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第4話「二十四羽の黒つぐみ」が収録された エルキュール・ポワロシリーズの DVD コレクション No. 1 の裏表紙 |
英国の TV 会社 ITV 社による制作の下、「Agatha Christie’s Poirot」の第4話(第1シリーズ)として、1989年1月29日に放映されたアガサ・メアリー・クラリッサ・クリスティー(Agatha Mary Clarissa Christie:1890年ー1976年)作「二十四羽の黒つぐみ(Four-and-Twenty Blackbirds)」(1940年)の TV ドラマ版の場合、原作対比、以下のような差異が見受けられる。
(1)
<原作>
ある夜、エルキュール・ポワロが、チェルシー地区(Chelsea)内のキングスロード(King’s Road → 2025年3月8日 / 3月10日付ブログで紹介済)沿いにあるレストラン「ギャラント エンデヴァー(Gallant Endeavour)」において、友人のヘンリー・ボニントン(Henry Bonnington)と食事をしている場面から、物語が始まる。
<英国 TV ドラマ版>
海岸近くに建つ屋敷 / フラットの室内において、双子の兄であるアンソニー・ガスコイン(Anthony Gascoigne)が危篤状態である場面から、物語が始まる。
アンソニーを診察した医師から、アンソニー・ガスコインが危篤状態であることを告げられた家政婦のヒル夫人(Mrs. Hill)が、アンソニー・ガスコインの甥であるジョージ・ロリマー(George Lorrimer)に電話をする。
(2)
<原作>
アンソニー・ガスコインは、キングストンヒル(Kingston Hill - ロンドンの特別区の一つであるキングストン・アポン・テムズ王立区(Royal Borough of Kingston upon Thames)内に所在)に住んでいる。
<英国 TV ドラマ版>
アンソニー・ガスコインは、ブライトン(Brighton - 英国南岸の保養地)に住んでいる。
(3)
<原作>
ジョージ・ロリマーは、ウィンブルドン(Wimbledon)に住む医師と言う設定になっている。
<英国 TV ドラマ版>
ジョージ・ロリマーがどこに住んでいるのかは不明。また、彼は、ベスナルグリーン地区(Bethnal Green → 2024年9月19日付ブログで紹介済)にあるカールトン劇場(Carlton Theatre)の支配人と言う設定に変更されている。
(4)
<原作>
アーサー・ヘイスティングス大尉(Captain Arthur Hastings)とミス・フェリシティー・レモン(Miss Felicity Lemon)の2人は、登場しない。
<英国 TV ドラマ版>
ヘイスティングス大尉とミス・レモンに見送られて、エルキュール・ポワロは、友人のボニントンとの食事へ出かける。
(5)
<原作>
エルキュール・ポワロの友人のフルネームは、ヘンリー・ボニントンで、職業は不明。
<英国 TV ドラマ版>
双子の弟であるヘンリー・ガスコイン(Henry Gascoigne)が登場する関係上、物語上、ボニントンのファーストネームについては、言及されていない。また、ボニントンは、ポワロが通う歯医者と言う設定になっている。
(6)
<原作>
エルキュール・ポワロとヘンリー・ボニントンの2人が食事をするレストランの名前は、「ギャラント エンデヴァー」で、キングスロード 沿いにある。
<英国 TV ドラマ版>
ポワロとボニントンの2人が食事をするレストランの名前は、「Bishop’s Chop House」へと変更されている。また、「Bishop’s Chop House」がどこに所在しているかについては、言及されていない。物語の映像的には、ファリンドン駅(Farrington Station)の近くだと思われる。
ボールコート(Ball Court)内に建つ シンプソンズ タヴァーン(Simpson's Tavern → 2017年2月5日付ブログで紹介済)が、 「Bishop’s Chop House」として、撮影に使用されている。 |
(7)
<原作>
「ギャラント エンデヴァー」のウェイトレスであるモリー(Molly)は、エルキュール・ポワロとヘンリー・ボニントンの2人に対して、
*常連客である髭の老人の話をする(ただし、この時点で、彼がヘンリー・ガスコインであることは判っていない)。
*髭の老人が「ギャラント エンデヴァー」を訪れるのは、毎週火曜日と木曜日。
と話す。
また、髭の老人が、いつもとは違う先週の月曜日の晩には、トマトのポタージュスープ(thick tomato soup)、ビーフステーキ(beefsteak)、キドニープディング(kidney pudding)、更に、黒イチゴのタルト(blackberry tart)を注文した情報については、モリーがポワロとボニントンの2人に告げた訳ではなく、後日、ポワロが「ギャラント エンデヴァー」を訪れた際、モリーとは別のウェイトレス(モリーは休暇中)から得ている。
更に、モリーは、ポワロとヘンリー・ボニントンの2人に対して、髭の老人が今回何を注文したかに関しては、報告していない。
<英国 TV ドラマ版>
「Bishop’s Chop House」のウェイトレスであるモリー(Molly)は、ポワロとボニントンの2人に対して、
*常連客である髭の老人の話をした際、彼が画家のヘンリー・ガスコインであることを既に判っている。
*髭の老人が「Bishop’s Chop House」を訪れるのは、毎週水曜日と土曜日。
*いつもとは違う先週の月曜日の晩には、トマトのポタージュスープ、ステーキ(steak)、キドニープディング、更に、黒イチゴのクランブル(blackberry crumble)を注文。
と話す。
更に、モリーは、ポワロとボニントンの2人に対して、「ヘンリー・ガスコインは、今日も、ステーキ、キドニープディングと黒イチゴのクランブルを注文した。」と報告している。
(8)
<原作>
3週間後、地下鉄でヘンリー・ボニントンと再会したエルキュール・ポワロは、ヘンリー・ボニントンから「例の髭の老人が、1週間、レストランに姿を見せていない。」と告げられる。
興味を覚えたポワロは、チュルシー地区内で最近亡くなった人のリストの中から、髭の老人に該当する人物として、ヘンリー・ガスコインを見つけ出す。
<英国 TV ドラマ版>
ポワロは、ヘンリー・ボニントンの歯科医院において、歯の治療中に、ヘンリー・ボニントンから、ヘンリー・ガスコインが亡くなったことを告げられる。

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