2024年2月9日金曜日

シャーロック・ホームズのトランプ(Sherlock Holmes - Playing Cards)- その12

英国の Laurence King Publishing Group Ltd. より、一昨年(2022年)に発行されたシャーロック・ホームズをテーマにしたトランプの各カードについて、前回に引き続き、紹介したい。


(41)J ❤️「ベーカーストリート不正規隊(The Baker Street Irregulars)」



ベーカーストリート不正規隊は、シャーロック・ホームズの手足となって、捜査に協力するストリートチルドレンの集団である。


ベーカーストリート不正規隊は、ホームズから日当をもらい、スコットランドヤードの警官やホームズが入り込めない場所へ潜入し、警官やホームズでは聞き出すことが難しい有益な情報を得ることによって、彼らの真価を発揮する。ホームズは、ベーカーストリート不正規隊について、「スコットランドヤードの警官1ダースよりも、彼ら一人の方が有用だ。」と高く評価している。ホームズは、日当以外に、彼らが得る情報の内容によっては、特別報酬も支払う上に、必要経費も負担していた。


なお、ベーカーストリート不正規隊のメンバーの名前は、「緋色の研究(A Study in Scarlet → 2016年7月30日付ブログで紹介済 / ホームズシリーズの記念すべき第1作目で、英国では、「ビートンのクリスマス年鑑(Beeton’s Christmas Annual)」(1887年11月)に掲載された後、単行本化)」と「四つの署名(The Sign of the Four → 2017年8月12日付ブログで紹介済 / ホームズシリーズの長編第2作目で、「リピンコット・マンスリー・マガジン(Lippincott’s Monthly Magazine)」の1890年2月号に掲載された後、単行本化)」に登場する隊長のウィギンズ(Wiggins)と「背中の曲がった男(The Crooked Man)」に登場するシンプスン(Simpson)を除くと、不明である。


(42)J ♠️「グリムズビー・ロイロット博士(Dr. Grimesby Roylott)



グリムズビー・ロイロット博士は、「まだらの紐(The Speckled Band → 2023年9月9日付ブログで紹介済)に登場する医師で、サリー州(Surrey)のストークモラン村(Stoke Moran)に居住。

彼は、沼マムシ(swamp adder → 2023年x月x日付ブログで紹介済)を使い、義理の娘であるジュリア・ストーナー(Julia Stoner - 双子の姉)を殺害すると、同じく義理の娘であるヘレン・ストーナー(Helen Stoner - 双子の妹)も殺害しようと企んだ。


英国で出版された「ストランドマガジン(The Strand Magazine)」
1892年2月号「まだらの紐」に掲載された挿絵 -
事件依頼人であるヘレン・ストーナーが
シャーロック・ホームズの元を辞去した後、
彼女の後を付けて来たグリムズビー・ロイロット博士が、
ベーカーストリート221B(221B Baker Street
→ 2014年6月22日 / 6月29日付ブログで紹介済)に
突然、怒鳴り込んで来た。
画面左側から、グリムズビー・ロイロット博士、
ホームズ、そして、ジョン・H・ワトスン。

挿絵:シドニー・エドワード・パジェット
(Sidney Edward Paget:1860年 - 1908年)

「まだらの紐」は、ホームズシリーズの短編小説56作のうち、8番目に発表された作品で、英国の「ストランドマガジン」の1892年2月号に掲載された。

また、同作品は、1892年に発行されたホームズシリーズの第1短編集「シャーロック・ホームズの冒険(The Adventures of Sherlock Holmes)」に収録されている。


(43)J ♦️「ネヴィル・セントクレア(Neville St. Clair)」



1884年5月、ネヴィル・セントクレアは、「唇のねじれた男(The Man with the Twisted Lip)」に登場する人物で、ケント州(Kent)のリー(Lee)にやって来て、大きな邸宅を購入する。1887年に、彼は地元の醸造業者の娘と結婚し、2人の子供を設けた。

