2024年4月28日日曜日

100年間にロイヤルメールから発行された記念切手(100 Years of Commemorative Stamps)- その1

2024年4月16日に、英国のロイヤルメール(Royal Mail)から、100年間に出た切手に関する10種類の記念切手が発行されたので、5回に分けて御紹介したい。


(1)


左上から時計回りに、「British Empire Exhibition」(1924年)、「Postal Union Congress」(1929年)、そして、「Silver Jubilee」(1935年)の記念切手がまとめられている。
これら3枚の記念切手は、ザクセン-コーブルク-ゴータ朝(Saxe-Coburg-Gotha Dynasty)第2代国王であるジョージ5世(George V:1865年ー1936年 / 在位期間:1910年ー1936年)の在位中に発行されている。ジョージ5世は、1917年に王朝名をザクセン-コーブルク-ゴータ朝から現在のウィンザー朝(Windsor Dynasty)へ変更して、ウィンザー朝の初代君主となっている。
なお、「Silver Jubilee」とは、在位25周年を意味しており、ジョージ5世は1910年に即位しているので、1935年が在位25周年に該当する。

(2)


左上から時計回りに、「Royal Silver Wedding」(1948年)、「Centenary of First Adhesive Postage Stamps」(1940年)、そして、「Peace and Reconstruction」の記念切手がまとめられている。
これら3枚の記念切手は、ウィンザー朝第3代国王であるジョージ6世(George VI:1895年ー1952年 / 在位期間:1936年ー1952年)の在位中に発行されている。
なお、「Royal Silver Wedding」とは、結婚25周年を意味しており、ジョージ6世は1923年に第14代ストラスモア伯爵クロード・ボーズ=ライアンの四女であるエリザベスと結婚しているので、1948年が結婚25周年に該当する。ジョージ6世は、2人の王女(長女:エリザベスと次女:マーガレット)を設けているが、長女のエリザベスが、ジョージ6世の没後、ウィンザー朝第4代女王であるエリザベス2世(Queen Elizabeth II:1926年–2022年 / 在位期間:1952年–2022年)として即位している。
また、ハノーヴァー朝(Hanover Dynasty)の第6代女王であるヴィクトリア(Queen Victoria:1819年ー1901年 / 在位期間:1837年ー1901年)の在位中の1840年に、ゴム糊付き郵便切手(Adhesive Postage Stamp)が初めて発行され、ジョージ6世の在位中の1940年に、ゴム糊付き郵便切手の発行100周年を迎えている。

2024年4月26日金曜日

横溝正史作「犬神家の一族」(The Inugami Curse by Seishi Yokomizo)- その1

英国のプーシキン出版(Pushkin Press)から
2020年に刊行されている
 Pushkin Vertigo シリーズの一つである

横溝正史作「犬神家の一族」の表紙
(Cover design by Anna Morrison)


「犬神家の一族(The Inugami Curse)」は、日本の推理作家である横溝正史(Seishi Yokomizo:1902年ー1981年)による長編推理小説で、金田一耕助(Kosuke Kindaichi)シリーズの一つである。


「犬神家の一族」は、1950年(昭和25年)1月から1951年(昭和26年)5月にかけて、雑誌「キング」に連載された。

作者の横溝正史は、雑誌「キング」の編集サイドから、「(1947年(昭和22年)1月から1948年(昭和23年)10月にかけて、雑誌「宝石」に連載された)金田一耕助シリーズの第2作目に該る「獄門島(Death on Gokumon Island → 2024年3月4日 / 3月6日 / 3月8日 / 3月10日付ブログで紹介済)」のように、物語中に起きる殺人事件に意味を付与して欲しい。」との注文を受け、犬神家の3つの家宝に該る「斧(よき)」、「琴(こと)」、そして、「菊(きく)」による見立て殺人を考案した。


雑誌「キング」に掲載された「犬神家の一族」の連載前の予告によると、犬神家は、東京、信州と瀬戸内海の孤島に分かれていると設定されていたが、実際の連載では、信州のみが事件の舞台となった。


「犬神家の一族」の初回を読んだ後、激賞した雑誌「キング」の編集長から、横溝正史は、「本作品を3年間続けてほしい。」と要望されたが、それ程の大長編を執筆するだけの準備をできていなかったため、実際の連載は、約1年半で完結している。


