2022年12月12日月曜日

アガサ・クリスティー マープル 2023年カレンダー(Agatha Christie - Marple - Calendar 2023)- 「魔術の殺人(They Do It with Mirrors)」

ビル・ブラッグ氏が描く
ミス・マープルシリーズの長編第5作目である
「魔術の殺人」の一場面

アガサ・メアリー・クラリッサ・クリスティー(Agatha Mary Clarissa Christie:1890年ー1976年)の作品を出版している英国の Harper Collins Publishers 社から出ているミス・ジェーン・マープル(Miss Jane Marple)シリーズのペーパーバック版の表紙を使った2023年カレンダーのうち、6番目を紹介したい。


(6)「魔術の殺人(They Do It with Mirrors)」(1952年)


「魔術の殺人」は、1952年に発表されたミス・マープルシリーズの長編第5作目である。なお、本作品が米国で出版された際には、「Murder with Mirrors」という題に変更されている。


ミス・ジェーン・マープルは、寄宿学校時代からの友人で、現在、ロンドンに住む米国人のルース・ヴァン・ライドック(Ruth Van Rydock)を訪ねた。

ミス・マープルは、友人のルースから、


(1)妹のキャロライン(キャリー)・ルイーズ・セロコールド(Caroline (Carrie) Louise Serrocold → 姉のルースと同様に、ミス・マープルの寄宿学校時代からの友人)の様子が変で、彼女のことを非常に心配していること

(2)ミス・マープルに、自分の代わって、キャリーの自宅があるストーニーゲート(Stonygates)を訪問して、彼女の様子を調べてほしいこと


という話を聞いて、ミス・マープルは、ルースからの依頼を快く引き受ける。


ルースから潜入捜査の依頼を受けたミス・マープルは、早速、キャリーの自宅を訪問した。

富豪のキャリーの自宅は、ヴィクトリア朝の邸宅で、彼女は、3番目の夫で、慈善活動家のルイス・セロコールド(Lewis Serrocold)と一緒に経営する非行少年の更生施設が併設されていた。


ミス・マープルがキャリーの邸宅を訪れた際、キャリーと3番目の夫であるルイス以外に、以下の人物が同邸宅に住んだり、あるいは、訪ねて来ていた。


(1)ミルドレッド・ストレット(Mildred Strete)- キャリーと最初の夫であるエリック・グルブランドセン(故人)の娘で、未亡人。

(2)ジーナ・ハッド(Gina Hudd)- キャリーと最初の夫であるエリックの養女であるピッパ(Pippa)の娘で、イタリア人との混血。

(3)ウォルター・ハッド(Walter Hudd)- ジーナの夫で、米国人。

(4)アレックス・リスタリック(Alexis Restarick)- キャリーの2番目の夫であるジョニー・リスタリック(故人)の連れ子で、スティーヴンの兄。

(5)スティーヴン・リスタリック(Stephen Restarick)- キャリーの2番目の夫であるジョニー・リスタリック(故人)の連れ子で、アレックスの弟

(6)エドガー・ロースン(Edgar Lawson)- キャリーの3番目の夫であるルイスの助手で、統合失調症の兆候が見られ、虚言癖があり。

(7)ジュリエット・ベルエヴァー(Juliet Bellever)- キャリーの秘書で、コンパニオン。

(8)マーヴェリック医師(Mr. Maverick)- 精神分析医で、以前、少年院において、非行少年の感化を担当。


姉のルースが心配する通り、妹のキャリーの家族関係や人間関係は、ミス・マープルの目には、なかなか複雑のように見えた。


キャリーの最初の夫であるエリック・グルブランドセン(故人)の連れ子で、生前の父親が築いた財産を以って設立した慈善財団の理事を務めているクリスチャン・グルブランドセン(Christian Gulbransen - キャリーの義理の息子に該るが、実際には、彼女よりも2歳年上)が、突然、キャリーの邸宅を訪ねて来た。

彼の訪問は、一体、何の目的があってのことだろうか?



カレンダーには、キャリーの3番目の夫であるルイス・セロコールドのオフィス内において、彼と「彼(ルイス)は自分の父親で、自分に対して、酷い仕打ちをしてきた。」と、拳銃を持ったまま、訴えるエドガー・ロースンとの間の揉め事が発生する最中、自室に引きこもったクリスチャン・グルブランドセンが、何者かによって、拳銃で撃たれて死亡するシーンが描かれている。

Harper Collins Publishers 社から出版されている「魔術の殺人」のペーパーバック版の表紙には、ビル・ブラッグ氏(Mr. Bill Bragg)によるイラストが、鏡の形に切り取られているものが使用されている。


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