2023年11月20日月曜日

アガサ・クリスティーの世界<ジグソーパズル>(The World of Agatha Christie )- その28

英国の Orion Publishing Group Ltd. から出ている「アガサ・クリスティーの世界(The World of Agatha Christie)」と言うジグソーパズル内に散りばめられているアガサ・メアリー・クラリッサ・クリスティー(Agatha Mary Clarissa Christie:1890年ー1976年)の生涯や彼女が執筆した作品等に関連した90個の手掛かりについて、前回に続き、紹介していきたい。


今回も、アガサ・クリスティーが執筆した作品に関連する手掛かりの紹介となる。


(74)魚肉ペースト(練りもの)のサンドウィッチ(fish paste sandwich)


ジグソーパズルにおいて、手前にある大テーブルの上には、
恋敵であるメアリー・ジェラードに対して、モルヒネを盛るために、
エリノア・カーライルが食べさせたものと、警察に疑われた
魚肉ペーストのサンドウィッチの皿が置かれている。

本ジグソーパズル内において、アガサ・クリスティーが腰掛けている椅子の前にある大テーブルの上に、食べかけの魚肉ペーストのサンドウィッチの皿が置かれている。


これから連想されるのは、アガサ・クリスティーが1940年に発表したエルキュール・ポワロシリーズ作品「杉の柩(Sad Cypress)」である。本作品は、アガサ・クリスティーが執筆した長編としては、第27作目に該り、エルキュール・ポワロシリーズの長編のうち、第18作目に該っている。


英国の Harper Collins Publishers 社から出版されている
アガサ・クリスティー作エルキュール・ポワロシリーズ
「杉の柩」のペーパーバック版の表紙

婚約中のエリノア・カーライル(Elinor Carlisle)とロデリック・ウェルマン(Roderick Welman)の2人は、ロンドンで生活を送っていた。エリノア・カーライルは、金持ちの未亡人であるローラ・ウェルマン(Mrs. Laura Welman)の姪で、ロデリック・ウェルマンは、ローラ・ウェルマンの亡き夫の甥に該る。

裕福な叔母ローラ・ウェルマンは、現在、寝たきりの状態で、彼女が亡くなった場合、エリノア・カーライルとロデリック・ウェルマンの2人には、かなりの額の財産が入る予定で、彼らは、ローラ叔母の遺産が入り次第、結婚するつもりでいた。


そんな時、「寝たきりの未亡人の財産が、若い女に狙われている。」と言う匿名の手紙が、エリノア・カーライルの元に届く。

エリノア・カーライルとロデリック・ウェルマンの2人は、本気で心配した訳ではないが、見舞いのため、ローラ叔母が住むハンターベリー(Hunterbury)の屋敷へと向かった。

ローラ叔母は、発作の後遺症で左半身が麻痺しており、エリノア・カーライルが彼女と話をしていると、そこにローラ叔母を治療している若いピーター・ロード医師(Dr. Peter Lord)がやって来る。自分の患者の美しい姪に初めて会ったピーター・ロード医師は、思わず赤面する。

一方、その頃、外を散歩していたロデリック・ウェルマンは、ローラ叔母のお気に入りで、ウェルマン家の門番の娘であるメアリー・ジェラード(Mary Gerrard)に出会い、その美しさに心を奪われてしまう。


その翌週、エリノア・カーライルとロデリック・ウェルマンの2人は、ピーター・ロード医師より、ローラ叔母が再び発作に襲われたとの連絡を受け、ハンターベリーの屋敷へと急いだ。

死期が近いことを悟ったローラ叔母は、エリノア・カーライルに対して、「(お気に入りの)メアリー・ジェラードのために、遺言書に追加条項を加えたいので、翌朝、弁護士を呼んでほしい。」と強く希望した。

ピーター・ロード医師によると、その日、ローラ叔母の容態は大丈夫な筈であったが、翌朝、ローラ叔母は、眠ったまま、亡くなっていた。


ローラ・ウェルマンを看護していたジェシー・ホプキンズ(Nurse Jessie Hopkins)は、持って来た筈のモルヒネがないことに気付く。

また、ローラ・ウェルマンの弁護士であるセドン(Mr. Seddon)は、彼女が遺言書を作成していなかったことを告げる。

その結果、唯一の血縁者であるエリノア・カーライルが、ローラ叔母の全財産を相続することになった。その一方で、ロデリック・ウェルマンが、メアリー・ジェラードに対する想いを明らかにしたため、エリノア・カーライルとロデリック・ウェルマンの婚約は、白紙となってしまう。


ジェシー・ホプキンズ看護婦の助言を受けたメアリー・ジェラードは、ニュージーランドに居る伯母に財産を遺す遺言書を作成する。また、エリノア・カーライルも、ロデリック・ウェルマンに全財産を遺す遺言書を作成した。


ロデリック・ウェルマンが居ないハンターベリーの屋敷に住む気になれないエリノア・カーライルは、屋敷を売ることに決めた。

約1ヶ月後、ハンターベリーの屋敷の買い手がついたので、エリノア・カーライルは、引き渡しの準備と家具の整理のために、屋敷を訪れた。また、メアリー・ジェラードも、ジェシー・ホプキンズ看護婦と一緒に、門番小屋の片付けに来ていた。

エリノア・カーライルの心中には、メアリー・ジェラードに対する嫉妬と憎しみが渦巻いていたが、表向きは礼儀正しさを崩さず、メアリー・ジェラードとジェシー・ホプキンズ看護婦の2人を、昼食(お茶とサンドウィッチ)に誘った。ところが、エリノア・カーライルがつくった魚肉ペーストのサンドウィッチを食べたメアリー・ジェラードが、昼食後間もなく、急に苦しんで、息を引き取ってしまったのである。


その結果、エリノア・カーライルは、メアリー・ジェラードに対して、モルヒネを盛った疑いで、警察に逮捕される。

ピーター・ロード医師は、エルキュール・ポワロの元を訪れると、「エリノア・カーライルが無実であることを立証してほしい。」と依頼するのであった。


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