雑誌「キング」に連載された後、1951年5月に講談社から単行本化された「犬神家の一族」は、当初、通俗長編であると見做されて、専門家による評価はあまり高くなかった。

その後、1976年に角川春樹事務所による第1回映像作品として映画化(監督:市川崑(1915年ー2008年)/ 主演:石坂浩二(1941年ー))され、また、1977年に毎日放送(MBS テレビ)と角川春樹事務所による共同企画に基づき、横溝正史シリーズの第1作(主演:古谷一行(1944年ー2022年))としてテレビドラマ化されたことで、「犬神家の一族」の人気は、一気に上がり、横溝正史作品、また、金田一耕助作品と言えば、「犬神家の一族」と言われる程までになった。

「犬神家の一族」の場合、現在、3本の映画と8本のテレビドラマが制作されており、横溝正史作品としては、最も映像化回数が多い。特に、市川崑が監督した1976年に公開された映画版は、「日本映画の金字塔」とよく称されている。


2024年4月25日木曜日

高木彬光作「刺青殺人事件」(The Tattoo Murder by Akimitsu Takagi)- その3

英国のプーシキン出版(Pushkin Press)から
2022年に刊行されている
 Pushkin Vertigo シリーズの一つである

高木彬光作「刺青殺人事件」の内扉
(Cover design by Jo Walker)


第二次世界大戦(1939年ー1945年)/ 太平洋戦争(1941年-1945年)が終わり、1年が経過した1946年(昭和21年)8月20日、東亜医大の医学博士で、刺青の研究家でもある早川平四郎博士(Dr. Heishiro Hayakawa)に誘われて、「江戸彫勇会(Edo Tattoo Society)」が主催する刺青競艶会を見学にやって来た東京帝国大学医学部法医学教室の研究員である松下研三(Kenzo Matsushita - 29歳)は、そこで、中学時代の先輩である最上久(Hisashi Mogami)と再会する。その後、彼は、刺青競艶会において、背中に見事に彫られた「大蛇丸(Orochimaru)」の刺青を以って、審査員、参加者および観客の全員の目を奪い、場を圧倒した野村絹枝(Kinue Nomura)と知り合い、彼女の圧倒的な魅力に惹かれて、彼女と関係を持ってしまう。


「兄で、父親の野村彫安(Horiyasu Nomura)と同じ刺青師である野村常太郎(Tsunetaro Nomura)の背中に彫られた(1)「児雷也(Jiraiya - 蝦蟇)」・(2)「自分の背中に彫られた大蛇丸(蛇)」・(3)「双子の妹である野村珠枝(Tamae Nomura)の背中に彫られた綱出姫(Tsunedahime - 蛞蝓)」の三すくみの呪いにより、自分は殺されるかもしれない。実際、正体不明の人物から、「お前の命は、間もなく終わる。」と告げる手紙を受け取った。」と、不安を感じる野村絹枝との約束に基づき、松下研三は、下北沢(Shimokitazawa)にある彼女の自宅を訪ねた。松下研三は、同じように、彼女の自宅を訪ねて来た早川平四郎博士と、偶然、一緒になる。

松下研三と早川平四郎博士の2人は、野村絹枝の自宅内を搜索するものの、彼女の姿を発見することはできなかった。更に、野村絹枝の自宅内の搜索を続ける彼らは、内側から鍵がかかった浴室内において、女性の死体を発見するのであった。

浴室内の死体には、首と両手両足しかなく、胴体はなかった。松下研三と早川平四郎博士の2人は、首を見て、野村絹枝の死体と判断した。


背中に「大蛇丸」が彫られた野村絹枝の胴体は、一体、どこに消えてしまったのか?

そもそも、野村絹枝を殺害した犯人は、彼女の胴体を持って、鍵がかかった浴室内から、一体、どのような方法で抜け出すことができたのか?


