2022年12月7日水曜日

コナン・ドイル作「ボヘミアの醜聞」<グラフィックノベル版>(A Scandal in Bohemia by Conan Doyle )- その1

英国の MX Publishing 社から2014年に出版された
ペトル・コペル作画による
「ボヘミアの醜聞」(グラフィックノベル版)の表紙 -
画面上段:「Sherlock Holmes」の文字の中に、
「ボヘミアの醜聞」に登場するアイリーン・アドラー(Irene Adler)が
描かれている。
画面下段(手前):左側から、「ボヘミアの醜聞」に登場する
フォン・クラム伯爵(Count von Kramm - 実際には、ボヘミア国王)、
シャーロック・ホームズ、ジョン・H・ワトスン、
そして、ベーカーストリート不正規隊(Baker Street Irregulars)の
カートライト(Cartwright)が描かれている。
画面下段(奥):「まだらの紐」に登場する
ヘレン・ストーナー(Helen Stoner)、
グリムズビー・ロイロット博士(Dr. Grimesby Roylott)、
そして、ロイロット博士が飼っているチーターが描かれている。

今回は、サー・アーサー・イグナティウス・コナン・ドイル(Sir Arthur Ignatius Conan Doyle:1859年ー1930年)作「ボヘミアの醜聞(A Scandal in Bohemia)」のグラフィックノベル版を紹介したい。

本グラフィックノベル版は、元々、チェコ共和国(Czech Republic)ヴィソチナ州トシェビーチ郡の都市トシェビーチ出身のイラストレーターであるペトル・コプル(Petr Kopl:1976年ー)が1998年に雑誌に発表した作品が、2013年に単行本化された後、2014年に英国の MX Publishing 社から英訳版が発行された。


なお、ペトル・コプルによるシャーロック・ホームズ作品のグラフィックノベル版について、全部で3作の英訳版が英国内で出版されている。


(1)「ボヘミアの醜聞」

(2)「バスカヴィル家の犬(The Hound of the Baskervilles)」(1901年ー1902年)

(3)「最後の事件(The Final Problem)」(1893年 → 2022年5月1日 / 5月8日 / 5月11日付ブログで紹介済)


ペトル・コプルは、他にも、アイルランド人の小説家であるブラム・ストーカー(Bram Stoker)こと、エイブラハム・ストーカー(Abraham Stoker:1847年ー1912年)によるゴシック小説 / ホラー小説「吸血鬼ドラキュラ(Dracula)」(1897年)やコナン・ドイルによる SF 小説「失われた世界(The Lost World)」(1912年)等のグラフィックノベル版も発表しており、これらの登場人物を上記の3作品の中に登場させることで、各作品が同じ世界で進行しているような構成を採っている。


「ボヘミアの醜聞」のグラフィックノベル版の場合、話の途中に、「まだらの紐(The Speckled Band)」が挿入されているため、全体で約150ページの分量となっている。


英国の MX Publishing 社から2014年に出版された
ペトル・コペル作画による
「ボヘミアの醜聞」(グラフィックノベル版)の裏表紙


なお、コナン・ドイル作「ボヘミアの醜聞」は、シャーロック・ホームズシリーズの短編小説56作のうち、最初(1番目)に発表された作品で、英国の「ストランドマガジン(The Strand Magazine)」の1891年7月号に、また、「まだらの紐」は、8番目に発表された作品で、同誌の1892年2月号に掲載された。

両作品は、1892年に発行されたホームズシリーズの第1短編集「シャーロック・ホームズの冒険(The Adventures of Sherlock Holmes)」に収録されている。


コナン・ドイルの原作によると、「ボヘミアの醜聞」事件は、1888年3月20日に、また、「まだらの紐」事件は、1883年4月初めに発生したと明記されているが、ペトル・コプルによるグラフィックノベル版の場合、1880年の冬から1881年の春にかけて発生したものと設定されている。

また、コナン・ドイルの原作上、後のジョン・H・ワトスン夫人となるメアリー・モースタン(Mary Morstan)が依頼人として登場する「四つの事件(The Sign of the Four)」事件(1890年)は、1888年9月に発生したものと考えられており、「ボヘミアの醜聞」事件よりも後であるが、ペトル・コプルによるグラフィックノベル版の場合、メアリー・モースタンは、既にワトスン夫人となっている。


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