2022年8月7日日曜日

アーサー王伝説 - その2

前回に引き続き、英国のロイヤルメール(Royal Mail)が2021年3月16日に発行した「アーサー王伝説(The Legend of King Arthur)」をテーマにした10種類の記念切手のうち、後半の5種類について、紹介したい。


現在、アーサー王伝説として一般に知られているのは、15世紀後半に、ウェールズ人の騎士であるトマス・マロリー卿(Sir Thomas Malory:1399年-1471年)がまとめた「アーサー王の死(Le Morte d’Arthur)」と呼ばれるアーサー王(King Arthur)を中心とする騎士道物語群がベースとなっており、大きく分けると、4つの部分で構成されている。


・第1部: アンクサンドロス3世と「湖の乙女(Lady of the Lake)」の子孫であるアーサーが、ローマ皇帝を倒して、全ヨーロッパの王に即位するまでの物語

・第2部: アーサー王の居城であるキャメロット城(Castle Camelot)に集った円卓の騎士達の冒険とロマンスの物語

・第3部: 最後の晩餐で使用されたと言われている「聖杯(Holy Grail)」を、円卓の騎士達が探す物語

・第4部: 円卓の騎士の一人であるランスロット卿(Sir Lancelot)とアーサー王の妃であるグィネヴィア(Guinevere)による禁断の恋に端を発する内乱、円卓の騎士団の崩壊、アーサー王の死、そして、コンスタンティン3世(Constnatine III)への王位継承を描く物語



(6)「Knights of the Round Table」



魔法使いのマーリン(Merlin)による助けを得て、湖の中から聖剣エクスカリバー(Excalibur)を入手したアーサーは、キャメロット城を拠点として、巨人退治やローマ遠征等、様々な冒険を重ね、英国だけではなく、フランスやイタリア等を含む巨大な王国をまとめ上げる。そして、アーサー王が、グィネヴィアを王妃に迎えると、諸侯の騎士達を臣下とし、円卓に席を与えて、有名な円卓の騎士団を結成する場面が描かれている。


(7)「Sir Lancelot defeats the dragon」



ランスロット卿は、フランスの一地方を統治していたベンウィックのバン王(Ban de Benoic)の息子で、両親が共に早く他界したため、「湖の乙女」という妖精に育てられ、「湖の騎士(Lancelot du lac)」と呼ばれる。

その後、成人となったランスロット卿は、武者修行のため、ブリテン島へと渡り、そこでアーサーと出会い、円卓の騎士の一人となる。

槍、剣術、また、乗馬のどれをおいても、ランスロット卿の右に出る者は居らず、それに加えて、騎士としての行動や振る舞いも素晴らしかったため、「この世で最も誉れ高き最高の騎士」と呼ばれたが、後に、アーサー王の妃であるグィネヴィアとの不義密通に端を発する内乱や円卓の騎士団の崩壊を引き起こしてしまう。

記念切手では、ランスロット卿による竜退治場面が描かれている。なお、ランスロット卿が構える剣は、「アロンダイト(Aroundight)」と呼ばれる彼が愛用した剣だと思われる。ただし、厳密に言うと、竜退治で有名なのは、トリスタン(Tristan)ではないかと考える。


(8)「Sir Galahad and the Holy Grail」



ガラハッド卿(Sir Galahad)は、ランスロット卿とペレス王の娘であるエレインの子供で、円卓の騎士の一人である。

アーサー王が課す様々な試練を容易に達成して、「世界で最も偉大な騎士」と称され、円卓の騎士に加えられた。

その後、聖杯探索の任務を与えられ、聖杯を発見した3人の騎士の一人となった。

記念切手では、ガラハッド卿が聖杯を見つけた場面が描かれている。

なお、聖杯を発見した他の2人の騎士は、ガウェイン卿(Sir Gawain)とパーシヴァル卿(Sir Percival)である。


(9)「Arthur battles Mordred」



禁断の恋に陥ったランスロット卿とグィネヴィアを追討するため、アーサー王は国中に命令を出すものの、円卓の騎士達の半分近くが、人望のあるランスロット卿に付き、アーサー王の命令に従わなかったため、円卓の騎士達は、二つに分かれてしまった。

フランスへと渡ったランスロット卿とランスロット派の円卓の騎士達と戦うために、アーサー王はフランスへと出兵する。その際、アーサー王は、モルドレッド(Mordred - アーサー王の異父姉モルゴース(Morgause)の息子で、ガウェイン卿の異父弟 → 実際には、アーサー王とモルゴースの間の不義の子)を摂政に任命して、王国を任せた。

ところが、モルドレッドは、謀反を起こして、グィネヴィアをは自分の妃に迎えようとした。グィネヴィアは、これを拒絶して、ロンドン塔に籠城したため、モルドレッドは、軍を率いて、グィネヴィアが籠城するロンドン塔を取り囲んだ。

知らせを受けたアーサー王は、軍を率いて、ブリテン島へと戻り、カムランの戦い(Battle of Camlann)において、モルドレッドとの間で一騎打ちを行い、槍で突き刺して、モルドレッドを討ち取るが、アーサー王自身も深手を負ってしまう。

記念切手では、アーサー王が、槍でモルドレッドを突き刺す前の場面が描かれている。


(10)「The death of King Arthur」



モルドレッドによって深手を負わされたアーサー王は、円卓の騎士の一人であるベディヴィア卿(Sir Bedivere)に指示して、聖剣エクスカリバーを湖の水面から現れた手に返すと、小舟で去って行く場面が描かれている。

アーサー王は、ブリテン島にあるとされる伝説の島であるアヴァロン(Avalon)の島へ、傷を癒しに向かったのだと言われている。


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