2025年3月24日月曜日

アガサ・クリスティー作「エッジウェア卿の死」<英国 TV ドラマ版>(Lord Edgware Dies by Agatha Christie )- その1

第47話「エッジウェア卿の死」が収録された
エルキュール・ポワロシリーズの DVD コレクション No. 5 の表紙

アガサ・メアリー・クラリッサ・クリスティー(Agatha Mary Clarissa Christie:1890年ー1976年)作「エッジウェア卿の死(Lord Edgware Dies)」(1933年)の TV ドラマ版が、英国の TV 会社 ITV 社による制作の下、「Agatha Christie’s Poirot」の第47話(第7シリーズ)として、2000年1月19日に放映されている。英国の俳優であるサー・デヴィッド・スーシェ(Sir David Suchet:1946年ー)が、名探偵エルキュール・ポワロを演じている。ちなみに、日本における最初の放映日は、2000年12月31日である。


英国 TV ドラマ版における主な登場人物(エルキュール・ポワロを除く)と出演者は、以下の通り。


(1)アーサー・ヘイスティングス大尉(Captain Arthur Hastings):Hugh Fraser

(2)ジャップ主任警部(Chief Inspector Japp):Philip Jackson

(3)ミス・フェリシティー・レモン(Miss Felicity Lemon):Pauline Moran


(4)ジェーン・ウィルキンスン(Jane Wilkinson - 舞台女優 / エッジウェア卿の2番目の妻):Helen Grace

(5)エッジウェア卿(Lord Edgware - 第4代エッジウェア男爵ジョージ・アルフレッド・セント・ヴィンセント・マーシュ(George Alfred St. Vincent Marsh, 4th Baron Edgware)/ 美術品のコレクター):John Castle

(6)カーロッタ・アダムズ(Carlotta Adams - 女芸人 / 人物模写が得意):Fiona Allen

(7)ブライアン・マーティン(Bryan Martin - 映画俳優 / エッジウェア卿との間が険悪になったジェーン・ウィルキンスンと一時期恋愛関係にあった):Dominic Guard

(8)ペニー・ドライヴァー(Penny Driver - カーロッタ・アダムズの友人 / 帽子屋を営む):Deborah Cornelius

(9)ジェラルディン・マーシュ(Geraldine Marsh - エッジウェア卿の先妻の娘):Hannah Yelland

(10)ロナルド・マーシュ(Ronald Marsh - エッジウェア卿の甥):Tim Steed

(11)ミス・キャロル(Miss Carroll - エッジウェア卿の秘書):Lesley Nightingale

(12)アルトン(Alton - エッジウェア卿の執事):Christopher Guard

(13)ドナルド・ロス(Donald Ross - ジェーン・ウィルキンスンが出席した晩餐会に同席した若い俳優)

(14)マートン公爵(Duke of Merton - ジェーン・ウィルキンスンとの結婚を考えている若き貴族):Tom Beared

(15)サー・モンタギュー・コーナー(Sir Montague Corner - ジェーン・ウィルキンスンが出席した晩餐会を開催 / ホルボーン地区(Holbron)に在住):John Quentin

(16)レディー・エレノア・コーナー(Lady Eleanor Corner - サー・モンタギュー・コーナーの妻):Janet Hargreaves

(17)ルシー・アダムズ(Lucie Adams - カーロッタ・アダムズの妹):Aliza James

(18)エリス(Ellis - ジェーン・ウィルキンスンのメイド):Fenella Woolgar


アガサ・クリスティーの原作に比べると、英国 TV ドラマ版における登場人物には、以下の違いが見受けられる。


(2)

<原作> アーサー・ヘイスティングス大尉は、アルゼンチンから英国へ一時帰国している形になっている。

<英国 TV 版> アーサー・ヘイスティングス大尉は、アルゼンチンにおいて、Pampas de Fernandez Consolidated Railway に全額を投資したが、鉄道の施設がうまく行かず、投資が失敗し、全額を失う。牧場を売却するため、彼の妻は現地にまだ残っている。ヘイスティングス大尉は、英国へ戻る計画で、住居を探すために、先に帰国し、現在、ピカデリーパレスホテル(Piccadilly Palace Hotel)に宿泊中。


(3)

<原作> ジャップはまだ警部(Inspector)で、主任警部には昇進していない。

<英国 TV 版> シリーズ当初から、ジャップは主任警部。


(4)

<原作> ミス・フェリシティー・レモンは登場しない。

<英国 TV 版> ミス・レモンは、主に、物語の序盤と終盤に登場。


(8)

<原作> 名前は、ジュヌヴィエーヴ・ドライヴァー(Genevieve Driver / 愛称:ジェニー(Jenny))となっている。

<英国 TV 版> 名前が、ペニー・ドライヴァーへ変更されている。


(10)

<原作> エッジウェア卿の甥ロナルド・マーシュは、大尉(Captain)と言う設定になっている。

<英国 TV 版> ロナルド・マーシュは、劇場のプロデューサー(theatrical producer)と言う設定に変更されている。


(12)

<原作> エッジウェア卿の執事であるアルトンは、物語上、特に重要な役割を果たしていない。

<英国 TV 版> アルトンは、エッジウェア卿がフランスで美術品を買い付けるために金庫に保管していたフランスフランの大金を盗んで、国外への逃亡を計画して、飛行場において、ジャップ主任警部をはじめとするスコットランドヤードとの間で、捕り物劇を演じる。


(15)・(16)

<原作> サー・モンタギュー・コーナーは、テムズ河(River Thames)畔のチジック地区(Chiswick → 2016年7月23日付ブログで紹介済)内に邸宅を所有しており、エッジウェア卿が殺害された夜、そこで盛大な晩餐会を開催し、ジェーン・ウィルキンスンも出席。


筆者がチジックハウス(Chiswick House)で購入した
イングリッシュヘリテージ(English Heritage)のガイドブック


<英国 TV 版> サー・モンタギュー・コーナーは、チジック地区ではなく、ロンドン市内のホルボーン地区に邸宅を所有しており、エッジウェア卿が殺害された夜、そこで盛大な晩餐会を開催し、ジェーン・ウィルキンスンも出席。物語では、「ホルボーン地区からエッジウェア卿の邸宅があるリージェントゲート(Regent Gate → 2025年3月23日付ブログで紹介済)までは、タクシーで5分程度の距離。」と語られている。


リージェンツパーク(Regent’s Park → 2016年11月19日付ブログで紹介済)内に設置されている
リージェンツパークの俯瞰地図


(17)

<原作> カーロッタ・アダムズの妹であるルシー・アダムズは、パリ在住であり、ポワロとのやりとりも、手紙を介してである。姉のカーロッタ・アダムズから受け取った手紙についても、ポワロ宛に郵送している。従って、ルシー・アダムズ本人が、英国へやって来ることはない。

<英国 TV 版> ルシー・アダムズは、英国へやって来て、姉のカーロッタ・アダムズのフラットやカーロッタ・アダムズの友人であるペニー・ドライヴァーが営む帽子店を訪ねている。そして、ペニー・ドライヴァーの帽子店において、姉のカーロッタ・アダムズから受け取った手紙を、ポワロに直接渡している。


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