2022年12月14日水曜日

トーキー(Torquay) トーア寺院(Torre Abbey)

筆者が所有している株式会社 昭文社発行の
「マップルマガジン イギリス」から抜粋 -
なお、トーキー出身である
アガサ・クリスティー関連の展示物は、
トーキー博物館(Torquay Museum)移設済で、
現在、トーア寺院内には展示されていない。


米国出身の推理作家であるキャロル・ブッゲ(Carole Bugge:1953年ー)が2000年に発表した「シャーロック・ホームズの更なる冒険 / トーア寺院に出没する幽霊(The further adventures of Sherlock Holmes / The Haunting of Torre Abbey → 2022年10月24日 / 12月2日 / 12月6日 / 12月8日付ブログで紹介済)」において、2世紀にわたり、ケアリー家(Care family)が住み、首のない修道士の幽霊が出没するトーア寺院(Torre Abbey)は、実在の場所で、イングランドの南西部にあるデヴォン州(Devon)トーキー(Torquay)内に所在している。


トーア寺院は、元々、1196年にプレモントレ修道会(Premonstratensiabn cannons)の修道院として設立された。


テューダー朝第2代のイングランド王であるヘンリー8世(Henry VIII:1491491年ー1547年 在位期間:1509年ー1547年)は、王妃であるキャサリンと離婚して、彼女の侍女であるアン・ブーリン(Anne Boleyn:1501年頃ー1536年)と結婚することで、ローマ教皇であるクレメンス7世と対立し、イングランド国教会をカトリック教会から分離させて、イングランドにおける宗教改革を開始した。

ヘンリー8世は、小修道院解散法や大修道院解散法等、相次ぐ修道院解散令(Dissolution of the Monasteries)を発令して、イングランド内に所在した800以上の修道院を解散し、その財産を王室に没収した。当時、イングランドの土地の約 1/5 が、王室へ移動したと言われている。王室に没収された土地は、後に売却 / 賃貸されたので、土地の流動化に繋がったのである。

トーア修道院も、この例外ではなく、1539年に王室に没収されたあと、地元の貴族に対して、賃貸されたのである。


その後、幾人かにわたる所有者を経て、1662年に、トーア寺院は、ケアリー家が所有することになる。

それ以降、2世紀以上にわたって、ケアリー家によって使用された後、1930年に、トーキー自治区議会(Torquay Borough Council)へと売却された。売却後、トーア寺院は、アートギャラリーとして使用されたが、第二次世界大戦中(1939年ー1945年)は、英国空軍(Royal Air Force)によって接収された。


トーア寺院は、現在、トアベイ議会(Torbay Council)が所有の上、管理しており、改修工事後、2008年に再オープンして、当時を再現する文化財として公開されている。


なお、「シャーロック・ホームズの更なる冒険 / トーア寺院に出没する幽霊」の作者であるキャロル・ブッゲが、本作品の巻末の「Autho’s Note(著者の言葉)」において述べているが、本作品に登場するチャールズ・ケアリー卿(Lord Charles Cary)、ヴィクター・ケアリー(Victor Cary - チャールズの父親で、先代のケアリー卿)、レディー・マリオン・ケアリー(Lady Marion Cary - チャールズの母親)およびエリザベス・ケアリー(Elizabeth Cary - チャールズの妹)は、全員、架空の人物であり、実際にトーア寺院を所有してきたケアリー家内には実在していない。


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