2023年7月26日水曜日

英国ロイヤルバレエ団初演「ロミオとジュリエット」(Romeo and Juliet performed by The Royal Ballet)- その2

ジュリエット役を踊る
スペイン出身のバレエダンサーであるタマラ・ロッホ
(Tamara Rojo:1974年ー)。
彼女は、2000年秋から2013年夏までの13年間、
英国ロイヤルバレエ団において、プリンシパル(Principal)を務めた後、
2012年8月に、イングリッシュナショナルバレエ団
(English National Ballet)の芸術監督兼リードプリンシパルに就任。
<撮影:Mr. Bill Cooper>
(ロイヤルオペラハウスにおいて行われた
英国ロイヤルバレエ団による演目「ロミオとジュリエット」のプログラム
(筆者が購入)から抜粋)


英国のバレエ振付家であるサー・ケネス・マクミラン(Sir Kenneth MacMillan:1929年ー1992年)は、1964年9月に、カナダのTV番組用に、ジュリエット・キャピュレット(Juliet Capulet)役に英国ロイヤルバレエ団(The Royal Ballet)のリン・シーモア(Lynn Seymour:1939年ー2023年 / カナダのバレエダンサー、振付家)を、そして、ロミオ・モンタギュー(Romeo Montague)役に同バレエ団のクリストファー・マイケル・ゲイブル(Christopher Michael Gable:1940年ー1998年 / 英国のバレエダンサー、振付家、俳優)を据えて、「ロミオとジュリエット(Romeo and Juliet)」のバルコニーシーンの振付を行なった。


当時、ソビエト連邦のバレエダンサー / 振付家であるレオニード・ラヴロフスキー(Leonid Lavrovsky:1905年ー1967年)版「ロミオとジュリエット」のロンドン公演について、ソビエト連邦の上演許可が出ず、同公演が断念されていた。

また、英国ロイヤルバレエ団は、予定されている米国公演において、「ロミオとジュリエット」を上演したいと考えていた。


ジュリエット役を踊る
フランス出身のバレエダンサーであるシルヴィー・ギエム
(Sylvie Guillem:1965年ー)。
彼女は、1981年にパリ・オペラ座バレエ団
(Ballet de l'Opera national de Paris)に入団した後、
1984年12月29日、初主演の「白鳥の湖(Le Lac des cygnes)」終演直後に、
19歳で最高位のエトワール(Etoile)に任命された。
1988年に
パリ・オペラ座バレエ団を電撃退団すると、
同年、英国ロイヤル・バレエ団へと移籍して、
同団のゲストプリンシパル(Guest Principal)として活躍した。
2015年末に、引退を表明。
<撮影:Ms. Leslie E. Spatt>
(ロイヤルオペラハウスにおいて行われた
英国ロイヤルバレエ団による演目「ロミオとジュリエット」のプログラム
(筆者が購入)から抜粋)

そこで、アイルランドのバレエダンサー / 振付家で、英国ロイヤルバレエ団の創設者であるディム・ニネット・ド・ヴァロワ(Dame Ninette de Valois:1898年ー2001年 / 本名:エドリス・スタナス(Edris Stannus))は、カナダのTV番組用振付の実績を考慮の上、ケネス・マクミランに対して、「ロミオとジュリエット」の全幕振付を依頼した。

当時、振付家で、1963年から1970年にかけて、英国ロイヤルバレエ団の芸術監督を務めていたサー・フレデリック・アシュトン(Sir Frederick Ashton:1904年ー1988年)の許可を得た後、ケネス・マクミランは、新たな「ロミオとジュリエット」を創作することになったのである。


ケネス・マクミランにとって、「ロミオとジュリエット」の全幕振付のために与えられた期間は、僅か5ヶ月だった。彼は、ジュリエット役のリン・シーモア / ロミオ役のクリストファー・マイケル・ゲイブルの2人と一緒に、新たな「ロミオとジュリエット」の構想を練り、同演目の制作を進めた。


そして、1965年2月9日に、ケネス・マクミラン版「ロミオとジュリエット」は、ロイヤルオペラハウス(Royal Opera House → 2015年8月29日付ブログで紹介済)において、英国ロイヤルバレエ団によって初演された。


ボウストリート(Bow Street)の南側から見たロイヤルオペラハウス
(筆者が撮影)


ケネス・マクミランは、ジュリエット役にリン・シーモアを、ロミオ役にクリストファー・マイケル・ゲイブルを据えて、振付を行なったにもかかわらず、興行上の理由から、初日(1965年2月9日)の主役は、ディム・マーゴ・フォンティン(Dame Margot Fonteyn:1919年ー1991年 / 英国のバレエダンサー)がジュリエット役に、そして、ルドルフ・ヌレエフ(Rudolf Nureyev:1938年ー1993年 / ソ連のバレエダンサー)がロミオ役に決まった。

マーゴ・フォンティンとルドルフ・ヌレエフの2人は、当時、英国ロイヤルバレエ団を代表するバレエダンサーであり、2人の名声を生かして、興行成績を上げることが、主な理由だったのである。


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