2022年11月28日月曜日

アガサ・クリスティー マープル 2023年カレンダー(Agatha Christie - Marple - Calendar 2023)- 「動く指(The Moving Finger)」

ビル・ブラッグ氏が描く
ミス・マープルシリーズの長編第3作目「動く指」の一場面

アガサ・メアリー・クラリッサ・クリスティー(Agatha Mary Clarissa Christie:1890年ー1976年)の作品を出版している英国の Harper Collins Publishers 社から出ているミス・ジェーン・マープル(Miss Jane Marple)シリーズのペーパーバック版の表紙を使った2023年カレンダーのうち、3番目を紹介したい。


(3)「動く指(The Moving Finger)」


「動く指」は、1942年に発表されたミス・マープルシリーズの長編第3作目である。


戦時中の飛行機事故によって重傷を負ったジェリー・バートン(Jerry Burton)は、医者の勧めを受けて、妹のジョアナ(Joanna Burton)の介護の下、ロンドンからリムストック(Lymstock)へ静養にやって来て、丘の上の家を借りた。

それは、丘の上の家の静かな佇まいが二人の気に入ったこともあるが、二人とも、リムストックに来たのが初めてで、近所に知り合いが居ないことも、プラス要因だった。


ジェリーとジョアナの二人が丘の上の家に落ち着いて、まもなく、


(1)大家である老齢のエミリー・バートン(Miss Emily Barton)

(2)弁護士であるリチャード・シミントン(Mr. Richard Symmington)の妻のモナ・シミントン(Mrs. Mona Symmington)

(3)医師であるオーウェン・グリフィス(Dr. Owen Griffith)の妹のエメ・グリフィス(Aimee Griffith)

(4)牧師であるケイレブ・デイン・カルスロップ(Reverend Caleb Dane Calthrop)の妻のモード・デイン・カルスロップ(Mrs. Maud Dane Calthrop)

(5)修道院長の末裔であるパイ氏(Mr. Pye)


といった面々が、ジェリーとジョアナの二人の元を次々と訪れる。


彼らの訪問から1週間程が経った頃、ジェリーとジョアナの二人は、差出人不明の手

紙を受け取った。その手紙には、「ジェリーとジョアナは、本当の兄妹ではない。」

という内容が、下品な表現で書かれていた。所謂、誹謗中傷の手紙だった。

手紙の内容を読んだジョアナは、一旦は憤慨するものの、結局は面白がった。一方、

ジェリーは、馬鹿馬鹿しいと思い、手紙を暖炉にくべた。ジェリーは、表面上は、平

然とした風を装っていたが、内心は穏やかではなかった。

そこで、ジェリーは、オーウェン・グリフィス医師が往診に来た際、彼に匿名の手紙

ことを打ち明ける。ジェリーから話を聞いたグリフィス医師によると、リムストッ

ク内では、以前から住民を誹謗中傷する怪文書が出回っている、とのことだった。

グリフィス医師も、その怪文書の被害者だったし、シミントン弁護士も、その中に含

まれていた。


そして、匿名の怪文書は、新たなる悲劇を引き起こす。リムストックの住民達が恐れ

いたことが、遂に、手紙の受取人の自殺という形で、現実のものとなったのであ

る。

シミントン弁護士の妻であるモナが、服毒死を遂げたのだ。



カレンダーには、何者かが、誹謗中傷の怪文書を、リムストックの住民の家に投函す
る場面が描かれている。

Harper Collins Publishers 社から出版されている「動く指」のペーパーバック版の表紙には、ビル・ブラッグ氏(Mr. Bill Bragg)によるイラストが、家の玄関の鍵穴の形に切り取られているものが使用されている。


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