2024年2月2日金曜日

アガサ・クリスティーのトランプ(Agatha Christie - Playing Cards)- その7

英国の Laurence King Publishing Group Ltd. より、昨年(2023年)に発行されたアガサ・メアリー・クラリッサ・クリスティー(Agatha Mary Clarissa Christie:1890年ー1976年)をテーマにしたトランプの各カードについて、引き続き、紹介したい。


(21)6 ♠️「ハーリー・クィン(Harley Quin)」



ハーリー・クィンは、アガサ・クリスティーのシリーズ探偵の一人で、経歴や職業等、全てが不明のため、彼女が創り出した探偵の中では、最も謎めいた存在となっている。

ハーリー・クィンシリーズの場合、クィン氏は自分で謎を解くことはしないで、恋愛がらみの事件が発生する場所に突然現れると、サタースウェイト氏(Mr. Satterthwaite → 2024年1月16日付ブログで紹介済)に対して、示唆を与えるだけである。クィン氏による示唆を受けて、実際に、謎を解くのは、サタースウェイト氏自身である。事件が解決した後、クィン氏は、サタースウェイト氏の前から、忽然とその姿を消してしまう。


登場作品

<長編>

なし

<短編集>

*「謎のクィン氏(The Mysterious Mr. Quin)」(1930年)- ハーリー・クィンシリーズ

 ・「クィン氏登場(The Coming of Mr. Quin)」

 ・「窓ガラスに映る影(The Shadow on the Glass)」

 ・「<鈴と道化服>亭奇聞(At the ‘Bells and Motley’)」

 ・「空のしるし(The Sign in the Sky)」

 ・「クルピエの真情(The Soul of the Croupler)」

 ・「海から来た男(The Man from the Sea)」

 ・「闇からの声(The Voice in the Dark)」

 ・「ヘレンの顔(The Face of Helen)」

 ・「死んだ道化役者(The Dead Harlequin)」

 ・「翼の折れた鳥(The Bird with the Broken Wing)」

 ・「世界の果て(The World’s End)」

 ・「道化師の小径(Harlequin’s Lane)」

*「愛の探偵たち(Three Blind Mice and Other Stories)」(1950年)

 ・「愛の探偵たち(The Love Detectives)」- ハーリー・クィンシリーズ

*「マン島の黄金(While the Light Last)」

 ・「クィン氏のティーセット(The Harlequin Tea Set)」- ハーリー・クィンシリーズ


(22)6 ❤️「ヴェルヴェットのストール(Velvet Stole)」



長編「ナイルに死す(Death on the Nile)」(1937年)において、ナイル河を遡る遊覧船に乗船した英国で最も裕福な女性で、弱冠20歳のリネット・リッジウェイ(Linnet Ridgeway)が、自室で就寝中に、何者かによって射殺される。犯人は、大富豪の貴婦人であるヴァン・スカイラー(Van Schuyler)ヴェルヴェットのストールで拳銃を包み、サイレンサーのように使用したのである。


本作品は、アガサ・クリスティーが執筆した長編としては、第22作目に該り、エルキュール・ポワロシリーズの長編のうち、第15作目に該っている。


英国の Harper Collins Publishers 社から出版されている
アガサ・クリスティー作エルキュール・ポワロシリーズ
「ナイルに死す」のペーパーバック版の表紙


(23)6 ♣️「砂糖ハンマー(Sugar Hammer)」



長編「マギンティー夫人は死んだ(Mrs. McGinty’s Dead)」(1952年)において、いくつかの家で掃除婦として働いていたマギンティー夫人(Mrs. McGinty)が、何者かによって殺害される。彼女を殺害する凶器として、砂糖ハンマーが使用されている。


本作品は、アガサ・クリスティーが執筆した長編としては、第42作目に該り、エルキュール・ポワロシリーズの長編のうち、第24作目に該っている。


英国の Harper Collins Publishers 社から出版されている
アガサ・クリスティー作エルキュール・ポワロシリーズ
「マギンティー夫人は死んだ」のペーパーバック版の表紙

(24)6 ♦️「ラマット王国の王家の宝石(Crown Jewels of Ramat)」



長編「鳩のなかの猫(Cat Among the Pigeons)」(1959年)において、中東のラマット王国(Ramat)では、若き国王であるアリ・ユースフ(Prince Ali Yusuf)は民主化を進めていたが、国王に対する革命が勃発する。

自身に迫る危機を事前に察したアリ・ユースフ国王は、彼の親友で、彼のお抱え飛行士でもあるボブ・ローリンスン(Bob Rawlinson)に対して、数十万ポンドの価値にもなる王家の宝石を密かに国外へ運び出すことを依頼した。アリ・ユースフ国王からの依頼を受けたボブ・ローリンスンは、咄嗟に姉のジョアン・サットクリフ(Joan Sutcliffe)と姪のジェニファー・サットクリフ(Jennifer Sutcliffe)が滞在しているホテルの部屋を訪ねたが、生憎と、彼女達は留守だった。そこで、ボブ・ローリンスンは、姪のジェニファーが使っているテニス用のラケットの握り部分に宝石が入った包みを隠すと、ホテルの部屋を出た。ボブ・ローリンスンとしては、自分の行動を誰にも見られていないつもりでいたが、実際には、彼の行動は、何者かに見られていたのである。

母親のジョアン・サットクリフと娘のジェニファーは、数十万ポンドにものぼる宝石が自分達の目と鼻の先にあるとは夢にも思わず、ジェニファーの学校入学に合わせて、ラマット王国から英国へと帰国した。

その後、アリ・ユースフ国王は、ボブ・ローリンスンと一緒に、飛行機でラマット王国を脱出しようと試みたが、途中で事故により墜落した結果、2人とも亡くなってしまう。


英国の Harper Collins Publishers 社から出版されている
アガサ・クリスティー作エルキュール・ポワロシリーズ
「鳩のなかの猫」のペーパーバック版の表紙


本作品は、アガサ・クリスティーが執筆した長編としては、第51作目に該り、エルキュール・ポワロシリーズの長編のうち、第24作目に該っている。


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