2023年7月30日日曜日

シェイクスピアの世界<ジグソーパズル>(The World of Shakespeare )- その20

ウィリアム・シェイクスピア 作「マクベス」に登場する3人の魔女は、
グラミスの領主で、
スコットランドの将軍であるマクベスに対して、
「コーダーの領主」、そして、「いずれ、王となるお方」と呼びかける一方、
同じく、スコットランドの将軍であるバンクォーに対しては、
「あなたは王にはなれないが、あなたの子孫が王になる。」と予言すると、姿を消すのであった。

英国の Laurence King Publishing Group Ltd. より、2020年に発売されたジグソーパズル「シェイクスピアの世界(The World of Shakespeare)」には、のイラスト内には、イングランドの劇作家 / 詩人であるウィリアム・シェイクスピア(William Shakespeare:1564年ー1616年 → 2023年5月19日付ブログで紹介済)や彼が生きた時代の人物、彼の劇が上演されたグローブ座、そして、彼が発表した史劇、悲劇や喜劇に登場するキャラクター等が散りばめられているので、前回に続き、順番に紹介していきたい。


今回紹介するのは、ウィリアム・シェイクスピア作の悲劇「マクベス(Macbeth)」(1606年)で、全5幕で構成されている。

「マクベス」は、実在したスコットランド王のマクベス(Macbeth 在位期間:1040年-1057年)をモデルにしていると考えられている。


「マクベス」は、「ハムレット(Hamlet)」(1600年ー1601年)、「オセロー(Othello)」(1603年ー1604年)、そして、「リア王(King Lear)」(1605年ー1606年)と並ぶウィリアム・シェイクスピアの四大悲劇の一つで、その中では最も短い作品である。


「マクベス」については、1611年4月にグローブ座(Globe Theatre → 2023年5月8日付ブログで紹介済)で上演されたのが、現存する最古の記録となっている。


<第1幕>

スコットランド軍は、反乱軍とノルウェー軍の連合軍を打ち破り、大勝利を挙げる。

スコットランドの将軍であるマクベス(Macbeth - グラミスの領主(Thane of Glamis))とバンクォー(Banquo)が、スコットランド国王ダンカン(Duncan)の陣営へと戻る途中、荒野において、3人の魔女(Three Witches)に出会う。魔女達は、マクベスに対して、「コーダーの領主(Thane of Cawdor)」、そして、「いずれ、王となるお方」と呼びかける一方、バンクォーに対しては、「あなたは王にはなれないが、あなたの子孫が王になる。」と予言すると、姿を消す。

すると、そこにダンカン国王の使者が到着して、武勲により、マクベスがコーダーの領主に任ぜられたことを伝えた。マクベスとバンクォーの2人は、魔女の予言通りになったことに驚く。そして、マクベスは、心の中で、王となると言う予言も現実となるのではないかと、秘かに希望を膨らませる。

陣営へと戻ったマクベスとバンクォーに対して、ダンカン国王は、2人の功績を讃えるが、自分の長男である王子マルカム(Malcolm)を王位継承者に定める。それを聞いたマクベスは、魔女達の予言の実現を危ぶみ、ある決意をするのであった。


<第2幕>

夫から魔女達の予言の話を聞いたマクベス夫人(Lady Macbeth)に唆されたマクベスは、ダンカン国王の暗殺を企てる。

マクベス夫人が、ダンカン国王の部屋付きの従者達に対して、薬を入れた酒を飲ませて、眠らせた後、マクベスが、ダンカン国王を短剣で殺害する。

翌朝、ダンカン国王の死体が発見されると、その混乱に乗じて、マクベスは、部屋付きの従者達を斬殺し、その口を封じた上で、彼らをダンカン国王の殺害犯だと報告した。

父王を殺されて、自分の命も危ういと恐れた長男のマルカム王子はイングランドへ、そして、次男のドナルベイン王子(Dobalbain)はアイルランドへと逃亡する。その結果、ダンカン国王を殺害した真の犯人の嫌疑が逃亡した2人の王子にふりかかることになり、マクベスが次のスコットランド国王に指名されるのであった。


<第3幕>

魔女達の予言通り、スコットランド国王の座に就いたマクベスであったが、魔女達がバンクォーに告げた予言が実現することを恐れ、バンクォーと彼の息子であるフリーアンス(Fleance)に対して、暗殺者を放った。バンクォーは暗殺できたものの、フリーアンスは取り逃がしてしまう。

貴族達との宴会の席において、その報告を聞いたマクベスは、ふと見ると、バンクォーの亡霊も宴会に列席していることに気付き、恐怖する。そして、夫を唆して、ダンカン国王を殺害させたマクベス夫人も、次第に不安に苛まれて行くのであった。


こうして、グラミスの領主で、将軍のマクベスが、妻と謀り、主君であるダンカン国王を暗殺して、王位に就いたものの、魔女達による予言の内容を恐れ、次第に錯乱して、暴君化する。

そして、最後は、マクベスは、イングランドへと亡命したために、妻子を殺害されたファイフの領主(Thane of Fife)であるマクダフ(Macduff)と父王を殺害されたマルカム王子による復讐劇により、命を失うのである。


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