2022年2月14日月曜日

英国海軍艦(その5) - HMS ウォーリア(Royal Navy Ship 5 - HMS Warrior)

英国海軍の500周年を記念して、
2019年に英国のロイヤルメールが発行した8種類の記念切手のうち、
5番目に紹介するのは、「HMS ウォーリア」で、
就役した1861年8月時点で、その姉妹艦である「HMS ブラック・プリンス」と並び、
世界最大最強の軍艦だった。

英国のロイヤルメール(Royal Mail)が2019年に王立海軍こと英国海軍の500周年を記念して発行した8種類の切手のうち、5番目に紹介するのは、「HMS ウォーリア(HMS Warrior)」である。


「HMS ウォーリア」は、鉄製の船殻と装甲を持った英国海軍最初の装甲艦である。


1858年5月に、フランスによる装甲艦「ラ・グロワール(La Gloire)」とその姉妹艦の建造計画が、極秘情報として、英国海軍本部にもたらされた。当初、英国政府は、これを深刻な脅威とは捉えなかったが、フランスが「ラ・グロワール」とその姉妹艦を完成させた場合、蒸気推進艦について、フランスは英国に肩を並べるとともに、装甲艦に関しては、英国を凌駕することが、同年8月に明らかになった。そのため、同年11月22日、英国海軍本部は、「ラ・グロワール」と同等の木造装甲艦の設計を指示した。


英国海軍本部の指示を受けて、主任設計士のアイザック・ワッツ(Issac Watts:1797年ー1876年)と主任技師のトーマス・ロイド(Thomas Lloyd)が設計を行なったが、


(1)当時の木造艦建造能力が既に最大サイズに達していたこと

(2)森林破壊により、英国では、木材供給能力が低かったこと

(3)英国海軍本部から速やかな建造を求められていること


等を勘案、鉄製の装甲艦への建造へと舵が切られた。


アイザック・ワッツとトーマス・ロイドによる設計案は1858年12月末に承認され、複数の鉄製造船会社に対して、詳細設計が依頼された。

その後、入札が行われて、1859年5月11日の発注に基づき、テムズ鉄工造船所(Thames Ironworks and Shipbilding Company)において、1859年5月25日に着工され、約1年7ヶ月後の1860年12月29日に進水式を迎えた。

そして、1861年8月1日に就役したが、最終的に竣工したのは、その約3ヶ月後の同年10月24日である。


就役した1861年8月時点において、「HMS ウォーリア」は、その姉妹艦の「HMS ブラック・プリンス(Black Prince)」と並んで、それまでの装甲艦よりも際立って大きく(全長:約130m / 全幅:約18m / 排水量:約9、200t)、また、最高速、重装備、かつ重装甲の軍艦で、フランスの「ラ・グロワール」対比、2倍の大きさで、速度、装備および装甲においても、完全に上回っていた。


これが契機となり、高威力の艦砲と高い防御装甲の両方を兼ね備える軍艦を建造する激しい競争が始まり、「HMS ウォーリア」とその姉妹艦の「HMS ブラック・プリンス」は、その競争に巻き込まれた。海軍の技術進歩は著しく、就役時に世界最大最強の軍艦だった両艦は、直ぐに時代遅れとなってしまった。

「HMS ウォーリア」は、就役中、実戦に参加することもなく、1883年5月31日に退役し、現在は、ポーツマス港(Portsmouth Harbour)において、博物館船(museum ship)となっている。


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