野村絹枝の愛人で、最上久の兄である最上竹蔵(Takezo Mogami)も、大阪への出張した後、行方不明になっていたが、その後、彼が社長を務める土建屋「最上組(Mogami Group)」の倉庫(三鷹(Mitaka)に所在)において、死体で発見された。

最上竹蔵自身が、愛人である野村絹枝を殺害した後、拳銃自殺を遂げたように思えたが、他殺の可能性も否定できなかった。


松下研三の兄で、警視庁捜査一課長である松下英一郎警部(Detective Chief Inspector Eiichiro Matsushita → 英訳版の場合、何故か、Daiyu Matsushita となっている)が指揮する捜査は、非常に難航する。

そんな最中、松下研三は、野村絹枝の兄である野村常太郎を、偶然、捜し当てる。野村常太郎は、今回の事件の核心を知っているようで、松下研三に対して、「今回の件は、暫く自分に任せてほしい。」と頼む。松下研三は、野村常太郎の言葉を信じて、暫く待つことにしたが、そうこうするうちに、野村常太郎も、何者かによって、背中に彫られた「児雷也」の刺青を皮ごと剥がされた上に、殺されてしまったのである。


事件の重要な関係者を殺されてしまったため、松下研三は、兄である松下英一郎警部から、激しく叱責される。

責任を感じた松下研三は、事態をなんとか打開しようと模索する中、第一高等学校時代の友人である神津恭介(Kyosuke Kamizu)と再会する。神津恭介は、一高時代に整数論の論文を書き上げて、「神津の前に神津なく、神津の後に神津なし。」と評価された天才であった。

神津恭介との再会を喜んだ松下研三は、神津恭介に対して、今回の謎を解き明かすように依頼した。


「刺青殺人事件(The Tattoo Murder)」は、日本の推理作家である高木彬光(Akimitsu Takagi:1920年ー1995年)によるデビュー長編推理小説で、神津恭介(Kyosuke Kamizu)シリーズの第1作目に該る「刺青殺人事件(The Tattoo Murder)」(1948年)は、「週刊文春」が推理作家や推理小説の愛好者へのアンケートに基づいて選出した「東西ミステリーベスト100」の国内編において、上位に選ばれている(1985年版ー10位 / 2012年版ー32位)。


2024年4月24日水曜日

恐竜の時代(The Age of the Dinosaurs)記念切手 - その3

2024年3月12日に、英国のロイヤルメール(Royal Mail)から、恐竜の時代(The Age of the Dinosaurs)に関する12種類の記念切手が発行されたので、前々回と前回に引き続き、御紹介したい。 


Mary Anning(メアリー・アニング:1799年ー1847年)-
英国の初期の化石採集者(fossil hunter)で、
古生物学者
< National History Museum, London / Designed by The Chase >

Ichthyosaur(イクチオサウルス / 魚竜 - 中生代の海生爬虫類)-
1810年に父親を結核で亡くしたメアリー・アニングは、兄のジョセフと一緒に、
英国南部ドーセット州(Dorset)の
ライムレジス(Lyme Regis)村沿岸の崖において、化石を採集し、
観光客に売ることで生計を立てていたが、
1811年に
イクチオサウルスの骨格の化石を発見した。
発見当時、メアリー・アニングは12歳で、
イクチオサウルスの全身化石が発見されたのは、最初であった。
< National History Museum, London / Designed by The Chase >

Dapedium - Extinct genus of primitive neopterygian ray-finned fish
< Oxford University Museum of Natural History / Designed by The Chase >

Plesiosaur(プレシオサウルス / 長頚竜・首長竜 - 海生爬虫類
< National History Museum, London / Designed by The Chase >

Mary Anning Miniature Sheet
< Designed by The Chase >

2024年4月23日火曜日

高木彬光作「刺青殺人事件」(The Tattoo Murder by Akimitsu Takagi)- その2

英国のプーシキン出版(Pushkin Press)から
2022年に刊行されている
 Pushkin Vertigo シリーズの一つである

高木彬光作「刺青殺人事件」の裏表紙
(Cover design by Jo Walker)


日本の推理作家である高木彬光(Akimitsu Takagi:1920年ー1995年)によるデビュー長編推理小説で、神津恭介(Kyosuke Kamizu)シリーズの第1作目に該る「刺青殺人事件(The Tattoo Murder)」は、第二次世界大戦(1939年ー1945年)/ 太平洋戦争(1941年-1945年)が終わり、1年が経過した1946年(昭和21年)8月20日、東京帝国大学医学部法医学教室の研究員である松下研三(Kenzo Matsushita - 29歳)が、東亜医大の医学博士で、刺青の研究家でもある早川平四郎博士(Dr. Heishiro Hayakawa)に誘われて、「江戸彫勇会(Edo Tattoo Society)」が主催する刺青競艶会を見学にやって来たところから、物語が始まる。

