2023年3月27日月曜日

パイプを咥えたシャーロック・ホームズ - その11

サー・アーサー・イグナティウス・コナン・ドイル(Sir Arthur Ignatius Conan Doyle:1859年-1930年)が執筆したシャーロック・ホームズシリーズにおいて、パイプを咥えたシャーロック・ホームズの挿絵について、引き続き、紹介したい。


今回も、ホームズシリーズの第5短編集である「シャーロック・ホームズの事件簿(The Case-Book of Sherlock Holmes)」に収録されている挿絵に関して、紹介する。


ホームズシリーズの第1短編集「シャーロック・ホームズの冒険(The Adventures of Sherlock Holmes)」(1892年)、第2短編集「シャーロック・ホームズの回想(The Memoirs of Sherlock Holmes)」(1893年)、第3長編「バスカヴィル家の犬(The Hound of the Baskervilles)」1901年8月ー1902年4月)、そして、第3短編集「シャーロック・ホームズの帰還(The Return of Sherlock Holmes)」(1905年)まで挿絵を担当していた挿絵画家であるシドニー・エドワード・パジェット(Sidney Edward Paget:1860年ー1908年)は、1908年1月28日に亡くなったため、第5短編集「シャーロック・ホームズの事件簿」の挿絵は、他のイラストレーターによる挿絵となっている。


当時、柄がまっすぐとなったパイプが一般的に使用されていたことを示すために、ホームズに加えて、他の登場人物の挿絵も掲載する。


(30)「這う男(The Creeping Man)」


英国で出版された「ストランドマガジン」
1923年3月号に掲載された挿絵 -
ケンフォード大学(Camford University)の生理学者(physiologist)である
プレスベリー教授(Professor Presbury)のことを案じる
彼の助手であるトレヴァー・ベネット(Trevor Bennett)が、
シャーロック・ホームズの元を相談に訪れる。
画面左手前の人物がホームズで、
画面右手前の人物がジョン・H・ワトスン。
そして、画面奥の人物が、トレヴァー・ベネット。
椅子の上で寛ぐホームズは、
右手を椅子の肘掛け部分に置き、
左手に持ったパイプを口に咥えたまま、
部屋の中に入って来たトレヴァー・ベネットを見上げている。


「這う男」は、ホームズシリーズの短編小説56作のうち、47番目に発表された作品で、英国では、「ストランドマガジン(The Strand Magazine)」の1923年3月号に、また、米国では、「ハースツ インターナショナル(Heart’s International)」の1923年3月号に掲載された。

同作品は、1927年に発行されたホームズシリーズの第5短編集である「シャーロック・ホームズの事件簿」に収録されている。


(31)「覆面の下宿人(The Veiled Lodger)」


英国で出版された「ストランドマガジン」
1927年2月号に掲載された挿絵 -
1896年の終わり頃、
サウスブリクストン(South Brixton)に住むメリロー夫人(Mrs. Merrilow)が、
シャーロック・ホームズの元を訪れ、
下宿人のロンダー夫人(Mrs. Ronder)に会ってほしいと依頼する。
メリロー夫人が帰ると、彼女経由、ロンダー夫人から伝言された
「アッバス・パルヴァの悲劇(Abbas Parva tragedy)」のことを調べるため、
ホームズは、部屋の隅にある備忘録の山へ突進した。

ホームズは、パイプを口に咥えたまま、
備忘録のページをめくることに集中している。


覆面の下宿人」は、ホームズシリーズの短編小説56作のうち、55番目に発表された作品で、英国では、「ストランドマガジン」の1927年2月号に、また、米国では、「リバティー(Liberty)」の1927年1月22日号に掲載された。

同作品は、ホームズシリーズの第5短編集である「シャーロック・ホームズの事件簿」(1927年)に収録されている。


(32)「隠居絵具屋(The Retired Colourman)」


英国で出版された「ストランドマガジン」
1927年1月号に掲載された挿絵 -
ジョサイア・アンバリー(Josiah Amberley)が、シャーロック・ホームズの元を相談に訪れる。
彼は画材製造業ブリックホール&アンバリー(Brickhall & Amberley)の経営者の一人であったが、
1896年に61歳になった時に引退し、ルイシャム(Lewisham)に家を購入した。
そして、翌年の1897年初め、自分より20歳も年下の女性と結婚して、落ち着いた生活を送る筈だった。
ところが、近所に住む彼のチェス仲間である若い医師レイ・アーネスト(Dr Ray Ernest)が、
自分の妻と親密になり、先週、二人は自分の財産を持って逃げ出した、と言うのだ。
ジョサイア・アンバリーは、「二人の行方を見つけ出してほしい。」と、
ホームズのところへ依頼に来たのであった。
別の事件に謀殺されていたホームズは、代わりにジョン・H・ワトスンに事件の調査を頼む。
現地調査から戻って来たワトスンは、ホームズに結果を報告した。
画面左手の人物がワトスンで、画面右手の人物がホームズ。
寝椅子に凭れたホームズは、
右手にパイプを持ち、左手を寝椅子の肘掛け部分に置き、
ワトスンからの報告を聞いている。

隠居絵具屋」は、ホームズシリーズの短編小説56作のうち、54番目に発表された作品で、英国では、「ストランドマガジン」の1927年1月号に、また、米国では、「リバティー」の1926年12月18日号に掲載された。

同作品は、ホームズシリーズの第5短編集である「シャーロック・ホームズの事件簿」(1927年)に収録されている。


0 件のコメント:

コメントを投稿