2022年12月30日金曜日

シャーロック・ホームズの世界<ジグソーパズル>(The World of Sherlock Holmes )- その2

英国の Laurence King Publishing Group Ltd. から出ている「シャーロック・ホームズの世界(The World of Sherlock Holmes)」と言うジグソーパズル内に散りばめられているシャーロック・ホームズシリーズに登場する人物や物語の舞台となる建物、また、作者であるサー・アーサー・イグナティウス・コナン・ドイル(Sir Arthur Ignatius Conan Doyle:1859年-1930年)本人と彼に関連する人物等、50個にわたる手掛かりについて、今回から順番に紹介していきたい。

なお、本ジグソーパズル内に描かれているロンドンの建物に関して言うと、実際の位置関係とは大きく異なっているので、誤解がないようにお願いしたい。


(1)ベーカーストリート221B(221B Baker Street → 2014年6月22日付ブログで紹介済)


シャーロック・ホームズと
ジョン・H・ワトスンが共同生活を送った
「ベーカーストリート221B」が、
ジグソーパズルの中央に位置している。

「ベーカーストリート221B」に該る建物には、
以前、住宅金融専門会社のアビー・ナショナル(Abbey National)が入居していたが、
現在は、フラットに建て替えられている。
→ 2014年6月22日付ブログで紹介済。


皆さんがよく御存知の通り、本ジグソーパズルの中央に描かれている「ベーカーストリート221B」は、家主であるハドスン夫人から借りて、シャーロック・ホームズとジョン・H・ワトスンが共同生活を送っている場所である。

(2)シャーロック・ホームズ(Sherlock Holmes)

(3)ジョン・H・ワトスン博士(Dr. John H. Watson)

(4)ハドスン夫人(Mrs. Hudson)


「ベーカーストリート221B」の部屋内には、
ホームズ、ワトスンとハドスン夫人が描かれている。

「ベーカーストリート221B」の部屋をルーペで拡大した中に、ホームズ、ワトスンとハドスン夫人の3人が見受けられる。


(5)セバスチャン・モラン大佐(Colonel Sebastian Moran)


「ベーカーストリート221B」の前には、
空気銃を持ったセバスチャン・モラン大佐が、
ホームズの命を狙うべく、待ち構えている。


「ベーカーストリート221B」の前に停まっている二輪馬車の後方に、空気銃を抱えたセバスチャン・モラン大佐が立っている。彼は、「犯罪界のナポレオン(Napoleon of crime)」と呼ばれるジェイムズ・モリアーティー教授(Professor James Moriarty)の右腕で、「空き家の冒険(The Empty House → 2022年5月27日 / 7月1日 / 7月10日 / 7月17日 / 7月24日 / 7月29日 / 8月3日 / 8月6日付ブログで紹介済)」)」に登場する。

挿絵画家であるシドニー・エドワード・パジェット
(Sidney Edward Paget:1860年ー1908年)が描く

「セバスチャン・モラン大佐」。
(「ストランドマガジン(The Strand Magazine)」
1903年10月号の「空き家の冒険」より)

(6)マイクロフト・ホームズ(Mycroft Holmes)


「ディオゲネスクラブ」が入る建物の横に、
シャーロック・ホームズの実兄である
マイクロフト・ホームズが立っている。


本ジグソーパズルの左下の方、「ベーカーストリート221B」の部屋を拡大しているループの下辺りの郵便ポストの左側に、マイクロフト・ホームズが立っている。彼は、7歳違いのシャーロックの実兄で、表向きは、英国政府のいくつかの省の会計監査役を務めているが、実態としては、英国王室や英国政府に関する公にできない問題を対処する役目を担っている。シャーロックは、兄のマイクロフトのことを、「英国政府そのもの(He ‘occaisionally is the government’.)と呼んでいる。マイクロフト・ホームズは、「ギリシア語通訳(The Greek Interpreter)」、「最後の事件(The Final Problem)」や「ブルース・パーティントン型設計図(The Bruce-Partington Plans)」等に登場する。

挿絵画家のシドニー・パジェットが描く
「マイクロフト・ホームズ」。
(「ストランドマガジン」1893年9月号の
「ギリシア語通訳」より)

(7)ディオゲネスクラブ(Diogenes Club)


マイクロフト・ホームズが創設した「ディオゲネスクラブ」

「ディオゲネスクラブ」は架空の場所であるが、
ホームズシリーズの作者であるコナン・ドイルが会員だった
「アセニアムクラブ(Athenaeum Club)」が、
そのモデルになっているのではないかと思われる。
アセニアムクラブ」が入居する建物は、パル・マル通り107番地(107 Pall Mall)に所在しており、
奇しくも、「ディオゲネスクラブ」と同じパル・マル通り(Pall Mall)にある。
→ 2016年11月27日付ブログで紹介済。



「ディオゲネスクラブ」は、シャーロック・ホームズの実兄であるマイクロフト・ホームズが創設したクラブで、クラブ内では、来客室を覗いて、会話が禁じられている。「ギリシア語通訳」において、ホームズとワトスンは、「ディオゲネスクラブ」に呼び出され、マイクロフト・ホームズから事件の依頼を受ける。なお、「ディオゲネスクラブ」は、架空の場所で、実在していない。

(8)クライテリオンバー(Criterion Bar)


セントバーソロミュー病院において同僚だった
ワトスンとスタンフォードの二人が
数年ぶりに再会した場所であるクライテリオンバー

「クライテリオンバー」は、実在の場所で、
ピカデリーサーカス(Piccadilly Circus)内に所在している。
→ 2014年6月8日付ブログで紹介済。

二次アフガニスタン戦争に軍医として従軍していたワトスンは負傷して、英国のポーツマス(Portsmouth)に帰還した。英国内に親類縁者が全くいないワトスンは、ロンドンにやって来て、ストランド通り(Strand)のホテルに滞在する。だが、英国政府から支給される1日あたり11シリング6ペンスの恩給だけで、ホテルでの滞在を続けていくのは、ワトスンにとって大きな負担となりつつあった。そんな不安を感じつつあったワトスンは、ある日、「クライテリオンバー」で誰かに肩をたたかれた。それは、ワトスンが「聖バーソロミュー病院(St. Bartholomew's Hospital)」に勤務していた際、彼の外科手術助手(dresser)だったスタンフォード青年であった。このスタンフォード青年との再会を通して、ワトスンは聖バーソロミュー病院でシャーロック・ホームズと知り合い、「ベーカーストリート221B」での共同生活につながっていく。「クライテリオンバー」は、「緋色の研究(A Study in Scarlet)」の舞台の一つで、実在の場所である。

(9)スタンフォード(Stamford)


クライテリオンバーの入り口の左横に置かれた
テーブルに座っているのが、スタンフォードである。


前述の通り、ワトスンが「聖バーソロミュー病院」に勤務していた際、彼の外科手術助手だった人物で、「ベーカーストリート221B」でのホームズとワトスンの共同生活を取り持つ重要な役割を担う。彼は、「緋色の研究」に登場する。


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