松下研三は、そこで、中学時代の先輩である最上久(Hisashi Mogami)と再会する。なんと、早川平四郎博士と最上久は、叔父と甥の関係にあった。


その後、刺青競艶会において、審査員、参加者および観客の全員の目を奪い、場を圧倒したのは、野村絹枝(Kinue Nomura)で、彼女の背中に見事に彫られた「大蛇丸(Orochimaru)」の刺青だった。彼女は、女性部門の優勝を掻っ攫ったのである。

野村絹枝は、最上久の兄で、土建屋「最上組(Mogami Group)」の社長である最上竹蔵(Takezo Mogami)の愛人となっていた。


野村絹枝本人と彼女の見事な刺青の圧倒的な魅力に惹かれた松下研三は、後日、彼女を訪ねた際に、彼女から背中の刺青の由来を聞かされるとともに、彼女と関係を持ってしまう。


彼女の父で、刺青師である野村彫安(Horiyasu Nomura)は、


(1)野村常太郎(Tsunetaro Nomura - 野村絹枝の兄で、父親と同じ刺青師)に「自来也 / 児雷也(Jiraiya - 蝦蟇の妖術を使う)」を、

(2)野村絹枝に「大蛇丸(蛇の妖術を使う)」を、

そして、

(3)野村珠枝(Tamae Nomura - 野村絹枝の双子の妹)に「綱出姫(Tsunedahime - 蛞蝓の妖術を使う)」を


彫り分けたのである。


「自来也 / 児雷也」、「大蛇丸」と「綱出姫」は、感和亭鬼武が江戸時代の文化3年(1806年)に刊行した読本「自来也説話」が設定の基礎となり、戯作者である美図垣笑顔、一筆庵(浮世絵師の渓斎英泉)、柳下亭種員、そして、柳下亭種清の順で書き継がれて、江戸時代後期の天保10年(1839年)から明治元年(1868年)にかけて刊行されたものの、残念ながら、未完に終わった43編から成る長編の合巻作品である「児雷也豪傑譚」に登場する人物である。

「児雷也豪傑譚」の主人公は、蝦蟇を操る「児雷也」であるが、一筆庵が作を担当した頃から、蛞蝓を操る「綱出姫(後に、「児雷也」の妻となる)と蛇を操る「大蛇丸(「児雷也」の宿敵)」も登場して、「児雷也(蝦蟇)」・「大蛇丸(蛇)」・「綱出姫(蛞蝓)」の三すくみを配した関係が設定され、物語の幅が拡大された。その後、彼らは、三すくみの争いを繰り広げて行く。


従って、「児雷也(蝦蟇)」・「大蛇丸(蛇)」・「綱出姫(蛞蝓)」の三すくみを1人の身体に彫った場合、3人が争い合った末に、刺青を彫られた本人が死んでしまうため、タブーとされていた。

刺青師である野村彫安は、「児雷也(蝦蟇)」・「大蛇丸(蛇)」・「綱出姫(蛞蝓)」の三すくみを、1人の身体にではなく、自分の子供3人の背中に彫ったのである。


「「児雷也(蝦蟇)」・「大蛇丸(蛇)」・「綱出姫(蛞蝓)」の三すくみの呪いにより、自分は殺されるかもしれない。実際、正体不明の人物から、「お前の命は、間もなく終わる。」と告げる手紙を受け取った。」と、不安を感じる野村絹枝との約束に基づき、松下研三は、下北沢(Shimokitazawa)にある彼女の自宅を訪ねた。松下研三は、同じように、彼女の自宅を訪ねて来た早川平四郎博士と、偶然、一緒になる。

松下研三と早川平四郎博士の2人は、野村絹枝の自宅内を搜索するものの、彼女の姿を発見することはできなかった。更に、野村絹枝の自宅内の搜索を続ける彼らは、内側から鍵がかかった浴室内において、女性の死体を発見する。

浴室内の死体には、首と両手両足しかなく、胴体はなかった。松下研三と早川平四郎博士の2人は、首を見て、野村絹枝の死体と判断した。


背中に「大蛇丸」が彫られた野村絹枝の胴体は、一体、どこに消えてしまったのか?

そもそも、野村絹枝を殺害した犯人は、彼女の胴体を持って、鍵がかかった浴室内から、一体、どのような方法で抜け出すことができたのか?


