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第4話「二十四羽の黒つぐみ」が収録された エルキュール・ポワロシリーズの DVD コレクション No. 1 の DVD ケースの表紙(その1) |
英国の TV 会社 ITV 社による制作の下、「Agatha Christie’s Poirot」の第4話(第1シリーズ)として、1989年1月29日に放映されたアガサ・メアリー・クラリッサ・クリスティー(Agatha Mary Clarissa Christie:1890年ー1976年)作「二十四羽の黒つぐみ(Four-and-Twenty Blackbirds)」(1940年)の TV ドラマ版の場合、原作対比、以下のような差異が見受けられる。
(9)
地下鉄で友人のヘンリー・ボニントン(Henry Bonnington)と再会したエルキュール・ポワロは、ヘンリー・ボニントンから「レストラン「ギャラント エンデヴァー(Gallant Endeavour)」で見かけた髭の老人が、1週間、レストランに姿を見せていない。」と告げられる。
興味を覚えたポワロは、チュルシー地区内で最近亡くなった人のリストの中から、髭の老人に該当する人物として、ヘンリー・ガスコイン(Henry Gascoigne)を見つけ出す。
そこで、ポワロは、キングスロード(King’s Road → 2025年3月8日 / 3月10日付ブログで紹介済)から外れた場所で外科医院を開業しており、ヘンリー・ガスコインの検死も行ったマックアンドリュー医師(Dr. MacAndrew)の元を訪れて、ヘンリー・ガスコインのことをいろいろと尋ねる。
<英国 TV ドラマ版>
ポワロは、ヘンリー・ボニントンの歯科医院において、歯の治療中に、ヘンリー・ボニントンから、ヘンリー・ガスコインが亡くなったことを告げられる。
そこで、ポワロは、相棒のアーサー・ヘイスティングス大尉(Captain Arthur Hastings)を伴い、ヘンリー・ガスコイン宅を訪問する。そして、ポワロ達は、ヘンリー・ガスコインの家主に依頼して、ヘンリー・ガスコイン宅の中に入れてもらう。
なお、原作の場合、ポワロは、ヘンリー・ガスコイン宅を訪れていない。
(10)
<原作>
階段から転落して亡くなったヘンリー・ガスコインが住んでいたのは、フラットと言う設定になっている。
<英国 TV ドラマ版>
階段から転落して亡くなったヘンリー・ガスコインが住んでいたのは、セミデタッチトハウス(semi-detached house)である。
(11)
<英国 TV ドラマ版>
階段から転落して亡くなった画家のヘンリー・ガスコインが住んでいたセミデタッチトハウスの2階へと上がったポワロとヘイスティングス大尉の2人は、2階のアトリエにおいて、ヘンリー・ガスコインのモデルであるダルシー・ラング(Dulcie Lang)に出会う。
<原作>
階段から転落して亡くなったヘンリー・ガスコインの職業は、画家であるが、ダルシー・ラングなる人物は、登場しない。
(12)
<英国 TV ドラマ版>
2階のアトリエでダルシー・ラングに出会ったポワロとヘイスティングス大尉の2人は、彼女から、「ピーター・メイキンスン(Peter Makinson)が、 ヘンリー・ガスコインのエージェントだ。」と伝えられる。
<原作>
ピーター・メイキンスンなる人物は、登場しない。
(13)
<原作>
ポワロに対して、「アンソニー・ガスコイン(Anthony Gascoigne)とヘンリー・ガスコインは、双子の兄弟であること / ジョージ・ロリマー(George Lorrimer)が、彼らの甥であること」を告げるのは、マックアンドリュー医師である。
<英国 TV ドラマ版>
ポワロとヘイスティングス大尉に対して、「アンソニー・ガスコインとヘンリー・ガスコインは、双子の兄弟であること / ジョージ・ロリマーが、彼らの甥であること」を告げるのは、画家ヘンリー・ガスコインのモデルであるダルシー・ラング。
(14)
<英国 TV ドラマ版>
ヘイスティングス大尉と別れたポワロは、スコットランドヤードを訪れて、ジャップ主任警部(Chief Inspector Japp)から、画家ヘンリー・ガスコインの検死報告にかかる話を聞く。
ヘンリー・ガスコインの死亡推定時刻は、「6月16日(土)午後9時半」と言及されている。
<原作>
ジャップ主任警部は、登場しない。
また、ポワロがヘンリー・ガスコインの検死報告にかかる話を聞くのは、マックアンドリュー医師からである。
マックアンドリュー医師は、ヘンリー・ガスコインの死亡推定時刻を「11月3日(木)午後10時」と述べている。
(15)
<英国 TV ドラマ版>
ポワロは、ジャップ主任警部から紹介された病理学者(pathologist)であるカッター(Cutter)の元を訪れて、画家ヘンリー・ガスコインの死体を調べる。
<原作>
病理学者カッターなる人物は、登場しない。
また、ポワロが、ヘンリー・ガスコインの死体を直接調べる場面はない。
(16)
<原作>
ジョージ・ロリマーがヘンリー・ガスコイン宛に出した手紙を、ポワロが見せてもらうのは、検死官(coroner)からである。
また、手紙は、「病床にあるアンソニー・ガスコインは、ヘンリー・ガスコインの訪問を望んでおらず、うまく説得できなかった。」と言う内容で、11月3日午後4時半の消印が押されていた。
<英国 TV ドラマ版>
ジョージ・ロリマーがヘンリー・ガスコイン宛に出した手紙を、ポワロは病理学者のカッターから借りる。
また、手紙の内容は、「ファリンドンギャラリー(Farringdon Gallery)で開催される絵画の展覧会の内見への招待」を伝えるもので、6月16日付となっていた。

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