2022年3月19日土曜日

デイヴィッド・ステュアート・デイヴィーズ作「シャーロック・ホームズの更なる冒険 / 悪魔との契約」(The further adventures of Sherlock Holmes / The Devil’s Promise by David Stuart Davies) - その3

英国の Titan Publishing Group Ltd. の Titan Books 部門から
2014年に出版された
デイヴィッド・ステュアート・デイヴィーズ作
「シャーロック・ホームズの更なる冒険 / 悪魔との契約」の表紙


読後の私的評価(満点=5.0)


(1)事件や背景の設定について ☆☆半(2.5)


シャーロック・ホームズとジョン・H・ワトスンに海岸で発見されるが、二度とも姿を消してしまう男性(村の牧師)の死体。ホームズ達に非協力的な村の住民達。村に住む悪魔崇拝者の子供の若い男女。ホームズ達の背後で秘かに蠢く殺人者の集団等、得体の知れない恐怖を醸し出す雰囲気は出ているが、どちらかと言うと、オカルトものやホラーものには適しているものの、推理ものを主体とするホームズシリーズとしては、あまり適していないように感じる。


(2)物語の展開について ☆☆半(2.5)


村において、ワトスンが何者かに襲われた後、、物語は、同年秋のロンドンへと、話が移る。ワトスンは、デヴォン州(Devon)の避暑地でのことを全く記憶していない。一方、ホームズは、ワトスンに隠れるように、一人で行動しており、また、ワトスンに対して、「デヴォン州でのことは、思い出さなくても良いし、関わってはいけない。」と、強く言明する。

ワトスンは、ホームズの助けを借りず、デヴォン州の避暑地で本当にあったことを単独で探ろうとするが、ホームズ達を見張っていた集団が、ワトスンの行く手を妨害する。なんとか、ホーデン(Howden)村まで辿り着いたワトスンは、恐るべき真実を発見する。

ある意味、サスペンスものとしてのスリルはなかなかあるが、正直、ホーデン村に隠されている真実については、ある程度推測できてしまうので、やや物足りない。


(3)ホームズ / ワトスンの活躍について ☆半(1.5)


物語の前半において、ホームズはそれなりの活躍をみせるが、話が同年秋のロンドンへと移った途端、本当の理由は物語の終盤に明かされるものの、ホームズは、ワトスンに対してはっきりしない曖昧な態度を示したり、ワトスンから隠れるように一人で行動したりと、不審な動きをする。

物語の中盤から終盤にかけて、ワトスンは、ホームズの助けを借りずに、単独でホーデン村に隠された真実を見つけ出そうとする訳で、ホームズの活躍は全くなく、非常に残念。


(4)総合評価 ☆☆半(2.5)


結論としては、繰り返しになるが、物語の本筋はオカルトものやホラーものとして適しているものであり、推理ものが主体となるホームズシリーズを期待する者としては、ストーリー自体にあまり満足できない。

ただし、物語の最後の2-3ページ部分に、誰もが予想しなかった驚愕の結末が用意されていて、これにはかなり驚いたので、本当であれば、星2つであるところ、0.5点オマケした。



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