2023年8月1日火曜日

アガサ・クリスティー作「秘密機関」<グラフィックノベル版>(The Secret Adversary by Agatha Christie )- その1

HarperCollinsPublishers から出ている
アガサ・クリスティー作「秘密機関」の
グラフィックノベル版の表紙
(Cover Design and Illustration by Ms. Nina Tara)-
ドイツ軍が放った魚雷2発を受けて、沈没していく
ルシタニア号が描かれている。


20番目に紹介するアガサ・メアリー・クラリッサ・クリスティー(Agatha Mary Clarissa Christie:1890年ー1976年)による長編作品のグラフィックノベル版は、「秘密機関(The Secret Adversary)」(1922年)である。

本作品は、アガサ・クリスティーが執筆した長編としては、第2作目に該っている。


本作品のグラフィックノベル版は、元々、フランス人の作家であるフランソワ・リヴィエール(Francois Riviere:1949年ー)が構成を、そして、ベルギー出身のイラストレーターであるフランク・ルクレルク(Frank Leclercq:1967年ー)が作画を担当して、2003年にフランスの Heupe SARL から「Mister Brown」というタイトルで出版された後、2008年に英国の HarperCollinsPublishers から英訳版が発行されている。


HarperCollinsPublishers から出ている
アガサ・クリスティー作「秘密機関」の
グラフィックノベル版の裏表紙
(Cover Design and Illustration by Ms. Nina Tara)-
英国政治の中心地である国会議事堂が描かれている。

フランソワ・リヴィエールが構成を、そして、フランク・ルクレルクが作画を担当したアガサ・クリスティー作品のグラフィックノベル版としては、


(1)「Dix Petits Negres」(2002年):「そして誰もいなくなった(And Then There Were None → 2020年9月13日付ブログで紹介済)」(1939年)

(2)「La Nuit qui e finit pas」(2003年):「終わりなき夜に生れつく(Endless Night → 2020年10月18日付ブログで紹介済)」(1967年)


が、また、フランク・ルクレルクが作画を担当したアガサ・クリスティー作品のグラフィックノベル版としては、


(3)「Cartes sur table」(2009年):「ひらいたトランプ(Cards on the Table → 2020年9月20日付ブログで紹介済)」(1936年)


が出版されている。


ルシタニア号に乗船していた18歳の米国人であるジェーン・フィンは、
連合国側にとって非常に重要な機密書類を米国から英国へと運ぶ役目を担っていた男性から、
それらを託されると、救命ボートへと向かう。

1915年5月7日の午後2時、「ルシタニア号(Lusitania)」は、ドイツ軍の潜水艦が放った魚雷2発を受けて、急速に沈没へと向かっていた。

女性子供優先で、救命ボートに乗り込むのを待つ集団の中に、18歳の娘が居た。

ある男性(米国の諜報員)が彼女に近寄り、彼女が米国国民であることを確認すると、彼女に対して、「自分は、この戦争において、連合国側の運命を左右する非常に重要な機密書類を携えて、英国へと向かっている。自分に代わって、貴方にこれを持って行ってもらいたい。」と依頼した。その男性は、更に、「自分が生き延びることができた場合、タイムズ紙の個人広告欄で連絡をする。もし、タイムズ紙に広告が掲載されなかった場合には、貴方自身が、ロンドンにある米国大使館へと直接持参してほしい。」と説明する。

男性から機密書類を受け取った娘は、悲鳴と騒音が渦巻く中、救命ボートへと乗り込んで行く。彼女の名前は、ジェーン・フイン(Jane Finn)と言った。


第一次世界大戦後、タペンスこと、プルーデンス・カウリーと
トミーこと、トーマス・ベレズフォードの2人は、
ロンドンにおいて、5年ぶりに再開する。


物語の舞台は、英国のロンドンへと移る。

友人の間で「タペンス(Tuppence)」と言う愛称で通っているプルーデンス・カウリー(Prudence Cowley)が、昔馴染みのトーマス・ベレズフォード(Thomas Beresford - 愛称:トミー(Tommy))に、5年ぶりに再会した。

トミーは、大戦中に負傷して、除隊。一方、タペンスは、大戦中、ボランティアとして、ずーっと働いていたが、現在、2人共、戦後の就職難に悩まされていたのであった。


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