2023年7月5日水曜日

シェイクスピアの世界<ジグソーパズル>(The World of Shakespeare )- その14

英国の Laurence King Publishing Group Ltd. より、2020年に発売されたジグソーパズル「シェイクスピアの世界(The World of Shakespeare)」には、のイラスト内には、イングランドの劇作家 / 詩人であるウィリアム・シェイクスピア(William Shakespeare:1564年ー1616年 → 2023年5月19日付ブログで紹介済)や彼が生きた時代の人物、彼の劇が上演されたグローブ座、そして、彼が発表した史劇、悲劇や喜劇に登場するキャラクター等が散りばめられているので、前回に続き、順番に紹介していきたい。


今回紹介するのは、ウィリアム・シェイクスピア作の戯曲「テンペスト(The Tempest)」(1610年ー1611年頃)である。

「テンペスト」は、ウィリアム・シェイクスピアが単独で執筆した最後の作品と言われており、1611年11月1日に宮廷で初演された。

なお、「テンペスト」とは、「嵐」を意味している。


テムズ河(River Thames)を遡る船の上に、
元ミラノ大公のプロスペロー(左側の人物)と
彼の娘のミランダ(右側の人物)が乗船している。

ミラノ大公(Duke of Milan)だったプロスペロー(Prospero)は、12年前に、邪悪な弟のアントーニオ(Antonio)により、その座を奪われて追放された後、娘のミランダ(Miranda)と一緒に、絶海の孤島に隠れ住んでいた。プロスペローは、孤島での長い生活の間に、魔法を習得して、妖精や悪鬼等を思いのままに操ることができるようになっていた。


ある日、ナポリ王(King of Naples)のアロンゾー(Alonso)とミラノ大公のアントーニオを乗せた船が、孤島の近くを通りかかった際、プロスペローは、彼の手下である妖精のエアリエル(Ariel)に命じて、魔法で大嵐を起こして、難破させた。そして、彼らを孤島へと漂着させて、復讐に着手しようとしたのである。

難破した船には、他に、ナポリ王の弟セバスチャン(Sebastian)、ナポリ王の息子ファーディナンド(Ferdinand)、そして、ナポリ王の顧問官ゴンザーロー(Gonzalo)等も、乗船していた。


父であるナポリ王の一行と離れ離れになった王子のファーディナンドは、ミランダに出会い、2人は一目で恋に落ちる。ファーディナンドは、ミランダの父であるプロスペローから課せられた試練を勝ち抜いて、彼女との結婚を許されることになる。


ロンドン橋(London Bridge)とロンドン塔(Tower of London)の間にあるテムズ河北岸の道を、
絶海の孤島に棲み、プロスペローに服従する
怪物のキャリバンが彷徨き廻っている。

一方、ミラノ大公の地位から更に上を目指すアントーニオは、ナポリ王の弟セバスチャンを唆して、ナポリ王のアロンゾーの殺害を計画していた。

更に、孤島に棲む怪物キャリバン(Caliban)は、プロスペローに服従していたが、叛旗を翻して、同じく孤島へ漂着したナポリ王の執事ステファーノ(Stephano)と道化師トリンキュロ(Trinculo)を自分の味方へとつけ、プロスペローを殺そうと考えていた

しかし、どちらの計画も、エアリエルによって、未然に防がれた。


プロスペローは、魔法によって、ナポリ王のアロンゾーとミラノ大公のアントーニオ達を錯乱状態へと一旦は陥れるが、更なる復讐を思い止まった。そして、アントーニオが過去の罪を悔い改めることを以って、プロスペローは、全てを水に流して、赦すことに決めた。

アントーニオ達と和解したプロスペローは、ナポリ王のアロンゾー達をナポリへと送り、そこで、ファーディナンドとミランダの結婚式を挙行するとともに、魔法の力を捨て去って、エアリエルを自由の身とするのであった。


「テンペスト」は、ウィリアム・シェイクスピアの戯曲の中でも、非常に人気がある作品で、2012年のロンドン・オリンピック閉会式において、物語の舞台となる魔法の島を模したセットが出てきたり、そこで戯曲の一部が朗読されたりした。


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