彼には定職はなかったが、いくつかの会社との取引があり、朝になるとロンドンに出かけ、毎晩キャノンストリート駅(Cannon Street Station → 2014年10月26日付ブログで紹介済)発5時14分の列車で帰って来ることを日課にしていた。


英国で出版された「ストランドマガジン」
1891年12月号「唇のねじれた男」に掲載された挿絵 -

シティー(City → 2018年8月4日 / 8月11日付ブログで紹介済)の
スレッドニードルストリート(Threadneedle Street
→ 2014年10月30日付ブログで紹介済)において、
ヒュー・ブーン(Hugh Boone)は、物乞いをして、
かなりの金額を稼いでいた。
挿絵:シドニー・エドワード・パジェット
(1860年 - 1908年)


そのネヴィル・セントクレアが、謎の失踪を遂げる。

彼は、シティー(City → 2018年8月4日 / 8月11日付ブログで紹介済)近くのアヘン窟の3階で謎の失踪を遂げ、彼の殺害容疑で物乞いのヒュー・ブーンが逮捕されることになる。


英国で出版された「ストランドマガジン」
1891年12月号「唇のねじれた男」に掲載された挿絵 -
物語の終盤、シャーロック・ホームズは、ジョン・H・ワトスンと一緒に、
ボウストリート(Bow Street → 2014年10月31日付ブログで紹介済)の警察署へと向かうと、
シティー近くのアヘン窟の3階で謎の失踪を遂げたネヴィル・セントクレアの殺害容疑で
留置場に勾留されている物乞いのヒュー・ブーンが、
ネヴィル・セントクレア本人であると指摘するのであった。
画面左側から、ボウストリート警察署の警官、ワトスン、ホームズ、そして、
ヒュー・ブーンに扮していたネヴィル・セントクレア。
挿絵:シドニー・エドワード・パジェット
(1860年 - 1908年)

「唇のねじれた男」は、ホームズシリーズの短編小説56作のうち、6番目に発表された作品で、英国の「ストランドマガジン」の1891年12月号に掲載された。

また、同作品は、ホームズシリーズの第1短編集「シャーロック・ホームズの冒険」(1892年)に収録されている。


(44)J ♣️バーディー・エドワーズ(Birdy Edwards)



「恐怖の谷(The Valley of Fear  → 2023年5月12日 / 5月17日 / 5月21日 / 5月26日 / 5月29日 / 6月5日付ブログで紹介済)」の第2部「スカウラーズ(The Scowrers)」において、1875年2月4日、ジョン・マクマード(John McMurdo)と名乗る男が、米国ペンシルヴァニア州ヴァーミッサ峡谷(Vermissa Valley)にある炭鉱街へとやって来る。

彼曰く、「シカゴ(Chicago)でトラブル(贋金造りの仲間との諍いによる殺人)を起こして、逃げて来た。全米に支部がある労働者の秘密結社である「自由民団」の団員なので、ここの自由民団に加入したい。」とのこと。

そして、彼は、ヴァーミッサ峡谷の炭鉱街において、マギンティー支部長(Bodymaster McGinty → 2023年x月x日付ブログで紹介済)が牛耳っている「スカウラーズ(The Scowrers - 表現上は、労働者の秘密結社であるが、実質的には、マフィアの集団)に入団することになる。

ジョン・マクマードは、仮の姿で、実は、ピンカートン探偵社(Pinkerton)のバーディー・エドワーズであった。

その後、彼は、ジョン・ダグラス(John Douglas)と名前を変えて、英国サセックス州(Sussex)バールストン(Birlstone)のバールストン館(Birlstone House)に住むようになるが、復讐のため、命を狙われるのであった。


ジョン・マクマードに化けたピンカートン探偵社のバーディー・エドワーズ(画面左側の人物)が、
米国ペンシルヴァニア州ヴァーミッサ峡谷にある炭鉱街へとやって来る。

「恐怖の谷」は、ホームズシリーズの長編第4作目で、英国では、「ストランドマガジン」の1914年9月号から1915年5月号にかけて掲載された後、単行本化。また、米国でも、「ニューヨーク トリビューン(The New-York Tribune)」の日曜版に連載された。


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