2024年2月4日日曜日

アガサ・クリスティー エルキュール・ポワロ 2024年カレンダー(Agatha Christie - Hercule Poirot - Calendar 2024)- 「アクロイド殺し(The Murder of Roger Ackroyd)」

表紙が、キングスアボット村(King's Abbot)に住むジェームズ・シェパード医師(Dr. James Sheppard)が「わたし」という語り手になって、事件を記録する際に使用する羽根ペンとインク瓶の形に切り取られている。


アガサ・メアリー・クラリッサ・クリスティー(Agatha Mary Clarissa Christie:1890年ー1976年)の作品を出版している英国の Harper Collins Publishers 社から出ているエルキュール・ポワロ(Hercule Poirot)シリーズのペーパーバック版の表紙を使った2024年カレンダーのうち、10番目を紹介したい。


(10)長編「アクロイド殺し(The Murder of Roger Ackroyd)」(1926年)


本作品は、アガサ・クリスティーが執筆した長編としては、第6作目に該り、エルキュール・ポワロシリーズの長編のうち、第3作目に該っている。

本作品の場合、元々、1925年7月16日から同年9月16日にかけて、「ロンドン イーヴニング ニュース(London Evening News)」紙上、「Who Killed Ackroyd?」というタイトルで、54話の連載小説として掲載され、その後、1冊の書籍として刊行された。



本作品では、キングスアボット村(King's Abbot)に住むジェイムズ・シェパード医師(Dr. James Sheppard)が「わたし」という語り手になって、事件を記録している。

同村のキングスパドック館(King's Paddock)に住むドロシー・フェラーズ夫人(Mrs. Dorothy Ferrars)は、裕福な未亡人で、村のもう一人の富豪であるロジャー・アクロイド(Roger Ackroyd)との再婚が噂されていたが、9月17日(金)の朝、亡くなっているのが発見された。

検死を実施した結果、「わたし」は睡眠薬の過剰摂取と判断したが、噂好きな姉のキャロライン・シェパード(Caroline Sheppard)は、夫人の死を自殺だと出張するのであった。何故ならば、同村では、ドロシー・フェラーズ夫人が、酒好きで、だらしのない夫アシュリー・フェラーズ(Ashley Ferrars)を殺害したという噂も流布していたからである。


外出した「わたし」は、偶然出会ったロジャー・アクロイドから「相談したいことがある。」と言われ、彼が住むフェルンリーパーク館(Fernly Park)での夕食に招待された。

その日の午後7時半に、彼の屋敷を訪ねた「わたし」は、(1)ロジャー・アクロイド、(2)彼の義理の妹で、未亡人のセシル・アクロイド夫人(Mrs. Cecil Ackroyd)、(3)セシル・アクロイド夫人の娘フローラ・アクロイド(Flora Ackroyd)、(4)ロジャー・アクロイドの旧友ヘクター・ブラント少佐(Major Hector Blunt)、そして、(5)ロジャー・アクロイドの秘書ジェフリー・レイモンド(Geoffrey Raymond)と食事をした際、その席上、フローラ・アクロイドが、ロジャー・アクロイドの養子ラルフ・ペイトン大尉(Captain Ralph Paton)との婚約を発表する。


食事の後、書斎へ移動した「わたし」は、ロジャー・アクロイドから悩みを打ち明けられる。

彼によると、昨日(9月16日)、再婚を考えていたドロシー・フェラーズ夫人から「夫のアシュリー・フェラーズを毒殺した。」と告白された、と言うのである。その上、彼女はそのことで正体不明の何者かに強請られていた、とのことだった。

ちょうどそこに、ドロシー・フェラーズ夫人からの手紙が届く。ロジャー・アクロイドは、その手紙を開封しようとしたが、彼女を強請っていた恐喝者の名前を知らせる内容が書かれているものと考えた彼は「落ち着いて、後で一人でゆっくりと読むつもりだ。」と告げると、「わたし」に帰宅を促すのであった。


徒歩での帰宅途中、「わたし」は見知らぬ男性にフェルンリーパーク館、即ち、ロジャー・アクロイド邸への道を尋ねられる。

「わたし」が自宅に戻ると、急に電話の音が鳴り響く。「わたし」が受話器をとると、それは、ロジャー・アクロイドの執事ジョン・パーカー(John Parker)だった。彼によると、ロジャー・アクロイドが部屋で亡くなっている、とのことだった。

「わたし」は、姉のキャロラインにそのことを知らせると、車に飛び乗り、ロジャー・アクロイド邸へと戻った。


ロジャー・アクロイド邸に着いた「わたし」を出迎えたジョン・パーカーに電話のことを尋ねると、彼は「そんな電話をした覚えはない。」と答えるのであった。

ロジャー・アクロイドのことが心配になった「わたし」が、ジョン・パーカーと一緒に、彼の部屋へ赴くと、彼は刺殺されていて、ドロシー・フェラーズ夫人から届いた手紙も消えていた。


フローラ・アクロイドの婚約者で、ロジャー・アクロイドの遺産を相続することになるラルフ・ペイトン大尉が姿を消したため、地元警察は、彼を有力な容疑者と考え、彼の行方を追う。

ラルフ・ペイトン大尉の身を案じたフローラ・アクロイドは、私立探偵業から隠退し、キングスアボット村の「わたし」の隣りに引っ越して、カボチャ栽培に精を出していたエルキュール・ポワロに、事件の真相解明を依頼するのであった。


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