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第4話「二十四羽の黒つぐみ」が収録された エルキュール・ポワロシリーズの DVD コレクション No. 1 の DVD ケースの表紙(その2) |
英国の TV 会社 ITV 社による制作の下、「Agatha Christie’s Poirot」の第4話(第1シリーズ)として、1989年1月29日に放映されたアガサ・メアリー・クラリッサ・クリスティー(Agatha Mary Clarissa Christie:1890年ー1976年)作「二十四羽の黒つぐみ(Four-and-Twenty Blackbirds)」(1940年)の TV ドラマ版の場合、原作対比、以下のような差異が見受けられる。
(17)
<英国 TV ドラマ版>
エルキュール・ポワロは、相棒のアーサー・ヘイスティングス大尉(Captain Arthur Hastings)を伴い、階段から転落して亡くなった画家のヘンリー・ガスコイン(Henry Gascoigne)が招待されていたファリンドンギャラリー(Farringdon Gallery)へと赴き、そこでヘンリー・ガスコインのエージェントだったピーター・メイキンスン(Peter Makinson)に会う。
<原作>
このような場面はない。
ロンドン大学(University of London → 2016年8月6日付ブログで紹介済)の セナトハウス(Senate House → 2017年1月15日付ブログで紹介済)の内部が、 ファリンドンギャラリーとして、撮影に使用されている。 |
(18)
<英国 TV ドラマ版>
双子のアンソニー・ガスコイン(Anthony Gascoigne)とヘンリー・ガスコインの不仲について、ヘンリー・ガスコインのエージェントだったピーター・メイキンスンが語る。
また、2人の不仲は、ヘンリー・ガスコインが、アンソニー・ガスコインの妻シャーロット(Charlotte)の裸婦像を描いたことが原因で、夫のアンソニー・ガスコインとしては、自分の妻の裸婦像が公に展示されることを良しとしなかったため、ヘンリー・ガスコインは、彼のエージェントのピーター・メイキンスンに対して、問題の裸婦像を預けていた。
<原作>
双子のアンソニー・ガスコインとヘンリー・ガスコインの不仲に関しては、キングスロード(King’s Road → 2025年3月8日 / 3月10日付ブログで紹介済)から外れた場所で外科医院を開業しており、ヘンリー・ガスコインの検死も行ったマックアンドリュー医師(Dr. MacAndrew)が語っている。
また、2人の不仲は、裕福な女性と結婚したアンソニー・ガスコインが画家を辞めたため、同じく画家だったヘンリー・ガスコインが腹をたて、喧嘩になったことが原因で、これも、マックアンドリュー医師がポワロに対して話している。
(19)
<英国 TV ドラマ版>
ポワロとヘイスティングス大尉の2人は、美術学校を訪れ、画家ヘンリー・ガスコインのモデルだったダルシー・ラング(Dulcie Lang)から再度話を聞く。
<原作>
このような場面はない。
ユニヴァーシティー・カレッジ・ロンドン(University College London / UCL → 2015年8月16日付ブログで紹介済)の入口から見た 主要校舎であるウィルキンスビル(Wilkins Building)が、 美術学校として、撮影に使用されている。 |
(20)
<英国 TV ドラマ版>
ポワロとヘイスティングス大尉の2人は、ベスナルグリーン地区(Bethnal Green → 2024年9月19日付ブログで紹介済)にあるカールトン劇場(Carlton Theatre)の支配人であるジョージ・ロリマー(George Lorrimer)の元を訪ねるが、生憎と、彼は不在。
ジョージ・ロリマーのアシスタントであるハリー・クラーク(Harry Clarke)から、「彼(ジョージ・ロリマー)は、叔父の葬儀のため、ブライトン(Brighton)へ出かけている。」と告げられる。ポワロとヘイスティングス大尉の2人は、「叔父」を「ヘンリー・ガスコイン」のことだと勘違いするが、ハリー・クラークは、「双子の兄であるアンソニー・ガスコインのことだ。」と訂正。
<原作>
ジョージ・ロリマーは、ウィンブルドン(Wimbledon)に住む医師と言う設定になっているので、ハリー・クラークなる人物は、登場しない。
