アガサ・メアリー・クラリッサ・クリスティー(Agatha Mary Clarissa Christie:1890年ー1976年)が1932年に発表したエルキュール・ポワロシリーズの長編「エッジウェア卿の死」(Lord Edgware Dies - 米国版タイトル:「Thirteen at Dinner(晩餐会の13人)」)」は、エルキュール・ポワロとアルゼンチンから一時帰国したアーサー・ヘイスティングス大尉(Captain Arthur Hastings)の2人が、米国からロンドン/パリ公演ツアーに来ている女芸人カーロッタ・アダムズ(Carlotta Adams)の舞台を観たところから、その物語が始まる。
リージェンツパーク内に設置されている リージェンツパークの俯瞰地図 |
なお、「エッジウェア卿の死」は、アガサ・クリスティーが執筆した長編としては、第13作目に該り、エルキュール・ポワロシリーズの長編のうち、第7作目に該っている。
リージェンツパークの東側にあり、 リージェンツパークを周回するアウターサークル沿いに建つ高級フラット群(その1) |
背景や衣装等を必要としない女芸人カーロッタ・アダムズの「人物模写演技」は完璧で、一瞬で顔つきや声音等を変えて、その人自身になりきるのであった。第4代エッジウェア男爵ジョージ・アルフレッド・セント・ヴィンセント・マーシュ(George Alfred St. Vincent Marsh, 4th Baron Edgware)/ エッジウェア卿(Lord Edgware)と結婚している米国出身の舞台女優ジェーン・ウィルキンスン(Jane Wilkinson)の物真似に関しても見事の一言で、ポワロは深く感銘を受ける。
リージェンツパークの東側にあり、 リージェンツパークを周回するアウターサークル沿いに建つ高級フラット群(その2) |
その夜、ポワロの元をジェーン・ウィルキンスン本人が訪れる。
彼女から「離婚話に応じない夫を説得してもらいたい。」という依頼を受けたポワロが、翌日、リージェントゲート(Regent Gate)にあるエッジウェア卿の邸を訪問したところ、彼は「6ヶ月も前に、離婚に同意する旨を彼女宛に手紙で既に伝えた。」と答えるのであった。話のくい違いに納得がいかないポワロであったが、そのまま帰宅せざるを得なかった。
チェスターゲート通り(Chester Gate)から リージェンツパークを周回するアウターサークルを見たところ |
米国出身の舞台女優ジェーン・ウィルキンスンと結婚したエッジウェア卿こと、第4代エッジウェア男爵ジョージ・アルフレッド・セント・ヴィンセント・マーシュの邸宅は、リージェンツパーク(Regent’s Park → 2016年11月19日付ブログで紹介済)の近くにあると推測される。
エッジウェア卿こと、 第4代エッジウェア男爵ジョージ・アルフレッド・セント・ヴィンセント・マーシュの邸宅とも見間違う ハノーヴァーテラス(Hanover Terrace)の外壁(その1) - リージェンツパークの西側にあり、 リージェンツパークを周回するアウターサークル(Outer Circle)沿いに建っている。 |
現在の住所表記上、リージェンツパークの周辺には、北東部分から北西部分へと向かって、時計回りに、
(1)グロースターゲート(Gloucester Gate)
(2)カンバーランドゲート(Cumberland Gate)
(3)チェスターゲート(Chester Gate)
(4)ケンブリッジゲート(Cambridge Gate)
(5)ヨークゲート(York Gate)
(6)クラレンスゲート(Clarence Gate)
(7)ハノーヴァーゲート(Hanover Gate)
等、リージェンツパークへの入口は存在するものの、残念ながら、エッジウェア卿が住むリージェントゲートは存在していない。
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ハノーヴァーテラスの外壁(その2) |
「エッジウェア卿の死」において殺害されるエッジウェア卿が住む場所として、実在の場所を使用した場合、実際にその場所に住む貴族が居たとしたら、いろいろとあらぬ誤解を生じる関係上、意図的に架空の住所を使用したものと考えられる。

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