2023年6月25日日曜日

ハートフォードシャー州(Hertfordshire) ハットフィールドハウス(Hatfield Hose)

Hatfield House and gardens by Marcus May (1995年頃)
庭園歴史博物館(Museum of Garden History)で購入した絵葉書 -
中央に建つ建物が、17世紀初めに
初代ソールズベリー伯爵ロバート・セシルが建設した主館で、
左後方に建つ建物が、
15世紀末に高位聖職者の邸宅として建設されたビショップ館、
そして、両方の館を取り巻く広大な庭園が描かれている。

後にテューダー朝(House of Tudor)の第5代かつ最後のイングランド王エリザベス1世(Elizabeth I:1533年ー1603年 在位期間:1558年-1603年)として即位するエリザベスが、異母姉で、「血まみれのメアリー(Bloody Mary)」と呼ばれたテューダー朝の第4代イングランド王メアリー1世(Mary I:1516年ー1558年 在位期間:1553年-1558年)の崩御(1558年11月17日にセントジェイムズ宮殿(St. James’s Palace)において崩御)を知らされたハットフィールドハウス(Hatfield House)は、ハートフォードシャー州(Hertfordshire)の町ハットフィールド(Hatfield)に所在する中世のカントリーハウス(貴族の館)である。


17世紀初めに初代ソールズベリー伯爵ロバート・セシルが建設した主館(その1)


15世紀末に高位聖職者の邸宅として建設されたが、テューダー朝の第2代イングランド王であるヘンリー8世(Henry VIII:1491年ー1547年 在位期間:1509年-1547年)による宗教改革の際に没収された後、英国王室の宮殿の一つとして使用された。


ヘンリー8世は、1533年から1536年にかけて、彼の長女であるメアリー王女(Princess Mary - 後のメアリー1世)を住まわせていたが、侍女であるエリザベス王女(Princess Elizabeth - 後のエリザベス1世)や長男であるエドワード王子(Prince Edward - 後のエドワード6世(Edward VI:1537年ー1553年 在位期間:1547年ー1553年))も暮らし始める。


ナショナルポートレートギャラリー
(National Portrait Gallery)で販売されている
メアリー1世の肖像画の葉書
(Master John / 1544年 / Oil on panel
711 mm x 508 mm) 


1549年、当時のエドワード6世から初代ノーサンバーランド公爵ジョン・ダドリー(John Dudley, 1st Duke of Northumberland:1502年ー1553年)に譲られたが、エリザベス王女が反対したため、英国王室へと戻され、メアリー1世の崩御に伴い、自らが即位する1558年まで、エリザベス王女は、ここで暮らし、即位後も、ここを度々訪れた。


17世紀初めに初代ソールズベリー伯爵ロバート・セシルが建設した主館(その2)


エリザベス1世の死後、ステュアート朝(House of Stuart)の初代イングランド王となったジェイムズ1世(James I:1566年ー1625年 在位期間:1603年ー1625年)の王妃であるアン・オブ・デンマーク(Anne of Denmark:1574年ー1619年)の所有となった。

1607年にジェイムズ1世が、初代ソールズベリー伯爵ロバート・セシル(Robert Cecil, 1st Earl of Salisbury:1563年ー1612年)との間で、ハットフィールドハウスとロバート・セシル邸を交換した結果、ハットフィールドハウスは、セシル家の所有となる。


初代ソールズベリー伯爵ロバート・セシルは、ヘンリー8世の子供達が暮らした古い館を取り壊した。取り壊しを免れた厩と門楼は、「ビショップ館」と呼ばれ、現在、レストラン等に使用されている。

続いて、彼は、1607年から1612年にかけて、3階建て煉瓦造りのカントリーハウスを新たに建設した。こちらは「主館」と呼ばれ、17世紀のイングランド建築を代表する建物であるが、1835年に西翼が火災で焼失した。


17世紀初めに初代ソールズベリー伯爵ロバート・セシルが建設した主館(その3)


その後、ハットフィールドハウスは、大物政治家を多数輩出したセシル家の人脈が出入りする政界サロンとして有名となる。


現在の所有者は、子孫である第7代ソールズベリー侯爵ロバート・マイケル・ジェイムズ・ガスコイン=セシル(Robert Michael James Gascoyne-Cecil, 7th Marquess of Salisbury:1946年ー)であるが、一般公開されている。

ハットフィールドハウスは、(1)初代ソールズベリー伯爵ロバート・セシルが建設した主館、(2)高位聖職者の邸宅だったビショップ館(現在、一部のみが残っている)、そして、(3)7500m2にも及ぶハットフィールド公園から成る。

なお、ハットフィールドハウスは、多くの映画や TV ドラマ等の撮影地として使用されている。


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