2023年6月30日金曜日

アガサ・クリスティーの世界<ジグソーパズル>(The World of Agatha Christie )- その24

英国の Orion Publishing Group Ltd. から出ている「アガサ・クリスティーの世界(The World of Agatha Christie)」と言うジグソーパズル内に散りばめられているアガサ・メアリー・クラリッサ・クリスティー(Agatha Mary Clarissa Christie:1890年ー1976年)の生涯や彼女が執筆した作品等に関連した90個の手掛かりについて、前回に続き、紹介していきたい。


今回も、アガサ・クリスティーが執筆した作品に関連する手掛かりの紹介となる。


(69)牡蠣の貝殻(Oyster shell)


アガサ・クリスティーが腰掛けている椅子の後ろにある机と一体になった右側の鏡の上部を見上げてみると、
ピラミッド / スフィンクスが写った写真立てとウクレレの間に、
牡蠣の貝殻が1つ置かれている。


本ジグソーパズル内において、アガサ・クリスティーが腰掛けている椅子の後ろにある机と一体になった右側の鏡の上部に、牡蠣の貝殻が1つ置かれている。

これから連想されるのは、アガサ・クリスティーが1939年に発表した短編集「レガッタデーの事件(The Regatta Mystery)」に収録されている「あなたの庭はどんな庭?(How Does Your Garden Grow ?)」1935年)で、エルキュール・ポワロが登場する短編である。


英国の HarperCollinsPublishers 社から
2008年に出版されている
エルキュール・ポワロの全短編が収められた
「Hercule Poirot - The Complete Short Stories」の表紙
(Cover by www.juliejenkinsdesign,com)

ある年の3月、エルキュール・ポワロの事務所に、バッキンガムシャー州(Buckinghamshire)チャーマンズグリーン(Charman’s Green)のローズバンク(Rosebank)に住むアメリア・バロウビー(Amelia Barrowby)という独身の老婦人から依頼の手紙(3月21日付)が届くところから、物語の幕が上がる。

彼女から来た手紙に書かれている依頼の内容は、「自分の身を案じているので、自宅に来てほしい。」という非常に曖昧なものであった。この奇妙な依頼の手紙に興味を持ったポワロは、秘書のミス・レモン(Miss Lemon)に指示して、「いつでも相談に応じる。(I will do myself the honour to call upon you at any time you suggest.)」と返信をするが、その後、彼女からは何も音信もなかった。


英国の HarperCollinsPublishers 社から
2008年に出版されている
エルキュール・ポワロの全短編が収められた
「Hercule Poirot - The Complete Short Stories」の裏表紙
(Cover by www.juliejenkinsdesign,com)

3月27日の朝、ミス・レモンは、手紙の差出人であるアメリア・バロウビー(73歳)が昨晩(3月26日)に死亡したことを新聞記事で偶然見つけ、ポワロに知らせる。

アメリア・バロウビーが亡くなった際、姪のデラフォンテーン夫妻(Mr. and Mrs. Delafontaine)と一緒に食事をしていたのだが、(1)アーティチョークのスープ(artichoke soup)、(2)魚のパイ(fish pie)と(3)アップルタルト(apple tart)以外、何も口にしていなかった。ところが、彼女の遺体からは、ストリキニーネが発見されたのである。

ストリキニーネはとても苦い味がするため、アーティチョークのスープ、魚のパイやアップルタルトに混入されていたとは思えなかった。また、彼女は珈琲も飲まず、水だけを飲んでいた。

ストリキニーネが混入したと考えられるのは、彼女が飲んでいた持病用のカプセル薬だけだった。そのカプセル薬に触れたのは、ロシア人の話相手(コンパニオン)のカトリーナ・リーガー(Katrina Reiger)のみだったため、彼女へ疑いの目が向けられた。


アメリア・バロウビーの死に疑問を感じたポワロは現地へ赴き、調査を始める。

そして、ポワロは、亡くなったアメリア・バロウビーの庭の一部を縁取るように、牡蠣の貝殻が埋められているのに気付くと、事件の真相に到達するのであった。


0 件のコメント:

コメントを投稿