへ帰ったものと思われる。

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