2022年11月11日金曜日

アガサ・クリスティー作「ゴルフ場殺人事件」<グラフィックノベル版>(The Murder on the Links by Agatha Christie )- その2

メルランヴィルにあるジュネヴィエーヴ壮に到着したポワロ達は、残念ながら、間に合わず、
出迎えた地元警察のリュシアン・ベー署長から、
「ポール・ルノーは、今朝、何者かに殺害された。」と告げられる。


1923年のある日、エルキュール・ポワロは、朝食の席で郵便物に目を通していた。名探偵としての彼の興味を引くものは皆無で、残念ながら、取るに足らない陳腐な依頼ばかりであったが、ある手紙に、ポワロは手をとめた。

それは、フランス、ノルマンディー海岸のメルランヴィル(Merlinville-sur-Mer)にあるジュネヴィエーヴ荘(Villa Genevieve)に住むポール・ルノー(Paul Renauld)からで、「急ぎのお越しを請う!」という内容だった。手紙によると、彼には、命の危険が迫っているようだったが、絶対に明らかにはできない重大な秘密があるため、フランスの地元警察へは行けず、「ベルギー警察に、その人あり。」と言われたポワロに対して、助けを求めてきたのである。


続いて、リュシアン・ベー署長は、ポワロ達に
オート予審判事を紹介する。


ポール・ルノーからの手紙に興味を覚えたポワロは、急いで出発の準備を整えると、友人で、かつ、相棒でもあるアーサー・ヘイスティングス大尉(Captain Arthur Hastings)を伴い、英仏海峡を渡り、英国(ドーヴァー(Dover))からフランス(カレー(Calais))へと向かった。


前の晩、二人組の暴漢が、ルノー夫妻の寝室に侵入して来て、
夫人のエロイーズを縛り上げた上に、猿轡をかませた。


翌日、ポワロとヘイスティングス大尉の二人は、メルランヴィルのジュヌヴィエーヴ荘に到着するが、別荘の門のところで、地元警察の巡査によって、行く手を遮られる。驚いたことに、ジュヌヴィエーヴ荘の主人で、南米で富を築いた富豪であるポール・ルノーは、今朝、既に殺害されていたのである。残念なことに、ポワロは間に合わなかったのだ。


続いて、二人組の暴漢は、夫のポールを
下着の上にコートを羽織っただけという格好で、無理やり戸外へと連れ出した。


ポール・ルノーの妻であるエロイーズ・ルノー(Eloise Renauld)によると、前の晩、二人組の暴漢が夫妻の寝室に侵入して来て、ルノー夫人は、縛り上げられた上に、猿轡(さるぐつわ)をかまされた。そして、彼女の夫(ポール・ルノー)は、下着の上にコートを羽織っただけという格好で、犯人達によって、無理やり戸外へと連れ出された、とのこと。

翌日の早朝、彼女の夫は、短剣で背中を刺されて、ジュネヴィエーヴ荘のすぐ隣りにあるゴルフ場予定地に掘られた墓穴に倒れているのを、ルノー家の使用人達が発見したのである。二人組の暴漢は、わざわざ、墓穴を掘りながらも、ポール・ルノーの死体を埋めずに、そのまま放置するという非常に不可解な行動をとっていた。


翌日の早朝、縛り上げられた上に、猿轡をかまされた夫人のエロイーズを、
ルノー家のメイドが見つけた。


間に合わなかったものの、英国からフランスまで遥々やって来たポワロは、自らの手で犯人達を見つけ出すことを誓った。幸いなことに、地元警察のリュシアン・ベー署長(Lucien Bex / Commissionary of Police for Merlinville-sur-Mer)は、彼の到着を歓迎してくれたので、早速、ポワロは捜査を開始する。

まもなく、オート予審判事(Monsieur Hautet / Examining Magistrate)による要請に基づき、パリ警察から名刑事としての呼び声が高いジロー刑事(Monsieur Giraud / Detective of the Paris Surete)が現場に派遣されることになり、ポワロとジロー刑事による推理合戦の火蓋が切って落とされることとなった。


同じく、翌日の早朝、夫のポールは、短剣で背中を刺されて、
ジュネヴィエーヴ荘のすぐ隣りにあるゴルフ場予定地に掘られた墓穴に倒れているのを、
ルノー家の使用人達が発見した。


グラフィックノベル版の場合、物語の冒頭、カレー行きの列車の中において、ヘイスティングス大尉が、巡業中の女優であるシンデレラ(Cinderella)と出会う場面から始まり、翌朝、(ロンドンへと戻った)ヘイスティングス大尉は、ポワロのフラットにおいて、ポワロと朝食を一緒にする場面へと繋がっていく。


ポール・ルノーを殺害した凶器である短剣を、
ポワロ達は、リュシアン・ベー署長から見せられる。


ポワロの好敵手となるパリ警察のジロー刑事が登場するのは、事件の概要が一通り語られた後の12ページ目からである。50ページ弱(正確には、46ページ)という制約上、どうしても、ポワロによる捜査、そして、ヘイスティングス大尉とシンデレラの恋愛模様がメインとならざるを得ず、12ページ目以降、ジロー刑事は何度か姿を見せはするものの、残念ながら、ポワロのライバルという役割を果たせていない。


ポワロ、ヘイスティングス大尉とリュシアン・ベー署長の3人が
ジュネヴィエーヴ荘の周囲を探索していると、
オート予審判事からの要請に基づいて、
パリ警察から派遣されたジロー刑事に出会う。


物語の終盤まで、アガサ・クリスティーの原作に沿って、丁寧に作画したため、かなりのページ数が前半と中盤に割かれた結果、物語のクライマックス、そして、ポワロから事件関係者に対する真相説明が、残り1ページ半に集中してしまい、もう少しページ数をここに割いてほしかったところが、心残りである。


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