2023年3月4日土曜日

パイプを咥えたシャーロック・ホームズ - その4

サー・アーサー・イグナティウス・コナン・ドイル(Sir Arthur Ignatius Conan Doyle:1859年-1930年)が執筆したシャーロック・ホームズシリーズにおいて、パイプを咥えたシャーロック・ホームズの挿絵について、引き続き、紹介したい。


今回も、ホームズシリーズの第3長編である「バスカヴィル家の犬(The Hound of the Baskervilles)」と第3短編集である「シャーロック・ホームズの帰還(The Return of Sherlock Holmes)」に収録されている挿絵に関して、紹介する。

今回も、挿絵を担当しているのは、挿絵画家であるシドニー・エドワード・パジェット(Sidney Edward Paget:1860年ー1908年)である。

また、当時、柄がまっすぐとなったパイプが一般的に使用されていたことを示すために、ホームズに加えて、他の登場人物の挿絵も掲載する。


(13)「バスカヴィル家の犬」


英国で出版された「ストランドマガジン」に掲載された挿絵 -
第3章「問題(The Problem)」
ジョン・H・ワトスンが、一日中クラブで過ごした後、
ベーカーストリート221Bに戻ると、
シャーロック・ホームズは、大縮尺地図(large-scale map)を使って、
バスカヴィル館(Baskerville Hall)のことを調べているところだった。
画面左側の人物がホームズで、画面右側の人物がワトスン。
ホームズは、柄が真っ直ぐになったパイプを口に咥えている。
挿絵:シドニー・エドワード・パジェット(1860年 - 1908年)

「バスカヴィル家の犬」は、ホームズシリーズの長編小説4作のうち、3番目に発表された作品で、英国では、「ストランドマガジン(The Strand Magazine)」の1901年8月号から1902年4月号にかけて連載された後、単行本化された。


英国で出版された「ストランドマガジン」に掲載された挿絵 -
第15章「回想(A Retrospection)」
11月末の寒々とした霧深い夜、
ベーカーストリート221Bの居間において

シャーロック・ホームズは、ジョン・H・ワトスンに対して、
事件の謎解きをするのだった。
画面左側の人物がホームズで、画面右側の人物がワトスン。
ホームズは、柄が真っ直ぐになったパイプを口に咥えている。
挿絵:シドニー・エドワード・パジェット(1860年 - 1908年)

(14)「空き家の冒険(The Empty House)」


英国で出版された「ストランドマガジン」
1903年10月号に掲載された挿絵 -
セバスチャン・モラン大佐(Colonel Sebastian Moran)を捕まえた後、
懐かしいベーカーストリート221Bの居間へと戻った
シャーロック・ホームズは、人物経歴の索引から
セバスチャン・モラン大佐のことを説明する。
それによると、セバスチャン・モラン大佐は、
「ロンドンで2番目に危険な男
(The second most dangerous man in London)」とのことだった。
画面左側の人物がワトスンで、画面右側の人物がホームズ。
椅子に凭れたホームズは、葉巻から濛々と煙を吐いている。
挿絵:シドニー・エドワード・パジェット(1860年 - 1908年)

「空き家の冒険」は、ホームズシリーズの短編小説56作のうち、25番目に発表された作品で、英国では、「ストランドマガジン」の1903年10月号に、また、米国でも、「コリアーズ ウィークリー(Collier’s Weekly)」の1903年9月26日号に掲載された。

同作品は、1905年に発行されたホームズシリーズの第3短編集である「シャーロック・ホームズの帰還」に収録されている。


(15)「ノーウッドの建築業者(The Norwood Builder)


英国で出版された「ストランドマガジン」
1903年11月号に掲載された挿絵 -
シャーロック・ホームズがロンドンへと帰還して、数ヶ月が経過したある日の朝、
ブラックヒース(Blackheath)に住む事務弁護士(solicitor)である
青年ジョン・ヘクター・マクファーレン(John Hector McFarlane)が、
ベーカーストリート221Bの居間に、息を切らしたまま、飛び込んで来た。
自分の身に覚えがない殺人の容疑をかけられているため、
ホームズに助けを求めにきたのである。
画面左側から、ジョン・ヘクター・マクファーレン、ジョン・H・ワトスン、
そして、ホームズ。
ホームズは、煙草を口に咥えている。

挿絵:シドニー・エドワード・パジェット(1860年 - 1908年)

「ノーウッドの建築業者」は、ホームズシリーズの短編小説56作のうち、26番目に発表された作品で、英国では、「ストランドマガジン」の1903年11月号に、また、米国でも、「コリアーズ ウィークリー」の1903年10月31日号に掲載された。

同作品は、ホームズシリーズの第3短編集である「シャーロック・ホームズの帰還」(1905年)に収録されている。 


英国で出版された「ストランドマガジン」
1903年11月号に掲載された挿絵 -
スコットランドヤードのレストレード警部(Inspector Lestrade)が帰った後、
シャーロック・ホームズは、大急ぎでフロックコートに袖を通すと、
ブラックヒースへと出かける準備を始めた。
画面左側の人物がジョン・H・ワトスンで、画面右側の人物がホームズ。
シドニー・パジェットの挿絵では非常に珍しく、
今回は、ホームズではなく、ワトスンが、
柄が真っ直ぐになったパイプを口に咥えて、椅子に腰掛けている。

挿絵:シドニー・エドワード・パジェット(1860年 - 1908年)

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