2023年3月22日水曜日

パイプを咥えたシャーロック・ホームズ - その9

サー・アーサー・イグナティウス・コナン・ドイル(Sir Arthur Ignatius Conan Doyle:1859年-1930年)が執筆したシャーロック・ホームズシリーズにおいて、パイプを咥えたシャーロック・ホームズの挿絵について、引き続き、紹介したい。


今回は、ホームズシリーズの第5短編集である「シャーロック・ホームズの事件簿(The Case-Book of Sherlock Holmes)」に収録されている挿絵に関して、紹介する。


ホームズシリーズの第1短編集「シャーロック・ホームズの冒険(The Adventures of Sherlock Holmes)」(1892年)、第2短編集「シャーロック・ホームズの回想(The Memoirs of Sherlock Holmes)」(1893年)、第3長編「バスカヴィル家の犬(The Hound of the Baskervilles)」1901年8月ー1902年4月)、そして、第3短編集「シャーロック・ホームズの帰還(The Return of Sherlock Holmes)」(1905年)まで挿絵を担当していた挿絵画家であるシドニー・エドワード・パジェット(Sidney Edward Paget:1860年ー1908年)は、1908年1月28日に亡くなったため、第5短編集「シャーロック・ホームズの事件簿」の挿絵は、他のイラストレーターによる挿絵となっている。


当時、柄がまっすぐとなったパイプが一般的に使用されていたことを示すために、ホームズに加えて、他の登場人物の挿絵も掲載する。


(25)「高名な依頼人(The Illustrious Client)」


英国で出版された「ストランドマガジン」
1925年2月号に掲載された挿絵 -
1902年9月3日、トルコ風呂で寛いでいた
シャーロック・ホームズとジョン・H・ワトスンの元に、
サー・ジェイムズ・デマリー大佐(Colonel Sir James Damery)から
「ある特別な剣について、依頼したい。」と言う内容の手紙が届いた。
翌日の午後4時半に、ベーカーストリート221B(221B Baker Street)を訪れた
サー・ジェイムズ・デマリーは、待っていたホームズとワトスンに対して、
「ド・メルヴィル将軍(General de Merville)」の娘である
ヴァイオレット・ド・メルヴィル(Violet de Merville)が、
悪名高いオーストリア貴族のグルーナー男爵(Baron Gruner)に騙されて、婚約してしまった。
これは、ある非常に高名な方からの依頼で、この婚約を破棄させてほしい。」と説明した。
画面左側から、シャーロック・ホームズ、ジョン・H・ワトスン、
そして、サー・ジェイムズ・デマリー。
ハッキリとしないものの、椅子に腰掛けているワトスンが、
右手にパイプを持っているように見える。
挿絵:ハワード・ケッピー・エルコック
(Howard Keppie Elcock:1886年ー1952年)

「高名な依頼人」は、ホームズシリーズの短編小説56作のうち、50番目に発表された作品で、英国では、「ストランドマガジン(The Strand Magazine)」の1925年2月号 / 3月号に、また、米国でも、「コリアーズ ウィークリー(Collier’s Weekly)」の1924年11月8日号に掲載された。

同作品は、1927年に発行されたホームズシリーズの第5短編集である「シャーロック・ホームズの事件簿」に収録されている。


(26)「白面の兵士(The Blanched Soldier)」


英国で出版された「ストランドマガジン」
1926年11月号に掲載された挿絵 -
第二次ボーア戦争が終結した直後の1903年1月、
ジェイムズ・M・ドッド(Mr. James M. Dodd)が、
ベーカーストリート221Bのシャーロック・ホームズの元を訪れる。
彼は、戦友のゴドフリー・エムズワース(Godfrey Emsworth)が音信不通となったため、
ゴドフリーの居所を探し出そうとして、必死になっていたのである。
画面左側の人物がホームズで、
画面右側の人物がジェイムズ・M・ドッド。
椅子に腰掛けて、ジェイムズ・M・ドッドの話を聞くホームズが、
左手に持ったパイプを口に咥えている。
挿絵:
ハワード・ケッピー・エルコック(1886年ー1952年)


白面の兵士」は、ホームズシリーズの短編小説56作のうち、52番目に発表された作品で、英国では、「ストランドマガジン」の1926年11月号に、また、米国でも、「リバティー(Liberty)」の1926年10月16日号に掲載された。

同作品は、ホームズシリーズの第5短編集である「シャーロック・ホームズの事件簿」(1927年)に収録されている。


(27)「三破風館(The Three Gables)」


英国で出版された「ストランドマガジン」
1926年10月号に掲載された挿絵 -
物語の冒頭、
親分のバーニー・ストックデイル(Barney Stockdale)からの指示を受け、
ボクサーのスティーヴ・ディクシー(Steve Dixie)が
ベーカーストリート221Bに押しかけて来て、
シャーロック・ホームズに対して、事件から手を引くように凄む。
画面手前に、ジョン・H・ワトスンが、
画面奥の左側にスティーヴ・ディクシー、
そして、画面奥右側にホームズが描かれている。

椅子に腰掛けて、スティーヴ・ディクシーに凄まれているホームズが、
左手に持ったパイプを口に咥えている。
挿絵:
ハワード・ケッピー・エルコック(1886年ー1952年)


三破風館」は、ホームズシリーズの短編小説56作のうち、51番目に発表された作品で、英国では、「ストランドマガジン」の1926年10月号に、また、米国でも、「リバティー(Liberty)」の1926年9月18日号に掲載された。

同作品は、ホームズシリーズの第5短編集である「シャーロック・ホームズの事件簿」(1927年)に収録されている。


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