2022年9月30日金曜日

ウィリアム・ウィルキー・コリンズ作「月長石」(The Moonstone by William Wilkie Collins)- その1

Penguin Books Ltd. から
Penguin Classics シリーズの一つとして1998年に出版されている
ウィルキー・コリンズ作「月長石」の表紙
(Cover design : Detail from Moonrise by the Sea (1822)
by Caspar David Friedrich
in the Nationalgalerie Berlin
Photo : Staatliche Museen zu Berlin Preussischer Kulturbesitz /
Jorg P. Anders ) 

米国ユタ州ソルトレークシティー出身の作家であるサム・シチリアーノ(Sam Siciliano:1947年ー)が2017年に発表した「シャーロック・ホームズの更なる冒険 / 月長石の呪い(The further adventures of Sherlock Holmes / The Moonstone’s Curse → 2022年8月28日 / 9月28日付ブログで紹介済)」 がベースにしている「月長石(The Monnstone)」(1868年)は、ヴィクトリア朝時代(1837年-1901年)に活躍した英国の小説家 / 推理作家 / 劇作家であるウィリアム・ウィルキー・コリンズ(William Wilkie Collins:1824年ー1889年 → 2022年9月2日 / 9月4日付ブログで紹介済)が執筆した長編推理小説である。


ナショナルポートレートギャラリー(National Portrait Gallery)で販売されている
チャールズ・ジョン・ハファム・ディケンズ(1812年ー1870年)の写真の葉書
(by George Herbert Watkins / albumen print, arched top / 1858年 / 190 mm x 152 mm) -
チャールズ・ディケンズは、英国のヴィクトリア朝時代を代表する小説家で、
「クリスマスキャロル」、「大いなる遺産」、「オリヴァーツイスト」や
「二都物語」等で有名。


1851年3月、ウィリアム・ウィルキー・コリンズこと、ウィルキー・コリンズは、共通の友人(画家)の紹介で、彼と同じくヴィクトリア朝時代(1837年-1901年)を代表する英国の小説家であるチャールズ・ジョン・ハファム・ディケンズ(Charles John Huffam Dickens:1812年ー1870年)と知り合う。

彼は、チャールズ・ディケンズが出版する雑誌「暮らしの言葉(Household Works)」に定期的に寄稿したり、また、チャールズ・ディケンズや共通の友人達と一緒に、フランス、スイスやイタリアを旅行したりして、親交を深め、二人は生涯にわたる親友かつ協力者となった。

実際、「フローズンディープ(The Frozen Deep)」は、チャールズ・ディケンズによる指導の下、ウィルキー・コリンズが1857年に執筆した劇で、後に、小説として、「The Frozen Deep and Other Tales」(1874年)に収録されている。


Alma Books Ltd. から
Alma Classics シリーズの一つとして2018年に出版されている
ウィルキー・コリンズ作「フローズンディープ」の表紙
(Cover design by nathanburtondesign.com) 


「月長石」の場合、チャールズ・ディケンズが出版する週刊誌「All the Year Round」上に、1868年1月4日から同年8月8日の32週にわたって連載され、同年に3分冊として出版された。

現在、一般に流布しているのは、1871年に1冊にまとめられた版である。


ウィルキー・コリンズの代表作は、発表と同時に一大ブームを巻き起こした「白衣の女(The Woman in White)」(1860年)と英国小説界で絶大な人気を得た大ヒット作である「月長石」の2作品と評されている。

英国の詩人 / 劇作家 / 文芸評論家であるトマス・スターンズ・エリオット(Thomas Stearns Eliot:1888年ー1965年 → 日本では、一般に、T・S・エリオットと呼ばれている)は、「月長石」について、「最初の、最長の、最上の探偵小説(the first, the longest and the best of the modern English detective novel)」、また、「ウィルキー・コリンズの作品の中でも、最大にして、最良の推理小説(In its own time Collins’s thriller was an immediate best-seller, and one of his most popular novels.)」と称えている。


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