2023年6月4日日曜日

ジョージ・フレデリック・ワッツ作「希望」(Hope painted by George Frederic Watts)

現在、テイト・ブリテン美術館に所蔵 / 展示されている
ジョージ・フレデリック・ワッツ作「希望」(1886年)

アガサ・メアリー・クラリッサ・クリスティー(Agatha Mary Clarissa Christie:1890年ー1976年)作「五匹の子豚(Five Little Pigs)」(1943年)は、アガサ・クリスティーが執筆した長編としては、第32作目に該り、エルキュール・ポワロシリーズに属する長編のうち、第21作目に該っている。

なお、タイトルの「五匹の子豚」は、マザーグースの童謡(5匹の子豚が登場する数え歌 → 2023年6月2日付ブログで紹介済)に因んでいる。


この子豚は、市場へ行った。(This little pig went to market.)

この子豚は、家に居た。(This little pig stayed home.)

この子豚は、ローストビーフを食べた。(This little pig had roast beef.)

この子豚は、何も持っていなかった。(This little pig had none.)

この子豚は、「ウィー、ウィー、ウィー」と鳴く。(And this little pig cried, Wee-wee-wee.)

帰り道が分からない。(I can’t find way my home.)


エルキュール・ポワロは、カーラ・ルマルション(Carla Lemarchant)から再調査を依頼された事件(=彼女の母親カロリン・クレイル(Caroline Crale)が画家の夫アミアス・クレイル(Amyas Crale)を毒殺したと考えられている事件)の重要関係者である5人を順番に訪れて、当時の事情や経緯等を尋ねる。


ポワロが4番目にコンタクトするのは、セシリア・ウィリアムズ(Cecilia Williams - 事件当時、カロリン・クレイルの異母妹であるアンジェラ・ウォレン(Angela Warren)の家庭教師)で、彼女には、マザーグースの童謡のうち、「この子豚は、何も持っていなかった。」と言う歌詞が割り当てられている。


ジョージ・フレデリック・ワッツ作「希望」の横に架けられている
テイト・ブリテン美術館による作品解説

アガサ・クリスティーの原作によると、ポワロがセシリア・ウィリアムズを訪れた際、彼女の部屋の壁に、「オレンジの上に座る目隠しされた少女(blind girl sitting on an orange)」の絵画が架けられていると言う記述が見受けられる。

この絵画は、英国ヴィクトリア朝時代の画家 / 彫刻家であるジョージ・フレデリック・ワッツ(George Frederic Watts:1817年ー1904年)による「希望(Hope)」(1886年)だと思われる。


ジョージ・フレデリック・ワッツ作「希望」は、現在、テイト・ブリテン美術館(Tate Britain → 2018年2月18日付ブログで紹介済)に所蔵 / 展示されている。

本作品は、1889年に開催されたパリ世界万博に出品された後、テイト・ブリテン美術館のオープン年に該る1897年に、画家本人によって寄贈されている。


テイト・ブリテン美術館の作品解決によると、アガサ・クリスティーの原作で書かれている「オレンジ」とは、「地球(globe)」とのこと。地球の上に座っている少女は、目隠しされている上に、弦が1本しか残されていない竪琴を抱えているが、それでも竪琴を奏でることをまだ諦めていない姿が描かれているのである。


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