2023年10月11日水曜日

アガサ・クリスティー作「ハロウィーンパーティー」<小説版(愛蔵版)>(Hallowe’en Party by Agatha Christie )- その2

2023年に英国の HarperCollinsPublishers 社から出版された
アガサ・クリスティー作「ハロウィーンパーティー」の
愛蔵版(ハードカバー版)の表紙
(Cover design by Sarah Foster / HarperCollinsPublishers Ltd.
Cover images by Shutterstock.com) -
裏表紙に印字されている
「You want beauty. Beauty at any price.
For me, it is truth I want. Always truth.」と言うセリフは、
造園師の美青年マイケル・ガーフィールドに対して、
エルキュール・ポワロが放った言葉である。


ロンドンから30ー40マイル程離れた町ウッドリーコモン(Woodleigh Common)の中心的な存在であるロウィーナ・ドレイク夫人(Mrs. Rowena Drake)「リンゴの木荘(Apple Trees House)」において、学校の生徒達のために、ハロウィーンパーティーを開催されたが、パーティーが終わった後、「以前、殺人を目撃したことがある。」と言っていた生徒の一人である13歳のジョイス・レイノルズ(Joyce Reynolds)が、ドレイク夫人宅の図書室において、リンゴが浮かぶブリキのバケツに頭を押し込まれて、溺死しているのが見つかった。

ウッドリーコモンに住む友人のジュディス・バトラー(Judith Butler)と一緒に、そのハロウィーンパーティーに参加していた女性推理作家のアリアドニ・オリヴァー夫人(Mrs. Ariadne Oliver)は、非常なショックを受け、パーティーが行われた日の翌日の晩、ロンドンのエルキュール・ポワロのフラットに電話をかけてきた後、慌ててやって来ると、ヒステリー気味に話を始めた。


オリヴァー夫人から話を聞いて、ハロウィーンパーティー前の発言のために、ジョイス・レイノルズが口封じされたものと考えたポワロは、早速、行動に移った。

ポワロは、古い友人であるバート・スペンス元警視(ex Superintendent Bart Spence)の元を訪れる。偶然にも、スペンス元警視は、引退後、夫を亡くした妹のエルスペス・マッケイ(Elspeth McKay)と一緒に、ジョイス・レイノルズが殺害された町ウッドリーコモンに住んでいたのである。


スペンス元警視の場合、ウッドリーコモンに住み始めて、それ程長くはないものの、彼の妹であるエルスペス・マッケイは、彼よりも長く、ウッドリーコモンに住んでいるので、ポワロは、2人の協力を得て、過去数年間にウッドリーコモン周辺で殺された人物、あるいは、殺害された可能性のある人物のリストを作成してもらい、一つ一つ捜査を進める。


(1)ルウェリン=スマイス夫人(Mrs. Llewellyn-Smythe):

富豪の未亡人である彼女(ロウィーナ・ドレイク夫人の夫が、彼女の甥に該る)が突然亡くなり、彼女の遺言書(codicil)により、彼女の屋敷で働いていたオルガ・セミノフ(Olga Seminoff - ヘルツェゴヴィナ(Herzegovina)出身 / 外国語の勉強を目的として、家事手伝いをしながら、外国の家庭に住まわせてもらう制度を利用していた女性(au pair girl))が彼女の遺産相続人として指定される。ところが、後に、その遺言書が偽造と判明し、オルガ・セミノフも失踪して、行方不明となる。


(2)レスリー・フェリアー(Leslie Ferrier):

ルウェリン=スマイス夫人の顧問弁護士であるジェレミー・フラートン(Jeremy Fullerton)が経営する法律事務所(Fullerrton, Harrison and Leadbetter)の事務員として働いていたが、ある夜、パブ(The Green Swan)からの帰り道、何者かに背中を刺されて死亡(当時28歳)。当時、彼は、パブの経営者の妻と不倫関係にある上に、他の女性との関係も噂されていた。


(3)シャーロット・ベンフィールド(Charlotte Benfield):

店員として働いていたが、採掘場(quarry)近くの森の小道において、頭部に複数の傷を負って、死亡しているのが発見される(当時16歳)。2人の男性が容疑者として疑われたものの、決定的な証拠が挙がらなかった。


(4)ジェネット・ホワイト(Janet White):

エルムズ学校(Elms school)の教師として働いていたが、学校から自宅への帰り道において、何者かに首を絞められて死亡。彼女と同居していた同じく教師のノーラ・アンブローズ(Nora Ambrose)によると、ジェネット・ホワイトは、1年程前に、交際していた男性と別れたが、その男性が、彼女に対して、しつこく脅迫の手紙を送ってくることに悩んでいた、とのこと。ただし、残念ながら、その男性が誰なのかについては、ハッキリしなかった。


果たして、この中に、ジョイス・レイノルズが目撃したと言う殺人事件が含まれているのだろうか?


2023年に英国の HarperCollinsPublishers 社から出版された
アガサ・クリスティー作「ハロウィーンパーティー」の
愛蔵版(ハードカバー版)の内扉(その2)

次に、ポワロは、エルムズ学校を訪ねて、ハロウィーンパーティーに参加していた教師であるエリザベス・ウィッテカー(Elizabeth Whittaker)に面会した。

エリザベス・ウィッテカーによると、パーティーの途中、廊下に出た際、階段の一番上に居たドレイク夫人が、手に抱えていた花瓶を突然落として割ってしまう現場を目撃した、とのこと。手に抱えていた花瓶を落として割ってしまった際、ドレイク夫人は、階段の上から図書室(ジョイス・レイノルズが殺害された部屋)の方へ視線を向けており、エリザベス・ウィッテカーとしては、「ドレイク夫人は、図書室を出入りした誰かを目撃したのではないか?」と答えた。残念ながら、エリザベス・ウィッテカーが居た場所から、図書室の方を見ることはできなかったのである。


ポワロが、ルウェリン=スマイス夫人が住んでいた屋敷の様子を見に出かけた際、造園師である美青年のマイケル・ガーフィールド(Michael Garfield)に出会う。彼は、亡くなる前のルウェリン=スマイス夫人からの依頼を受けて、彼女が所有していた元の採掘場(quarry)を非常に美しい庭園へと造園していた。


エリザベス・ウィッテカーの話に基づいて、ポワロは、ドレイク夫人に対して、「図書室を出入りした誰かを見たのか?」と尋ねるが、ドレイク夫人は、「何も見ていない。」と答えるのみであった。


その後、ジョイス・レイノルズの弟で、ここのところ、妙に金まわりがよくなったレオポルド・レイノルズ(Leopold Reynolds)が、小川において、溺死体で発見される。

レオポルド・レイノルズの溺死体を発見された後、ドレイク夫人がやって来て、ポワロに対して、突然、花瓶を落とした理由について、「図書室から出て来たレオポルド・レイノルズを見かけたからだ。」と告白するのであった。


果たして、ジョイス・レイノルズと彼女の弟であるレオポルド・レイノルズの2人を殺害した犯人は、一体、誰なのか?

また、これらの殺人は、過去に発生したルウェリン=スマイス夫人、レスリー・フェリアー、シャーロット・ベンフィールド、そして、ジェネット・ホワイトのうち、いずれの事件と関連しているのだろうか?


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