2022年4月2日土曜日

アンソニー・ホロヴィッツ作「モリアーティー」(Moriarty by Anthony Horowitz) - その1

英国の The Orion Publishing Group 社から2015年に出版された
アンソニー・ホロヴィッツ作「モリアーティー」の表紙(ペーパーバック版)
(Cover design and letterings by Mr. Patrick Knowles)


本作品「モリアーティー(Moriarty)」は、英国の小説家で、推理 / サスペンスドラマの脚本家でもあるアンソニー・ホロヴィッツ(Anthony Horowitz:1955年ー)が、コナン・ドイル財団(Conan Doyle Estate Ltd.)による公認(公式認定)の下、シャーロック・ホームズシリーズの正統な続編として執筆の上、2014年に発表された。アンソニー・ホロヴィッツによるシャーロック・ホームズシリーズの正統な続編としては、2011年に発表された「絹の家(The House of Silk → 2022年1月29日 / 2月5日 / 2月12日付ブログで紹介済)」に続く第2作に該る。


シャーロック・ホームズと彼の宿敵で、犯罪界のナポレオンと呼ばれるジェイムズ・モリアーティー教授(Professor James Moriarty)の二人がスイスのマイリンゲン(Meiringen)にあるライヘンバッハの滝(Reichenbach Falls)にその姿を消した1891年5月4日から、物語の幕があがる。その出来事の5日後、米国のピンカートン探偵社(Pinkerton Detective Agency)に所属するフレデリック・チェイス(Frederick Chase)は、ある任務を帯びて、現地を訪れた。そして、マイリンゲンのセントマイケル教会の地下聖堂に、3人の男性が一同に会した。


1人目は、フレデリック・チェイス。

2人目は、スコットランドヤードのアセルニー・ジョーンズ警部(Inspector Athelney Jones - サー・アーサー・イグナティウス・コナン・ドイル(Sir Arthur Ignatius Conan Doyle:1859年ー1930年)作「四つの署名(The Sign of the Four → 2017年8月12日付ブログで紹介済)」に登場)

3人目は、ライヘンバッハの滝壺から発見された溺死体で、現地の警察によって、彼の手首に付されたラベル(札)には、ジェイムズ・モリアーティーの名前が書かれていた。

ライヘンバッハの滝壺から、ホームズの死体は発見されず、彼の生死は不明であった。


フレデリック・チェイスは、ジョーンズ警部に対して、彼がわざわざ米国から欧州までやって来た理由を説明する。


「米国の犯罪組織の首領であるクラレンス・ドゥヴルー(Clarence Devereux)が、モリアーティー教授と手を組み、裏社会から世界を支配しようと考え、部下を引き連れて、ロンドンへとやって来ている筈であるが、彼の正体は一切不明のままである」と。

クラレンス・ドゥヴルーの正体を突き止めるべく、フレデリック・チェイスは、ピンカートン探偵社の部下であるジョナサン・ピルグリム(Jonathan Pilgrim)をドゥヴルーが率いる犯罪組織内に潜入させ、ロンドンまで派遣させたが、ロンドンの北部ハイゲート地区(Highgate)において、頭を銃で撃たれた彼の死体が発見したされたという記事が、1891年4月24日付の新聞に載ったのだ。


フレデリック・チェイスは、当初の目的であるクラレンス・ドゥヴルーが率いる犯罪組織の壊滅に加えて、自分の部下であったジョナサン・ピルグリムの復讐に燃えていたのである。


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