2023年6月22日木曜日

アガサ・クリスティー作「書斎の死体」<英国 TV ドラマ版>(The Body in the Library by Agatha Christie )- その3

英国の Harper Collins Publishers 社から出版されている
「書斎の死体」のペーパーバック版の表紙には、
英国のイラストレーターであるビル・ブラッグ氏(Mr. Bill Bragg)によるイラストが、
卓上ランプの形に切り取られているものが使用されている。


英国の TV 会社 ITV 社が制作したアガサ・メアリー・クラリッサ・クリスティー(Agatha Mary Clarissa Christie:1890年ー1976年)作「書斎の死体(The Body in the Library → 2022年11月22日付ブログで紹介済)」(1942年)の TV ドラマ版である「Agatha Christie’s Miss Marple」の第1話(第1シリーズ)「書斎の死体」の場合、アガサ・クリスティーの原作に比べると、物語の最終展開が、大きく変更されている。


(7)

<原作>

犯人:

マーク・ギャスケル(Mark Gaskell - 大富豪であるコンウェイ・ジェファーソン(Conway Jefferson)の義理の息子 / コンウェイ・ジェファーソンの娘であるロザモンド・ジェファーソン(Rosamund Jefferson)の元夫)とジョゼフィン・ターナー(Josephine Turner - 愛称:ジョージー(Josie) / マジェスティックホテル(Majestic Hotel)で働くプロダンサー)の共犯 - 二人は、秘密裏に結婚していた。


犯行動機:

マークの義理の父に該るコンウェイ・ジェファーソンの死を望んでおり、彼がルビー・キーン(Ruby Keene - ジョゼフィンの従姉妹で、彼女と同じプロダンサー)の養子縁組を考えていることを知り、コンウェイ・ジェファーソンとルビー・キーンの二人の殺害を計画。


犯行方法:

バントリー夫妻(アーサー・バントリー大佐(Colonel Arthur Bantry)とドリー・バントリー(Dolly Bantry))が住むゴシントンホール(Gossington Hall)の書斎で発見された死体は、実はルビー・キーンではなく、パメラ・リーヴス(Pamela Reeves - ガールガイド団員)で、ルビー・キーンに偽装されていた。逆に、採掘場に遺棄されたジョージ・バートレット(George Bartlett - マジェスティックホテルの宿泊客で、生前のルビーを最後に見かけた人物)の車の中で燃やされた死体が、本当はルビー・キーンだった。

マーク・ギャスケルは、架空のスクリーンテストと言う名目で、パメラ・リーヴスをホテルへと誘い込み、ジョゼフィン・ターナーが、パメラ・リーヴスに対して、ルビー・キーンに似せた化粧を施した後、薬を飲ませ、一次的に眠らせた。

ブリッジをしている途中、マーク・ギャスケルは、休憩を入れると、眠らせたパメラ・リーヴスを、ベイジル・ブレイク(Basil Blake - セントメアリーミード村St. Mary Mead)の郊外に住む撮影所の大道具係)の家へと運び、そこで彼女を絞殺。

一方、真夜中前、着替えのために、ルビー・キーンが上階へと上がった際、ジョゼフィン・ターナーが彼女の後を付けて、毒の入った注射器で殺害。ルビー・キーンの代わりに、レイモンド・スター(Raymond Starr - マジェスティックホテルで働くプロダンサー)とのダンスを披露した後、ジョゼフィン・ターナーは、パメラ・リーヴスの服を着せたルビー・キーンを、ジョージ・バートレットの車で採掘場へと運ぶと、車に火を放って、彼女の死体も燃やした。


<TV ドラマ版>

犯人:アデレード・ジェファーソン(Adelaide Jefferson - コンウェイ・ジェファーソンの義理の娘 / コンウェイ・ジェファーソンの息子であるフランク・ジェファーソン(Frank Jefferson)の元妻)とジョゼフィン・ターナーの共犯 - 二人は、お互いに愛し合っていた。


犯行動機:原作と同じ。


犯行方法:マーク・ギャスケルがアデレード・ジェファーソンに入れ替わる以外は、原作と同じ。


(8)

<原作>

深夜、コンウェイ・ジェファーソンの寝室へと侵入したジョゼフィン・ターナーが、毒の入った注射器で彼を殺害しようとした現場を、ミス・ジェーン・マープルの指示で待ち構えていた警察に現行犯で逮捕される。

その後、ミス・マープルが、コンウェイ・ジェファーソンと警察に対して、自分の推理を披露する。


<TV ドラマ版>

原作とは異なって、まず最初に、ミス・マープルは、メルチェット大佐(Colonel Melchett - セントメアリーミード村を管轄する警察の本部長(Chief Constable))、ハーパー警視(Superintendent Harper - ルビー・キーンの失踪を担当する警察官)とドリー・バントリーに対して、自分の推理を披露する。

その後、深夜、コンウェイ・ジェファーソンの寝室へと侵入したジョゼフィン・ターナーが、毒の入った注射器で彼を殺害しようとした現場を、ミス・ジェーン・マープルの指示で待ち構えていた警察に現行犯で逮捕される。


(9)

<原作>

アデレード・ジェファーソンは、義理の父に該るコンウェイ・ジェファーソンに対して、長年の恋人であるヒューゴ・マクリーン(Hugo McClean)と結婚することを伝えて、彼を喜ばせる。

そして、コンウェイ・ジェファーソンは、新しい遺言書を作成し、彼の財産をアデレード・ジェファーソンと彼女の息子であるピーター・カーモディー(Peter Carmody - アデレードが最初の結婚(相手:マイク・カーモディー(Mike Carmody)で産んだ息子)に対して残すことにした。


<TV ドラマ版>

ジョゼフィン・ターナーと一緒に、母親であるアデレード・ジェファーソンまで逮捕されてしまった息子のピーター・カーモディーは、叔父のマーク・ギャスケルに抱き付いて、悲しむに暮れる場面を以って、物語は終わりを迎える。


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