また、物語の早い段階で、ポワロは、マックアンドリュー医師から「アンソニー・ガスコインとヘンリー・ガスコインは、双子の兄弟であること / 彼ら2人が同じ日(11月3日(木))に亡くなっていること / ジョージ・ロリマーが、彼らの甥であること」を既に聞いている。
(21)
<英国 TV ドラマ版>
ハリー・クラークからの話を聞いたポワロとヘイスティングス大尉の2人は、ブライトンへと向かい、アンソニー・ガスコインの葬儀に立ち会う。そして、そこで2人はジョージ・ロリマーに会う。
ポワロは、当初、アンソニー・ガスコインの家政婦だったヒル夫人(Mrs. Hill)を、ガスコイン夫人だと誤解するが、ジョージ・ロリマーは、「ガスコイン夫人(シャーロット)は、10年前に亡くなった。」と訂正。
<原作>
ポワロは、アンソニー・ガスコインの葬儀に立ち会っていない。
ポワロがジョージ・ロリマーに会うのは、物語の中盤ではなく、物語の終盤。場所も、ブライトンではなく、ウィンブルドンにあるジョージ・ロリマー邸。
更に、物語の早い段階で、ポワロは、マックアンドリュー医師から「アンソニー・ガスコインの妻は、数年前に亡くなっている。」と既に聞いている。
(22)
<英国 TV ドラマ版>
ヒル夫人と面会したポワロは、彼女から「アンソニー・ガスコインは、6月15日(金)の午後1時に亡くなった。」と告げられる。
<原作>
マックアンドリュー医師と面会したポワロは、彼から「アンソニー・ガスコインは、11月3日(木)の午後3時に亡くなった。」と告げられている。
(23)
<英国 TV ドラマ版>
ポワロとヘイスティングス大尉の2人は、「Bishop’s Chop House」(原作では、「ギャラント エンデヴァー(Gallant Endeavour)」の近くにある公衆トイレを清掃する男性から、ヘンリー・ガスコインを殺害した犯人が着ていた帽子、スカーフやコート等を押収する。
<原作>
このような場面はない。
(24)
<英国 TV ドラマ版>
ホワイトヘイヴンマンションズ(Whitehaven Mansions)において、ポワロは、ヘイスティングス大尉から、
*画家ヘンリー・ガスコインのモデルだったダルシー・ラングは、事件当日の6月16日(土)午後1時から午後5時まで、美術学校でモデルを務めていた。
*画家ヘンリー・ガスコインのエージェントだったピーター・メイキンスンは、事件当日の6月16日(土)、パリへ出張中。
と報告を受ける。
<原作>
ダルシー・ラングとピーター・メイキンスンは登場しないので、このような場面はない。
チャーターハウス スクエア6-9番地 フローリンコート (Florin Court, 6-9 Charterhouse Square → 2014年6月29日付ブログで紹介済)が、 ホワイトヘイヴンマンションズとして、撮影に使用されている。 |
(25)
<英国 TV ドラマ版>
ベスナルグリーン地区にあるカールトン劇場において、ポワロは、支配人のジョージ・ロリマーをヘンリー・ガスコインの殺害犯として指摘する。その際、詳しい推理の内容も述べている。
逃げようとしたジョージ・ロリマーは、スコットランドヤードのジャップ主任警部(Chief Inspector Japp)と警官達によって逮捕される。
<原作>
ポワロは、単身、ウィンブルドンのジョージ・ロリマー邸を訪れて、ジョージ・ロリマーをヘンリー・ガスコインの殺害犯として指摘する。
(26)
<英国 TV ドラマ版>
「Bishop’s Chop House」において、ポワロ、ヘイスティングス大尉、ジャップ主任警部と歯科医のボニントン(Bonnington)の4人が食事をする場面を以って、物語は終わりを迎える。
ボールコート(Ball Court)内に建つ シンプソンズ タヴァーン(Simpson's Tavern → 2017年2月5日付ブログで紹介済)が、 「Bishop’s Chop House」として、撮影に使用されている。 |
<原作>
「ギャラント エンデヴァー」において、ポワロと友人のヘンリー・ボニントン(Henry Bonnington)の2人が食事をする際、ポワロは、ヘンリー・ボニントンに対して、事件の詳しい解説を行っている。
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