2024年4月21日日曜日

高木彬光作「刺青殺人事件」(The Tattoo Murder by Akimitsu Takagi)- その1

英国のプーシキン出版(Pushkin Press)から
2022年に刊行されている
 Pushkin Vertigo シリーズの一つである

高木彬光作「刺青殺人事件」の表紙
(Cover design by Jo Walker)


「刺青殺人事件(The Tattoo Murder)」は、日本の推理作家である高木彬光(Akimitsu Takagi:1920年ー1995年)によるデビュー長編推理小説で、神津恭介(Kyosuke Kamizu)シリーズの第1作目に該る。


青森県青森市の4代続いた医者の家系に生まれた高木彬光(本名:高木誠一)は、幼少時に母親と死別。その後、旧制青森中学校を経て、第一高等学校理科乙類に入学した。ところが、第一高等学校入学の年に父親が亡くなったため、家が破産の上、一家は離散したので、親族の援助で学業を続けた。

東京帝国大学理学部化学科の受験に失敗したため、京都帝国大学へ進み、工学部治金学科を卒業。

卒業後、高木彬光は、中島飛行機に就職したものの、第二次世界大戦(1939年ー1945年)/ 太平洋戦争(1941年ー1945年)の終結により、職を失ってしまう。


職を失った高木彬光は、骨相師の勧めを受け、小説家を志して、「刺青殺人事件」を執筆。


高木彬光は、日本の推理作家である横溝正史(Seishi Yokomizo:1902年ー1981年)による長編推理小説で、金田一耕助(Kosuke Kindaichi)シリーズの第1作目に該る「本陣殺人事件(The Honjin Murders → 2024年3月16日 / 3月21日 / 3月26日 / 3月30日付ブログで紹介済)」(1946年)を読んで、同作において使用されている密室トリックに大きな感銘を受けた一方で、犯行現場となった離れが純日本的構造を必要としていないことに不満を感じた、とのこと。そこで、高木彬光は、純日本的な建築家屋の中で唯一完全に閉鎖的な空間である上に、鍵がかかる浴室を使って、密室トリックを完成させることに挑んだのである。


こうして出来上がった「刺青殺人事件」は、第二次世界大戦 / 太平洋戦争後間もない戦後混乱期の社会情勢を背景としており、妖艶な刺青である自雷也 / 大蛇丸 / 綱出姫の三すくみによる呪い、日本家屋の浴室内における密室殺人や胴体のない死体等、怪奇趣味に彩られた本格推理小説となっている。


その後、「刺青殺人事件」は、1947年に、明智小五郎シリーズ等で有名な日本の推理作家である江戸川乱歩(1894年ー1965年)に激賞されて、出版の運びとなり、翌年の1948年に、岩谷書店から「宝石選書」の第1篇として刊行され、高木彬光は、推理作家としてデビューした。


「刺青殺人事件」は、1953年に日本探偵全集(春陽堂書店)に収録される際に、作者による大幅な改稿が加えられて、約2倍の分量となる大作となっている。

また、その際に、東京帝国大学医学部法医学教室の研究員で、物語の約 2/3 の辺りまで主人公となる松下研三(Kenzo Matsushita)による一人称形式から現在の三人称形式に改められている。


2024年4月20日土曜日

恐竜の時代(The Age of the Dinosaurs)記念切手 - その2

2024年3月12日に、英国のロイヤルメール(Royal Mail)から、恐竜の時代(The Age of the Dinosaurs)に関する12種類の記念切手が発行されたので、前回に引き続き、御紹介したい。


Stegosaurus(ステゴサウルス / 剣竜 - 草食恐竜) is one of the most recognisable dinosaurs,
although we know relatively little about it as remains are rare.  
< Designed by The Chase & Illustration by Joshua Dunlop >

Diplodocus(ディプロドクス - 草食性大形四つ足恐竜) reached up to 27 metres in length 
and lived 150 million years ago at the end of the Jurassic  Period(ジュラ紀).
< Designed by The Chase & Illustration by Joshua Dunlop >

Megalosaurus(メガロサウルス - 二足歩行の巨大食肉竜) roamed what is now England
between 170 and 155 million years ago.
< Designed by The Chase & Illustration by Joshua Dunlop >

Cryptoclidus(クリプトクリドゥス / 首長竜) was a plesiosaur and
is described as looking like a 'snake threaded through a turtle'.
< Designed by The Chase & Illustration by Joshua Dunlop >