2023年2月3日金曜日

アガサ・クリスティーの世界<ジグソーパズル>(The World of Agatha Christie )- その11

英国の Orion Publishing Group Ltd. から出ている「アガサ・クリスティーの世界(The World of Agatha Christie)」と言うジグソーパズル内に散りばめられているアガサ・メアリー・クラリッサ・クリスティー(Agatha Mary Clarissa Christie:1890年ー1976年)の生涯や彼女が執筆した作品等に関連した90個の手掛かりについて、前回に続き、紹介していきたい。


今回も、アガサ・クリスティーが執筆した作品に関連する手掛かりの紹介となる。


(44)石棺(sarcophagus)


ジグソーパズルの一番左端に、
ツタンカーメンの装飾が為された石棺が置かれている。


ツタンカーメン(Tutankhamun)の装飾が為された石棺が、本ジグソーパズルの一番左端に置かれている。
これから連想されるのは、アガサ・クリスティーが1957年に発表したミス・ジェーン・マープル(Miss Jane Marple)シリーズの長編第7作目の「パディントン発4時50分(4:50 from Paddington)」である。なお、「パディントン発4時50分」は、米国では、「マギリカディー夫人が目撃した殺人(What Mrs McGillicuddy Saw!)」というタイトルで出版されている。


Harper Collins Publishers 社から出版されている
「パディントン駅発4時50分」のペーパーバック版の表紙
<イラスト:ビル・ブラッグ氏(Mr. Bill Bragg)>


ロンドン市内でクリスマス用の買い物を終えたエルスペス・マギリカディー夫人(Mrs. Elspeth McGillicuddy)は、セントメアリーミード(St. Mary Mead)に住む友人のミス・ジェーン・マープルに会いに行くために、パディントン駅(Paddington Station → 2014年8月3日付ブログで紹介済)発午後4時50分の列車に乗った。


午後4時50分を指すパディントン駅コンコース上の時計


彼女が乗った列車は、隣りの線路を同じ方向へ走る列車に並んだ。並走する列車のある車窓のブラインドが上がっており、マギリカディー夫人は、そこに驚くべき瞬間を目撃した。なんと、こちらに背中を向けた男が、金髪の女性の首を絞めている現場だったのである。

すぐさま、マギリカディー夫人は、車掌に対して、今目撃した内容を報告した。


ビル・ブラッグ氏が描く
ミス・マープルシリーズの長編第7作目である
「パディントン駅発4時50分」の一場面


ミス・マープルの家を訪れたマギリカディー夫人は、彼女にも、列車内で目撃した内容を話した。マギリカディー夫人から経緯を聞いたミス・マープルは、彼女の話を信じたが、翌日の朝刊には、それらしき記事が載っていなかった。

ミス・マープルとマギリカディー夫人の2人は、地元の警察を訪ねて、事件の経緯を話したものの、警察による捜査の結果、列車内にも、線路周辺にも、該当する女性の死体は発見されなかった。


パディントン駅コンコース上のガラス屋根


上記の結果を受けて、ミス・マープルは、殺人犯は列車内で絞殺した女性のしたいを列車から投げ落としたものと考えた。そうすると、ブラックハンプトン駅の手前で線路が大きくカーブしている地点にあるラザフォードホール(Rutherford Hall)が、正にその場所だと思われた。ラザフォードホールは、現在、クラッケンソープ家(Crackenthorpe family)が所有していた。


そこで、ミス・マープルは、旧知の家政婦で、若いベテラン料理人であるルーシー・アイルズバロウ(Lucy Eyelesbarrow)に対して、クラッケンソープ家の家政婦として潜入して、マギリカディー夫人が目撃した女性の死体を探すように依頼した。

ミス・マープルの依頼に興味を覚えて、クラッケンソープ家の家政婦として採用されたルーシー・アイルズバロウは、数日後、ラザフォードホールの納屋の中にある石棺内に、マギリカディー夫人が目撃した女性の死体を発見したのである。


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