2025年9月21日日曜日

ロンドン パントンストリート(Panton Street)

ヘイマーケット通りからパントンストリートを見たところ
<筆者撮影>

米国のペンシルヴェニア州(Pennsylvania)に出生して、英国人のクラリス・クルーヴス(Clarice Cleaves)との結婚後、1932年から1946年にかけて英国のブリストル(Bristol)に居を構えていた米国の推理作家で、「不可能犯罪の巨匠」とも呼ばれているジョン・ディクスン・カー(John Dickson Carr:1906年ー1977年)が1936年に発表した推理小説で、ギディオン・フェル博士(Dr. Gideon Fell)が登場するシリーズ第7作目に該る「アラビアンナイトの殺人(The Arabian Nights Murders → 2025年8月30日付ブログで紹介済)」の場合、クリーヴランドロウ(Cleveland Row → 2025年9月5日付ブログで紹介済)沿いに建つウェイド博物館(Wade Museum - 大富豪であるジェフリー・ウェイドが10年程前に開設した私立博物館で、中近東の陳列品(Oriental Art)を展示する他、初期の英国製馬車で、素晴らしい逸品も保存)が、殺人事件の舞台となる。


東京創元社から創元推理文庫として出版された
ジョン・ディクスン・カー作「アラビアンナイトの殺人」の表紙
(カバー:山田 維史)


天下の奇書アラビアンナイトの構成にならって、スコットランドヤードのお歴々である(1)ヴァインストリート(Vine Street → 2025年9月19日付ブログで紹介済)署勤務のジョン・カラザーズ警部(Inspector John Carruthers - アイルランド人)、犯罪捜査部(CID)のデイヴィッド・ハドリー警視(Superintendent David Hadley / イングランド人)と(3)副総監であるハーバート・アームストロング卿(スコットランド人)が、三人三様の観察力と捜査法を駆使して、この事件を解説する。

彼らの話の聞き手は、南フランスで4ヶ月間の休暇を楽しんで、アデルフィテラス1番地(1 Adelphi Terrace → 2018年11月25日付ブログで紹介済)の自宅に戻ったばかりのギディオン・フェル博士(Dr. Gideon Fell)だった。



まず最初に、ヴァインストリート署勤務のジョン・カラザーズ警部による陳述が始まる。


私がホスキンズ(巡査部長)と出会ったのは、六月十四日金曜日の夜、十一時を十五分過ぎたときでした。(ヴァインストリート)署の仕事がたてこんでいましたので、私はそんなおそくでも居残っておりました。仕事がすんだわけではなかったのですが、腹ごしらえの必要がありましたので、私は一度、外へ出ました。パントン・ストリートのかどに出ている屋台店で、コーヒーとサンドイッチをとって、それからあらためて、もう一度仕事にとりかかる考えだったのです。

<宇野 利泰訳>


ヘイマーケット通りの北側から南側を見たところ -
画面中央奥に見える横の通りが、パントンストリート。
<筆者撮影>


ヴァインストリート署勤務のジョン・カラザーズ警部が、腹ごしらのために、コーヒーとサンドイッチをとっていた屋台店が出ていたパントンストリート(Panton Street)は、ロンドンの中心部であるシティー・オブ・ウェストミンスター区(City of Westminster)のメイフェア地区(Mayfair)内の東端にある通りである。


「Nicholson - Super Scale - London Atlas」から
ピカデリーサーカス周辺の地図を抜粋。


トラファルガースクエア(Trafalgar Square)から西へ向かう通りは、ヘイマーケット通り(Haymarket)とパル・マル通り(Pall Mall → 2016年4月30日付ブログで紹介済)の2つに分かれる。

ヘイマーケット通りは北上して、ピカデリーサーカス(Piccadilly Circus)へと至る。

一方、パル・マル通りは更に西進して、進行方向左手にセントジェイムズ宮殿(St. James’s Palace)が見えたところで、セントジェイムズストリート(St. James’s Street → 2021年7月24日付ブログで紹介済)とクリーヴランドロウの2つに分かれる。



ヘイマーケット通りとパントンストリートが交差する南東の角に建つ建物 -
ヴァインストリート署勤務のジョン・カラザーズ警部が、腹ごしらのために、
コーヒーとサンドイッチをとっていた屋台店は、この辺りで営業していたものと思われる。
<筆者撮影>


パントンストリートの西側は、ヘイマーケット通りが北上して、ピカデリーサーカスへと至る途中から始まり、その東側は、シティー・オブ・ウェストミンスター区のストランド区(Strand)内にあるレスタースクエア(Leicster Square)に突き当たって、終わっている。つまり、パントンストリートは、レスタースクエアとヘイマーケット通りを東西に結ぶ通りである。


パントンストリートの北側を見たところ
<筆者撮影>


レスタースクエア周辺には、映画館が、また、ハイマーケット通り周辺には、劇場が多く点在しているため、パントンストリート沿いには、飲食店が数多く営業している。現在、特に、韓国系のレストランやカフェが多い。


パントンストリートの南側を見たところ -
画面右側から3番目の建物が、ハロルドピンター劇場である。
<筆者撮影>


また、東西に延びるパントンストリートと南北に延びるオックスエンドンストリート(Oxendon Street)が交差する南西の角には、ハロルドピンター劇場(Harold Pinter Theatre - 2011年までは、コメディー劇場(Comedy Theatre)と呼ばれていた)が所在している。


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