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ヘイマーケット通りからパントンストリートを見たところ <筆者撮影> |
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東京創元社から創元推理文庫として出版された ジョン・ディクスン・カー作「アラビアンナイトの殺人」の表紙 (カバー:山田 維史) |
天下の奇書アラビアンナイトの構成にならって、スコットランドヤードのお歴々である(1)ヴァインストリート(Vine Street → 2025年9月19日付ブログで紹介済)署勤務のジョン・カラザーズ警部(Inspector John Carruthers - アイルランド人)、犯罪捜査部(CID)のデイヴィッド・ハドリー警視(Superintendent David Hadley / イングランド人)と(3)副総監であるハーバート・アームストロング卿(スコットランド人)が、三人三様の観察力と捜査法を駆使して、この事件を解説する。
彼らの話の聞き手は、南フランスで4ヶ月間の休暇を楽しんで、アデルフィテラス1番地(1 Adelphi Terrace → 2018年11月25日付ブログで紹介済)の自宅に戻ったばかりのギディオン・フェル博士(Dr. Gideon Fell)だった。
まず最初に、ヴァインストリート署勤務のジョン・カラザーズ警部による陳述が始まる。
私がホスキンズ(巡査部長)と出会ったのは、六月十四日金曜日の夜、十一時を十五分過ぎたときでした。(ヴァインストリート)署の仕事がたてこんでいましたので、私はそんなおそくでも居残っておりました。仕事がすんだわけではなかったのですが、腹ごしらえの必要がありましたので、私は一度、外へ出ました。パントン・ストリートのかどに出ている屋台店で、コーヒーとサンドイッチをとって、それからあらためて、もう一度仕事にとりかかる考えだったのです。
<宇野 利泰訳>
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ヘイマーケット通りの北側から南側を見たところ - 画面中央奥に見える横の通りが、パントンストリート。 <筆者撮影> |
ヴァインストリート署勤務のジョン・カラザーズ警部が、腹ごしらのために、コーヒーとサンドイッチをとっていた屋台店が出ていたパントンストリート(Panton Street)は、ロンドンの中心部であるシティー・オブ・ウェストミンスター区(City of Westminster)のメイフェア地区(Mayfair)内の東端にある通りである。
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「Nicholson - Super Scale - London Atlas」から ピカデリーサーカス周辺の地図を抜粋。 |
トラファルガースクエア(Trafalgar Square)から西へ向かう通りは、ヘイマーケット通り(Haymarket)とパル・マル通り(Pall Mall → 2016年4月30日付ブログで紹介済)の2つに分かれる。
ヘイマーケット通りは北上して、ピカデリーサーカス(Piccadilly Circus)へと至る。
一方、パル・マル通りは更に西進して、進行方向左手にセントジェイムズ宮殿(St. James’s Palace)が見えたところで、セントジェイムズストリート(St. James’s Street → 2021年7月24日付ブログで紹介済)とクリーヴランドロウの2つに分かれる。
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ヘイマーケット通りとパントンストリートが交差する南東の角に建つ建物 - ヴァインストリート署勤務のジョン・カラザーズ警部が、腹ごしらのために、 コーヒーとサンドイッチをとっていた屋台店は、この辺りで営業していたものと思われる。 <筆者撮影> |
パントンストリートの西側は、ヘイマーケット通りが北上して、ピカデリーサーカスへと至る途中から始まり、その東側は、シティー・オブ・ウェストミンスター区のストランド区(Strand)内にあるレスタースクエア(Leicster Square)に突き当たって、終わっている。つまり、パントンストリートは、レスタースクエアとヘイマーケット通りを東西に結ぶ通りである。
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パントンストリートの北側を見たところ <筆者撮影> |
レスタースクエア周辺には、映画館が、また、ハイマーケット通り周辺には、劇場が多く点在しているため、パントンストリート沿いには、飲食店が数多く営業している。現在、特に、韓国系のレストランやカフェが多い。
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パントンストリートの南側を見たところ - 画面右側から3番目の建物が、ハロルドピンター劇場である。 <筆者撮影> |
また、東西に延びるパントンストリートと南北に延びるオックスエンドンストリート(Oxendon Street)が交差する南西の角には、ハロルドピンター劇場(Harold Pinter Theatre - 2011年までは、コメディー劇場(Comedy Theatre)と呼ばれていた)が所在している。

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