2022年12月10日土曜日

コナン・ドイル作「ボヘミアの醜聞」<グラフィックノベル版>(A Scandal in Bohemia by Conan Doyle )- その3

結婚して、ベーカーストリート221Bを出たジョン・H・ワトスンは、
いつまでも美青年のままで居るドリアン・グレイを往診する。


チェコ共和国(Czech Republic)ヴィソチナ州トシェビーチ郡の都市トシェビーチ出身のイラストレーターであるペトル・コプル(Petr Kopl:1976年ー)が発表したサー・アーサー・イグナティウス・コナン・ドイル(Sir Arthur Ignatius Conan Doyle:1859年ー1930年)作「ボヘミアの醜聞(A Scandal in Bohemia)」のグラフィックノベル版には、コナン・ドイルとほぼ同時期に生きた他の作品に登場する人物が、多く客演している。


*「ボヘミアの醜聞(A Scandal in Bohemia)」


ジョン・H・ワトスンは、メアリー・モースタン(Mary Morstan)と結婚して、ベーカーストリート221B(221B Baker Street)におけるシャーロック・ホームズとの共同生活を既に解消していた。


本章の冒頭、ワトスンは、ドリアン・グレイ(Dorian Grey)という美青年を往診して、健康診断を行なっている。

ドリアン・グレイは、英国の作家であるオスカー・フィンガル・オフラハティ・ウィルス・ワイルド(Oscar Fingal O’Flahertie Wills Wilde:1854年ー1900年)唯一の長編小説「ドリアン・グレイの肖像(The Picture of Dorian Gray)」(1890年)に登場する人物である。

「ドリアン・グレイの肖像」の小説版は、2022年9月18日 / 10月8日付ブログを、グラフィックノベル版は、2022年10月10日付ブログを、また、映画版は、2022年10月15日付ブログを御参照願いたい。


往診の帰り道、ジョン・H・ワトスンの横を、
80日間で世界一周を終えたフィリアス・フォッグ達を乗せた馬車が、
最終目的地へと向かって、駆け抜けて行った。


ドリアン・グレイを往診した後、ワトスンは、ホームズが居るベーカーストリート221Bへと向かうが、その際、ワトスンの横を、ジャン・パスパルトゥー(Jean Passepartout)が御者を務める馬車に乗ったフィリアス・フォッグ(Phileas Fogg)とアウーダ嬢(Ms. Aouda)が駆け抜けて行く。

フィリアス・フォッグ(英国人)、アウーダ嬢(インド人)、そして、ジャン・パスパルトゥー(フランス人)は、フランスの小説家であるジュール・ガブリエル・ヴェルヌ(Jules Gabriel Verne:1828年ー1905年)作「八十日間世界一周(Le tour du monde en quatre-vingt jours)」(1873年)に登場する人物達である。


*「ボヘミア国王の名にかけて(In the name of the King)」


本章の終盤は、コナン・ドイルの原作とは異なり、ボヘミア国王(King of Bohemia)が送った配下の者達や謎の人物が放った怪物達が、問題の写真を奪うために、アイリーン・アドラー(Irene Adler)宅を襲い、ホームズ、ワトスンやアイリーン・アドラーが彼らと戦う話が追加されている。

ホームズ、ワトスンやアイリーン・アドラーを襲う怪物達とは、「フランケンシュタインの怪物」と「エドワード・ハイド(Edward Hyde)」である。


ボヘミア国王がアイリーン・アドラーと一緒に写った写真を奪うべく、
謎の人物が放った最初の刺客は、
フランケンシュタインの怪物だった。


フランケンシュタインの怪物は、英国の小説家メアリー・ウルストンクラフト・ゴドウィン・シェリー(Mary Wollstonecraft Godwin Shelley:1797年ー1851年)作「フランケンシュタイン、或いは、現代のプロメテウス(Frankenstein; or, the Modern Prometheus. → 2021年3月24日付ブログで紹介済)」(1818年)に登場する人物である。

「フランケンシュタイン、或いは、現代のプロメテウス」の小説版は、2021

年3月24日付ブログを、また、グラフィックノベル版は、2021年3月31日付ブログを御参照願いたい。


フランケンシュタインの怪物をなんとか撃退した
シャーロック・ホームズ、ジョン・H・ワトスンとアイリーン・アドラーであったが、
第二の刺客であるエドワード・ハイドが襲い掛かる。


エドワード・ハイドは、エディンバラ(Edinburgh)生まれの英国の小説家、詩人で、かつ、エッセイストであるロバート・ルイス・スティーヴンスン(Robert Louis Stevenson:1850年ー1894年)作「ジキル博士とハイド氏の奇妙な事件(The Strange Case of Dr. Jekyll and Mr. Hyde)」(1886年)に登場する人物である。

「ジキル博士とハイド氏の奇妙な事件」のグラフィックノベル版は、2022年11月25日 / 12月3日付ブログを御参照願いたい。


*「エピローグ(Epilogue)」


ジェイムズ・モリアーティー教授の指示により、
ヘンリー・ジキル博士が、アイリーン・アドラーに対して、
少なくとも、70年間は年をとらない薬を注射する。


本章では、ジェイムズ・モリアーティー教授(Professor James Moriarty)やチャールズ・オーガスタス・ミルヴァートン(Charles Augustus Milverton)が登場して、米国へと船で向かうアイリーン・アドラーを拘束して、ある特別な役割を与えている。その際、彼らは、ヘンリー・ジキル博士(Dr. Henry Jekyll)に指示し、アイリーン・アドラーに対して、少なくとも、70年間は年をとらない薬を注射させている。

ヘンリー・ジキル博士は、エドワード・ハイドと同様に、ロバート・ルイス・スティーヴンスン作「ジキル博士とハイド氏の奇妙な事件」に登場する人物である。


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