2023年11月5日日曜日

チャールズ・ディケンズの世界<ジグソーパズル>(The World of Charles Dickens )- その2

ジグソーパズルの中央下に建つ家の前(右端)を、
チャールズ・ディケンズが1855年から1857年にかけて月刊連載した
小説「リトルドリット」に登場する
エイミー・ドリット(左側の人物)とアーサー・クレナム(右側の人物)の2人が歩いている。


英国の Laurence King Publishing Group Ltd. より、2021年に発売されたジグソーパズル「チャールズ・ディケンズの世界(The World of Charles Dickens)」のイラスト内には、ヴィクトリア朝を代表する英国の小説家であるチャールズ・ジョン・ハファム・ディケンズ(Charles John Huffam Dickens:1812年ー1870年)や彼が生きた時代の人物、そして、彼の作品に登場するキャラクター等が散りばめられているので、次回以降、順番に紹介していきたい。


最初に紹介するのは、チャールズ・ディケンズの幼少期と彼の小説「リトルドリット(Little Dorrit)」(1855年ー1857年)である。


チャールズ・ディケンズは、海軍の会計史(clerk in the Navy Pay Office)であるジョン・ディケンズ(John Dickens:1785年ー1851年)とエリザベス・ディケンズ(Elizabeth Dickens:1789年ー1863年)の長男として、1812年2月7日、ハンプシャー州(Hampshire)ポーツマス(Portsmouth → 2016年9月17日付ブログで紹介済)の郊外ランドポート(Landport)に出生。


チャールズ・ディケンズは、父ジョンの転勤に伴い、2歳の時に、ロンドンへ、そして、5歳の時に、ケント州(Kent)の港町チャタム(Chatham)へと移り、そこで11歳までの6年間を過ごした。

チャールズ・ディケンズの家は、中流階級の家庭であったが、父ジョンは、金銭感覚に乏しい人物で、母エリザベスも、同様の傾向が見られた。

そのため、ディケンズ家は貧しく、チャールズ・ディケンズが学校教育を受けたのは、2度の転校による4年間だけであった。また、彼は、少年期、病弱で、読書に耽溺した。


サマセットハウスの建物外観

1822年6月、父ジョンは、ロンドンのサマセットハウス(Somerset House → 2016年7月17日付ブログで紹介済)にある海軍会計局の本部へ異動となった。

チャールズ・ディケンズは、最終学期があったため、ディケンズ家は、彼をチャタムに残したまま、ロンドンのカムデンタウン(Camden Town)へと転居した。


チャタムに居る頃から濫費により、ディケンズ家の家計は、1824年に遂に破綻して、父ジョンは、多額の借金の不払いのため、ロンドンのサザーク(Southwark)にあるマーシャルシー債務者監獄(Marshalsea Debtors’ Prison)へと収監されてしまったのである。学校に通っていたチャールズ・ディケンズを除く家族も、父ジョンと一緒に、収監された。


画面中央を歩いているカップルが、
エイミー・ドリット(左側の人物)とアーサー・クレナム(右側の人物)。

この少年期の経験は、チャールズ・ディケンズが1855年から1857年にかけて月刊連載した小説「リトルドリット」に反映されている。


ロンドンのサザークにあるマーシャルシー債務者監獄には、借金を返済できないもの達が、家族と一緒に、投獄されていた。ただし、債務者本人ではない家族は、外で働くことが可能。

マーシャルシー債務者監獄に25年間も投獄されているため、「マーシャルシーの父」とも称されているウィリアム・ドリット(William Dorrit)の次女で、「リトルドリット(Little Dorrit)」と呼ばれるエイミー・ドリット(Amy Dorrit - 22歳)は、この監獄で生まれ、外の世界を知らずに生きてきた。

エイミー・ドリットは、父ウィリアム、兄エドワード(Edward Dorrit)や姉ファニー(Fanny Dorrit)とは異なり、自尊心を失わず、生活費を稼ぐために、父には内密で、クレナム夫人(Mrs. Clennam)の元、お針子として働き始めた。


父親の死亡により、20年間居た中国から、クレナム夫人の息子であるアーサー・クレナム(Arthur Clennam - 40歳)が、ロンドンへと戻って来る。

アーサー・クレナムは、母親がお針子のエイミー・ドリットに対する態度等から、父親によって、ドリット一家が負債を負わされたのではないかと疑い始め、エイミー・ドリットの立場に深く同情する。その後、彼女への同情が恋心へと変わるが、アーサー・クレナムは、善良で、引っ込み思案な性格のため、彼女への感情を押し殺してしまう。


一方のエイミー・ドリットは、アーサー・クレナムに、誰にも話したことのない心の内を話すうちに、彼に対して、次第に恋心を抱くようになるのであった。


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